日本人の「牛肉離れ」の裏側に隠された真実!意外な理由とは
1.和牛の価格問題
和牛の価格は他の肉類と比較して非常に高価です。スーパーでの価格を見ると、和牛は豚肉の2〜3倍、鶏肉の3倍ほどの価格となっています。この高価格が消費者の購買意欲を低下させる大きな要因となっています。
2.消費者の健康嗜好の変化
近年の健康志向の高まりにより、和牛の特徴である霜降り(サシ)が多い肉(A5、A4ランク)が敬遠される傾向にあります。特に高齢者層では、脂肪分の多い肉を避ける傾向が強くなっています。
若い世代は経済的な理由から和牛を購入できない状況にあります。また、和牛よりもアメリカ牛など脂肪の少ない赤身肉を好む傾向があります。一方で、経済的に余裕のある中高年層は健康上の理由から和牛を避ける傾向にあり、結果として和牛の需要が減少しています。
3.和牛価格の下落
和牛子牛の価格は全国的に大幅な下落傾向にあります。一部の地域では前年同期比で約11万円も価格が下がり、全国平均でも9年ぶりの安値を更新しています。鳥取県では、4年前に全国トップだった子牛の平均取引価格が、2024年7月時点で1頭あたり46万2000円まで落ち込んでいます。
供給過剰: 飼育技術の向上により、A5ランクの和牛生産が増加しています。10年前には10%未満だったA5の割合が、2022年には27.2%まで上昇しています。
政府や地方自治体は以下のような対策を講じています。
「肉用子牛生産者補給金制度」の21年ぶりの発動
和子牛生産者臨時経営支援事業の補填金交付
鳥取県による独自の価格下落分の一部補てん
4.輸出の増加
和牛の輸出量は増加傾向にあります。2023年の輸出量は前年比113%の8421トンとなり、特に中国向けの需要が高まっています。この状況を踏まえ、和牛産業は国内市場の縮小に対応しつつ、海外市場の開拓を進める必要があります。また、健康志向の消費者ニーズに合わせた新たなブランディング戦略の構築も求められています。
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