稽古の日記 六日目
くらやみダンス#8
『くらやみダンスの宝島』
脚本 岡本セキユ・神山慎太郎
演出 岡本セキユ
2021年11月25日(木)-30日(火)
於:池袋スタジオ空洞
【詳細】
https://kurayamidance.wixsite.com/home/next
【予約】
https://ticket.corich.jp/apply/114981/006/
10月20日
今日は初めて自分のセリフを喋った。
下手のハケ口から出てきて、そこにいる相手に「おい」と声をかけてから、つらつらと喋る。
この「おい」が言えんのだ。
口から”oi【ɔi】”の音を出すことはできる。
が、何度やっても、浮ついて不自由な感じがつきまとって、口周りの筋肉が、口角が舌が喉仏が、〆て間もない生魚みたいに、きゅうーっと硬くなって、それを誤魔化すように大きく言ってみたり、小さく言ってみたり、ゆっくり言ってみたり、早口にしてみたり、真面目に、スカして、ぶっきらぼうに言ってみるけど、そうゆうあれやこれやを試行すればするほど、「おい」が自分から分離してく感覚。伝わるだろうかこの感じ。伝わってることを願うばかり。
思えば、「おい」という掛け声を使ったことが一度もない。「ねぇ」とか「あのさぁ」とか「すいませーん」とか「失礼します」とか、いつも水平か斜め下から、お伺いを立てるようにして話かけている事に気づく。
「おい」なんて、上から下に鋭角的な、太い、無骨な掛け声で人をお呼び止めしたことなど私目にはないのです。ヒゲモジャで、革ジャン着て、1700ccのハーレーでも乗っていれば「おい」がスルッと声帯から出てくるんでしょうが、私目は普通免許さえ持っていないのです。
僕は本番までに「おい」が言えるようになれるのだろうか。
おい、そこんとこどうなんだ、おい。