美菜子①
俺には別れを前提に同居してる彼女がいる
一時は婚約もした大好きでかけがえのない存在の女性だ
俺は今年41歳(バツイチ)彼女は婚姻歴がない38歳
手前味噌だけど美菜子は美人で料理が上手、とても優しく、お酒が大好きで2人で飲みに行くことも多かった
出会いは約1年前
俺の離婚から3年が経とうとしていた頃だった
趣味のスポーツ観戦の仲間から試合のない日に珍しく飲みに誘われた
一周り下のチャラい既婚者男性(以下、チャラ男)
一度、試合観戦後の打ち上げで連れて行ったカラオケバーに連れて行ってほしいとのことだった
次の日に推しのチームの試合で顔を合わせることもあり、
あまり気は乗らなかったが快諾した
軽く1杯ひっかけてから目的地のカラオケバー「BEAT」へ
BEATはカウンター7席、BOX席2つ(10席程度)の小さな店だ
店主は見た目50歳、実年齢70歳の男性
女性の常連さんが多く(むしろ一見さんはお断りにしてるみたい)、店主は常連のお客さんに店を任せてどこかに飲みに出掛けちゃうようなアットホームの度を越したような所だ笑
ノーアポでBEATに突撃するとカウンターが満席で店主に
「カウンター空けたいから奥の女性2人組と相席でボックス席でもいいか?」
との打診が…
チャラ男と顔を見合わせて相槌を打ち合い
「全然おっけーです笑」
と了承した。
その2人組のうち1人は黒の長髪で色白の小動物系の顔立ち(以下、黒髪)で
もう1人は茶髪のロング、芸能人でたとえるなら須藤理彩さんとか指原莉乃さんみたいな爬虫類系の顔立ちのコ(以下、茶髪)だった
チャラ男は茶髪にロックオンして持ち前の懐に飛び込む話術と軽いボディタッチを駆使して距離をつめていた
一方の俺の方は黒髪にチャラ男との関係性とかバツイチをイジられたり他愛もない話をしながら時間が過ぎていった
この時、俺が何を思っていたかというと女性2人組は俺に年は近いものの酒の場に慣れている感じとかビジュアル的に陽キャでモテるタイプと推察していたので、バツイチで子持ちのおっさんにとって、この出会いが何か繋がるとかはまったく考えいなかった
そんなこんなで40分位たった時だったと思う
カウンターの客がカラオケを歌い終わり一瞬の静寂が店内を包んでいた時だった
チャラ男にダル絡みされていた茶髪が立ち上がり発狂した
「私、あなたじゃなくて、こっちの人(俺)とお話したいんですけど!!!」
まさかの一言に凍りついた店内
一番凍りついたのは俺だったのは言うまでもない
それが俺と美菜子との出会いだった
つづく
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