結果よりも過程を見せろ「プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる/尾原和啓」
今日は話題のビジネス書「プロセスエコノミー」をご紹介。
この本を手にとったきっかけですが、この本を紹介する記事か何かで「アウトプットエコノミー」の現状について書かれていたんですね。
プロセスエコノミーとアウトプットエコノミーは対になる概念で、
プロセスエコノミーは結果に至る過程でもビジネスを展開すること
アウトプットエコノミーは結果たるプロダクトでビジネスをすることです。
アウトプットエコノミーにおける昨今の状況は、機能や特徴で勝負することが非常に難しいということなんですね。私が働く自転車業界もそうなんですが、メーカーは違えど生産工場は一緒なんてことがザラです。なのでモノの差別化に限界があるし、性能も似たりよったり、価格競争をしてしまうわけです。
長くなりましたが。こんな感じの話が書いてあったので「ああ、まさに自転車業界の話でもあるな」と思って本書を買うに至りました。
プロセスエコノミーとは
前段にも書いてしまいましたが、プロセスエコノミーとは過程においてビジネスを展開する、ということです。
アウトプットが出来上がるまでのプロセスに消費者を巻き込んで、コミュニケーションを重ねる。
それによって消費者はそのブランドに対して共感を覚え、特別な感情をいだくようになります。当然ながら思い入れのあるブランドは想起集合(買おうと思ったときに買う対象として思い浮かぶブランド群)に入って、なんでも無いブランドはそれこそ何でもないままです。
著者の尾原さんは、ここでプロセスをパッケージ化して消費者とのコミュニケーションをコンテンツとして使うことを勧めています。
私が加入しているプログラミングスクール「フィヨルドブートキャンプ」もプロセスエコノミー味があるなと思っていて。
フィヨルドブートキャンプでは定められたカリキュラムはもちろんあって、その終盤には「自分たちが使ってきたフィヨルドブートキャンプのサイトをブラッシュアップしよう」という課題があります。そこまで学習を進めてきた人にとっては「お世話になったメンターと肩を並べて足跡を残せる」と思い一入ではないでしょうか。
一方で、これがアウトプットエコノミーの価値観でいうと「不完全なソフトの改良を受講生が手伝わされてる」「受講生が搾取されてる」とも見えてしまうんです。実際、Twitterとかでコミュニティのために身を粉にしている人がいるとそういう声が上がったりしてます。でも当人は、やりたいからやってる風だったり。
結局プロセスエコノミーというのは消費者の中に「思い入れを作ること」なんじゃないかなって思いました。身を粉にしてもそのコミュニティ・ブランド・製品のためになにかしたい、そんな気持ちを引っ張り出すことが肝要じゃないですかね。
とすると、いまどきのまともなブランドは大なり小なり「思い入れを作る」活動をしてるんです。本書は、プロセスエコノミーのいち手段としてのコミュニティビジネスを解説した本にすぎないなーというのが印象です。
これからの世代にむけて、重要なことはWHY
本書の中で30代以上と未満に分けて、幸福を感じる要素を分析しています。これは非常に参考になりました。詳しくは↓。
汚くてごめんなさい…。
要は、30代以下はもともと物的満足度が非常に高いので、同じ方向性だと幸福を感じづらい。一方で物事の内面における「意味合い」に対して満足を覚えるということ。
本書ではリアルコミュニティの希薄化によって個々人がもつ所属欲求が満たせなくなってきていること、それによってブランドが人のアイデンティティを代替するとも書かれています。同じ方向性の話として、コミュニティを求める気持ちを持つ人が増えているとも言えるかも知れません。
私ももう31ですけど、意味合いに関する話はとても共感を覚えました。
ブランドを選ぶときも表面的なかっこよさみたいな部分は考慮しますが、それに合わせて「なぜそれをするのか」みたいなブランドのビジョンを重視しています。表向きかっこよくても、ダサいビジョンだったりそもそもビジョンがないブランドは願い下げなんです。
自分の話から入ってしまいましたが、重要なことは「なぜそれをするのか」、つまりWHYを明らかにすることだといえます。意味合いをもたせるのもそう、アウトプットに至るまでのWHYがことなれば差別化にもなります。
本書でもWHYの重要性は何度も書かれてますし、私もWHYがビジネスの基本であり、すべてだと思います。
おわりに
というかWHYさえあればあとは手段の話なんじゃないかなーって思うんですよね。アウトプットエコノミーとプロセスエコノミーってどちらか一方しか成立しないもんでもないですし。
プロセスエコノミーを成立させて、アウトプットもってクラファンとかもそうですしね。冒頭のアウトプットはオワコン(とまでは言ってない)みたいな部分は話半分ぐらいでした。
ただ、これからのアウトプットエコノミーにも消費者とのコミュニケーションの濃密化は避けて通れない話でしょう。そういう部分において学びの多い一冊でした。プロセスエコノミー構築に関しては自分でどっか加入して体験するのが早そうだと思います。
では。