ChatGPTを活用して「英語脳」を育てる~ 丁寧な表現を意識する練習
英語の丁寧表現のおさらい
英語にも丁寧な表現の程度にいくつかの段階があり、会話のコンテクストや立場によって、適切だと考えられるレベルがあります。もちろんすべての表現を「丁寧レベル=MAX」で話せば少なくとも相手に不快な思いをさせないという点ではセーフですが、状況によってはバカ丁寧になりすぎたり、相手にも同じ程度の丁寧さを要求することになり、最適な会話にならない場合もあります。
表現の丁寧さの程度は大きく分けて、少なくとも3つあると言えます。
直接表現: もっとも短く、直接的な表現。状況によっては乱暴で失礼な言い方。(例えば火事や事故などの緊急事態の場合は直接表現はむしろ適切です。火事の時に「お逃げになってはいかがでしょうか?」とは言いませんよね。「逃げろ!」です)
ニュートラル(カジュアルな)な表現: 丁寧過ぎず、乱暴でもない。おそらくは教科書でならう英語はこのレベル。普通の本や雑誌の記事もこのレベルで書かれている。実用レベル。
丁寧な表現: 相手に敬意が伝わる表現。(丁寧さの程度はさらに上がある場合もある)。対面の会話などで使われる表現。メールなどの文章でも使われる。
例えをひとつみてみましょう。「電気を消して(Turn off the lights.)」という意図を伝えるとしてら、以下のような丁寧さの程度が異なる表現があるでしょう。
Turn off the lights.(直接表現)
Can you turn off the lights?(カジュアル)
Could you turn off the lights, please?(丁寧 レベル1)
Would you mind turning off the lights?(丁寧 レベル2)
It's getting a bit bright in here, isn't it?(丁寧 レベル3 遠まわし表現)
ここで大切なことは「電気を消して欲しい」という意図が全て同じということ。どれも同じ意図であり、「英語脳」を持っている場合はその意図をどのような丁寧表現で、たった今、相手に伝えるべきかを瞬時に「英語で考えながら」選びだすことが出来ます。
ChatGPTを使って丁寧レベルの異なる文章を読み上げて「英語脳」を育てる
直接表現はもっとも単純で短い表現なので、文法も単純です。いわゆる中学校英語のレベルで十分理解できます。まずはこの直接表現を出発点に、その意図を考えながら「丁寧さ」のレベルが上がっていく様子をイメージトレーニングするために、ChatGPTに例文を生成させましょう。
以下のプロンプトをそのままコピペします(GPT-3.5でもGPT-4 でも使えますが、後者の方が表現がより自然な場合が多いです)
// モデルの下地の指示
# General instructions (if not provided yet)
- Do not add any greetings (ex. "Certainly, here is the list", "I hope it helps")
- Any double forward slash "//" in the prompts are comments and must be ignored
// モデルへの指示
# Instructions
1. Generate a list of "direct" statements (example: "Close the window.")
2. Ask the user for a choice from the list, either by the number of the root itself
3. Wait until user provides a choice, then for a given choice, generate as shown below example (here, the example is "Close the window.")
- Close the window.
- Can you close the window?
- Could you close the window, please?
- Would you mind closing the window?
- It's a bit chilly in here, isn't it?
4. Repeat 2.
// 文のタイプのリスト。以下の Constraints セクションで指定します
# Statement_Type
A. Instructions or commands (Example: Open the book.)
B. Declarations (Example: I want coffee.)
C. Questions (Example: What's your name?)
D. Requests (Example: Give me the pen.)
E. Statements of fact or opinion (Example: That's wrong.)
F. Time-related statements (Example: It's three o'clock.)
G. Identification (Example: This is my friend John.)
H. Location or direction (Example: The bank is over there.)
I. Expressing needs or desires (Example: I need help.)
J. Expressing lack of understanding or knowledge (Example: I don't know.)
# Constraints
- Limit the number of the items to: 10
- Statement_Type: A. // 好みの値に変更してください
# Output format
{number}. {statement}
このプロンプトを与えるとChatGPTから以下のような応答があるでしょう。
このリストでは10個の直接表現が表示されています。どれも単純な文章なので意味(意図)は容易に理解できるでしょう。
では次に、練習したい表現を選びます。今回は「1.」を指定します。すると以下のような応答があるでしょう。
ここでは Close the window. という直接表現について、下に行くほどに丁寧さが増す文章が出力されました。
ここで「英語脳」を活用して Close the window. という意図をイメージしながらそれぞれの文を頭の中で状況をイメージしながら読みます。
最初の Can you close the window? は直接表現より一段上なのでカジュアル表現です。カジュアルと言えば友達言葉なので、友達や親しい家族や仲間をイメージしながら、そして「窓をしめてほしい」という意図を持ちながら頭の中で暗唱したり、声に出していってみましょう。
次の Could you close the window, please? および Would you mind closing the window? は丁寧レベルがさらにアップします。この場合は、例えばとあるセミナー会場で、窓際に座る別の参加者に向かって「窓をしめてほしい」という意図を伝えるイメージで練習します。
最後の表現、 It's a bit chilly in here, isn't it? はかなり遠まわしな表現になっています。基本的に(1)直接表現、(2)カジュアル表現、(3)丁寧表現をカバーすればよいので、これを練習するかどうかはオプションです。
「英語脳」を育てるための重要事項
かならず「意図」していることを意識する。ただ「読む」だけでなく「意図して伝えようとする気持ちを持つ」ことが重要。そうすることによって「そういう意図」が実生活で生じたときに自然に、その時に適切な丁寧レベルの言葉が出てくるようになるでしょう。
かならず「状況」をイメージする。自分の身近な人、例えば上司や先生、お店の人やご近所さんなど、実際に会話する人(もしくは想像上のそういう立場の人)をイメージしながら、その人に実際に語りかける様子で練習することが大切。これも、そういう状況と表現を結びつけるのに役に立ちます。
プロンプトをカスタマイズする
プロンプトはいくつかパラメータとしてカスタマイズしやすいようにしてあります
# Constraints というセクションに以下のパラメータがあります
Limit the number of the items to: 10
生成される例文リストの数を変更できます。デフォルトは10です。
Statement_Type: A. // 好みの値に変更してください
これはStatement_Typeというリストがプロンプトの中に埋め込まれていて、そこから文章のタイプを選べるようになっています。以下はそのうちの最初の4つです。
A. Instructions or commands (Example: Open the book.)
B. Declarations (Example: I want coffee.)
C. Questions (Example: What's your name?)
D. Requests (Example: Give me the pen.)
例えば「Questions (質問)」の例文を生成したいのであれば「C.」を指定します。
Statement_Type: C. // 好みの値に変更してください
と変更して、再度ChatGPTにプロンプトを指定すると以下のような応答があるでしょう。
まとめ
英語には複数の丁寧さのレベルが存在しており、状況や関係性によって適切なレベルを選ぶ必要があります。直接表現は短く、緊急時などに使用されます。ニュートラル(カジュアル)な表現は教科書的な英語や普通の文章でよく見られる中間的な表現。丁寧な表現は相手への敬意を示す際に使われ、さらに丁寧度を上げることも可能です。例として、「電気を消して」という要求には、直接から非常に丁寧な表現まで複数の表現方法が存在します。これらの違いを理解し、意図を明確に伝える能力は「英語脳」の育成に欠かせないでしょう