フリーコンサルとして最も大切な考え方・行動
背景
前回の記事でも少し触れましたが、会社員コンサルとフリーランスのコンサルでは、考え方、動き方が異なるのにそれに気づかず、フリーランスになっても会社員時代の動き・考え方をしてしまっているフリーランスのコンサルをよく見かけます。
結果、クライアントから評価を得られづらかったり、ファームに依頼するのと変わらないので単価が安く設定されやすかったり、フリーランスの良さを活かせておらずもったいないなと感じてしまいます。
今回は、会社員コンサルとフリーランスコンサルにおける考え方・行動の違い、フリーランスコンサルがすべき考え方・行動についてを解説したいと思います。ニッチな記事ですが読んだ方の何か気づきになれば。
結論
今回の記事の結論を先に書くと以下のとおりです。
フリーランスのコンサルは、クライアントからの評価を第一に、多少の余計な仕事やリスクも負うことが重要
会社員コンサルとフリーランスコンサルの考え方・行動の違いを事例交えながら説明し、なぜ上記の結論に至るか、なぜ誤った考え方・行動をとりがちなのかを解説します。
会社員コンサルの考え方・行動
会社員コンサルの場合はに第一に優先すべきことは上司からの評価です。これはコンサルに限らず全ての会社員に言えることですが、上司(評価者)から良い評価が得ることで昇格、昇給の機会を得ます。
当然、クライアントからの評価も重要ではありますが、クライアントからの評価が上司に伝わり、なおかつ、1個人の評価に結びつくことは稀なため、実はそれほど重要ではありません。
フリーランスコンサルの考え方・行動
一方、フリーランスコンサルの場合は、当然上司はいませんので、クライアントからの評価が最も重要です。クライアントからの評価を得ることで、継続契約を獲得できたり、単価交渉も可能になります。
クライアントからの評価を得ることが、なぜ上記の結論に帰結するのか具体例を交えて解説します。
具体例①
例えば、以下のようなケースが有ったとします。これは、実際に私が経験した事例です。
システム開発プロジェクトで、ベンダーからの報告書が分かりづらいため開発状況が把握しづらく、度々認識齟齬による問題が発生していた。
会社員コンサルの場合、ベンダーに対して報告書の品質向上の施策を検討するように促すと思います。促してもだめなら、体制変更や人員変更の要求をするなどしていく事例かなと思います。
一方でフリーランスコンサル(私)の場合はどうするかと言うと、ベンダーと一緒に報告書を作ってあげます。ベンダーが報告書作成に慣れてくれば、報告書提出前のチェックリストを作成してあげるなどして、一定品質の報告書を自分たちで作成可能にしてあげます。
どうしてこういった行動の違いが出るのか、会社員/フリーランスでの考え方を説明します。
会社員コンサルの場合は先に説明したとおり、上司の評価が重要です。一般的に上司は、余計なことをしたり、不要なリスクを負って問題を起こすことを嫌います。
この場合、報告書の作成は当然ベンダーの責任範囲であり、コンサルは状況を良くなるように促す・支援するまでが役割です。ですので上述のような行動をするわけです。
報告書の作成を代理してあげようものなら、上司から注意を受け、評価を下げられることとなります。
一方、フリーランスコンサルの場合は、顧客からの評価が第一なので、真に状況が良くなる方法を模索します。
コンサルは資料の作成は手慣れていますので、自分が作成すれば、すぐに問題が解消することは目に見えているわけで、代理で作成してあげることで直近の問題を解決することができます。
当然、ずっと代理で作成するわけにはいかないので、段々と自分たちで作成できるように、スキルトランスファーや仕組み化を手伝ってあげるわけです。
本来的には余計な仕事をしているのですが、こうすることで問題解消のスピード感も早いですし、不要にベンダーへプレッシャーをかけることも回避できるので関係性が硬直するといったことも避けられます。
結果的にこの対応にかける工数も少なく済み、早くて仕事のできるコンサル、という評価をもらいやすいですし、企業のコンサルとは違うなと感じてもらいやすいです(差別化できます)。
具体例②
もう一つ、以下のようなケースが有ったとします。これも私が実際に経験した事例ですが、どこの現場でもよくあるケースかなと思います。
システム開発案件で、クライアントにおける要件が中々決まらず開発着手できないものの、スピード感が求められている
会社員コンサルの場合、クライアントの決定の遅れがプロジェクトを遅延させていることを説明をし、まずはクライアント責任であることを認識させるかと思います(コンサル自身のリスク回避)。その上で、決定スピードを上げるためのファシリテートをしたり、決定プロセスの整備を行ったりするかと思います。
一方、フリーランスコンサル(私)の場合、基本的には同じ行動を取るのですが、開発先行着手によるリスクが十分に低いと判断できる場合には、開発を先行着手させてしまいます(リスクを許容します)。
もう少し詳しく解説します。
開発の内容やプロジェクトの状況によっては、いくらでも後でリカバリ可能な場合があります。例えば、文言や画面レイアウトの改修のようなものや、入力可能な文字数、他の機能に影響を与えないような軽微な開発であれば、仕様が変更されても改修は簡易にできたりします。
なので、先行着手した結果、想定とことなる結論が出て手戻り改修が発生したとしても、”ごめんなさい”の一言と、ベンダーとの調整でなんとかなる場合も多いわけです。
こういった場合であれば、どんどん仕様決定して開発を先行着手することでスピード感を上げていきます(もちろん、クライアントのお金でクライアント未決定の開発をすることは法務等のリスクを伴うので、慎重にリスク評価をしますし、下ネゴはしっかりやります)。
こうすることで、開発スピードを最大化され、(加えて、そのスピードを体感できるようにアピールも行うことで)クライアントからの評価を上げることができます。
補足
少し補足すると、どんなことでもリスク・リワードの関係があると思います。リスクを負うことで得られることが多いということです。
コンサル業務においても、コンサルが(許容できる範囲内≒ごめんなさいで済む程度)リスクを積極的に追うことで、バリューを出すことができる(リワードが得られる)ということです。
会社員コンサルの場合は、リスクを追うことは上司の評価を落とす材料にしかならないため(結果、バリューが出せても個人の評価に結びつかない)、原則ゼロリスクで進めることが正解なのですが、フリーランスコンサルの場合は、許容できる範囲であればリスクを負うことは問題がなく、むしろ積極的に負う方がよい評価を得やすいのですが、会社員コンサル時代の考え方・行動が染み付いているとなかなかこのことに気づかないようです。
単に、その人のリスク許容度が低すぎる場合や、プライドが高くて失敗や謝ることを嫌う性格の人も多いかもしれませんが。
まとめ
フリーランスであれば、上司や評価を気にする必要はないので、多少の余計な仕事やリスクも許容して仕事したほうがバリューを出しやすく、結果、継続案件を取ったり単価交渉もしやすくなります。