眠られぬ夜とともに
最近ね、寝るのがめちゃくちゃ億劫なんすよ。
いや、億劫というか、夜になると焦る。なんならちょっと怖い。
一日が終わってしまうってことがすごくショック。
僕、毎日、日記を書いているですよ。
日記書きあるある。何も書くことがない日の絶望。
おいおい、こんなすっからかんな毎日だったっけ。
自分の生活のコンテンツ力の無さに呪詛。
そのくせ、休みの日なんかは爆寝。
一回寝ると起きられなくって、十四時間くらい寝ちゃう。
気付いたら夕方。タイムスリップした感じ。
目覚めると窓からは夕日が差し込んで、その茜色の眩しさ。
そこに石灰色の後悔と溝|《ドブ》茶色の焦りとが混ざった濁り水みたいなものが胃でグジュグジュに掻き回されてる。
目覚めの一発、吐きそうになる。
夜は後悔の連続で、
今日したかったことはできなかったし、しなきゃいけないことはできていない。
読みたかった本は床に散らばって、見たかった映画はリストに溜まりっぱなし。
あぁ、シンクには汚れたフライパン。
洗わなきゃ洗わなきゃ洗わなきゃ体が動かない。
椅子に座って天井を見上げて三時間くらいたった頃。今は夜中の3時半。
腰、痛。背中が丸まる。
頭蓋骨の重さは5キロぐらいあるらしい。
首の上に11ポンドのボーリング玉が乗っかってるのを想像してみてください。
頸椎は重さに耐えられず歪み、体の幹は大きくしなっていく。
額が机に着地。あぁ、冷た。
焦りと後悔でオーバーヒートした脳味噌が冷却。
まぶたは筋疲労で閉じていくけど、思考だけはグルングルン回ってる。
気持ち悪い、吐き気がする。でも動けない。
あぁ、充実した日々よ!この手に!取り戻せ!
頭を切り替えてみる。
いったん全てを諦めてみる。
ごちゃごちゃ考えて夜を遠ざけるのを諦めてみよう。
だって、夜は必ず来て、僕は遅かれ早かれ眠りに落ちるんだから。
避けられないものを、遠ざけようとしてもしょうがないのである。
だから、受け入れてみる。
夜がきたら、一日は終わる。避けようの無い事実。
だったら、思い切って寝てみる。
時間を決める。その時間が終了時間。
何がなんでも布団に入る。
それでおしまい、残念ながらおしまい。
悔やんでも悔やんでもおしまい。今日はおしまい。
人が必ず死ぬように、睡眠は避けようが無いものなんだから、潔く大往生を遂げようじゃないか。
そうしたら、明日、朝、復活すればいい。
それも、なるべく早いこと復活すれば、三文の得だ。
よし、明日やろう。全部後回しだ。
汚れたフライパンを水につける。明日洗おう。
勇気を持って、今日という日を諦めるんだ。
そうして僕は夜更かしをやめました。
来年の目標は早寝早起き。
ということで歌っていただきましょう。
PSGで『寝れない!!!』
参考文献
カール・ヒルティ『眠られぬ夜のために』<第一部><第二部>岩波書店 1973