マミモンの左耳の奥で(ゆで)

ピンヒールで踏まれた後はあなたなんて言ったの??
大丈夫っす。
みたいな??
大丈夫じゃないのに大丈夫って言っちゃうやつ、あるね。

後からくる怒りってむずいな。怒りって基本最初に来て落ちてくるからな。って考えたら最初から怒るやつはちょいちがうもんな。



あの日は豪雨だった。
ゴールデンウィークには似合わない雨から逃げるように新宿の雑居ビルに僕らは集まっていた。
GO!TENライブ。若手芸人がひしめきあうこのライブの楽屋で僕は腹を立てた。

僕は友達マミモンシンテターゼとジンイチロウクボと談笑していた。といってもマミモンとはそこまで話したことがなく、今日はちゃんと話せるとワクワクが止まらなかった。
マミモンは女性のピン芸人であり、どの現場でもまるで姪っ子のような愛くるしさを漂わせている。ネタもそれを存分に堪能させてくれる彼女。ダイエットしたいから自宅付近のマック潰れてほしい、けど食べたい、とクレームを言いに行くコント、愛くるしい。
僕はそんなマミモンを褒めつつ、ついでにジンイチロウクボも褒め、3人とも心穏やかに口軽やかに話していた。ただそんな中マミモンの左耳ごしに「ともシナジー」という大きなムチムチ漢芸人の右乳首が立っていた(Tシャツがはちきれんばかりの右乳首なのだ!)。僕は無視してマミモンと話しているが、どうしても目は彼の「右シナジー」に行ってしまう。

彼は夜郎歌舞伎という漢コンビのムッチムチアメフト体型担当である。腕は杉の丸太、乳はヨギボーのようにやわこい。そんな彼がマミモンの後ろで1人ただ佇んでいた。彼は何も悪くない。ただ彼の「右シナジー」がMAXになっていただけだ。彼は何も悪くない。

僕は心の広い男。幸せそうなマミモンの笑顔をしっかり浴びよう。そう思ったが、人間一度気になってしまったら見てしまうもの。彼のTシャツにはデカデカと「歩兵」と書いてあった。

歩兵のサイズじゃないだろ。
金将サイズの乳首だろそれは。

流石にツッコまざるを得ず、ともシナジーも会話に参加した。喋ってみると可愛い男だ。非常に真面目で分析家、僕らのネタも一つ一つのくだりも丁寧に褒めてくれた。ただ彼は褒めてくれてる間もずっと「右シナジー」が立っていた。そして今まで横からだったから分からなかったが正面から見たら「左シナジー」も立っていた。ともシナジー頼む。もう「ともチクビー」に改名してくれ。そしたら後から来た怒りも和らぐ。責任は僕は取らない。


ショートショートの小説風にしてみた。
次のテーマ、どうしよ、
やきさん今これしたいみたいなのある?
成し遂げたいとか
あいつ惚れさせたいとか
お好きにどうぞ。

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