副露(鳴き)派の思考を探る。
現代麻雀では、戦術論や何切るなどがかなりまとめられていて門前主体の攻撃手順に関しては正しく判断できる人が増えていると感じています。
その一方で、副露を中心にした手組みについては技術理解の差がまだ多くあると感じています。(というより、積極的な副露主体の手組みをしたことのある打ち手のが圧倒的に少ないように感じています。)
私自身が、門前主体の手組みや、副露主体の手組み、局単位の参加率の高低もかなり幅をもたせてやってきて、最終的には副露時放銃率の低さを生命線にした参加率の高い麻雀を打つようになったので(成績の安定感から)、ちょっとだけその思考をもとにした"あがれなくてもプラスの鳴き"を紹介してみようと思います。
といっても、普通の鳴く?鳴かない?ではありきたりで面白くないので、もう少し細かな内容でお送りします。せっかくなので、以下の点についてちょっと覚えたような気分になっていただけたら嬉しいです。
さて、その鳴き、クソ鳴きか?
Mリーグでの石橋さんの副露から。
最新の2つのチーがどういった狙いで行われていると想定されるか、先程の「鳴きを使って…(1)~(4)」の内容をもとに考えていきたいと思います。
A
1枚目は遠いところから、唯一のリャンメンをチーしたところ。
一見、素人目では意味がわからない仕掛けだと思います。
(仮に、Z○○でこの鳴きをしても全く意味がない事は先に断言します)
石橋さんは⑤⑥⑦でチーして、打③。
ピンズでチーの後、すぐに③を切る進行なので、捨牌はホンイツのように見せていない。これを仮にホンイツのように見せるのなら四六6を切る進行になるが、その場合はドラの南を2枚持っていないと見られて攻め込まれる可能性があるため、速度で牽制する意味での③切りなのだろうと推測できます。(この理由は別の機会に説明します。)
役牌が重なってあがれる可能性はゼロではないが、基本的には「ドラの南を持っているからあがりたい!」と場にアピールをしつつ、上家が親に絞ることを期待した進行となります。
B
①②③でチーして、(実際は何を切ったかわからないのだが)おそらく7か1切りとしたのではないかと考えています。
鳴くときは2~8を有効に使えるタンヤオにするのが攻撃的な選択となりやすいが、この局のようにドラが【1,9,字牌】の局はたとえ赤ありルールだとしても、チャンタで鳴く手組みで有利に戦えるケースが多くあります。
相手を牽制をする意味を持つ仕掛けでは、役牌を重ねてポンしたときに有利になる形よりも役牌が重ならなかったときに役をつけてあがれる形を目指すのが有効な手段で、この手牌では索子の一気通貫と123の三色同順を逃さない手組みにするのが重要となります。(もちろん白はすぐ切ってはいけない)
さて、ここまで読んでなんとなく内容を感じ取っていただけたと思いますが、この2つの鳴きに共通しているのは、ブラフの要素になります。
A,Bの鳴きでは、それぞれ、鳴きを使って以下にある(4)の目的を達成しようという狙いがあります。
基本的には、自分のあがりが最優先にあって、
「あがりが難しい配牌をもらった時」に始めてブラフを検討し、(1)は副露で自分の役をアピールし、(2)上家を苦しめて、(3)下家と対面にあがってもらって、(4)結果的に上家との戦いが続けられるという流れになります。
いつでもどこでもあがれない手牌でブラフをするのは自身に不利に働くこともあるためNGとなります。条件を以下のようにまとめました。
▼ブラフの鳴きにおける重要事項
条件は色々あるものの、競技麻雀をやっている人ならプロの方と打つ機会があるかもしれないので、上記のようなことを踏まえて仕掛けてみても良いと思いますし、フリー麻雀中心の人も自身のあがりがない時にどうやって上家を苦しめられるか考える日が来たら思い切って挑戦してみていただければと思います。
とにかく重要なのは、「この手牌ではこれを鳴く」のような単純なことではなくて、「ドラが~~のときは、ドラがあるように見える~~で鳴く、さらに、その鳴きに合わせた捨牌づくりをしつつあがれる可能性も残す」みたいな思考だと考えています。
何切る問題や、鳴く鳴かないの問題もそうですが、同じ手牌が生まれない麻雀では似たような局面でどういう判断をするかが重要なゲームなので、上家とライバル同士の局面ではぜひブラフについて思い出していただけると幸いです。(あとは試行回数を重ねて感覚を掴むのみ)