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読書感想文 「猫を棄てる 父親について語るとき」

村上春樹の最新の著書「猫を棄てる 父親について語るとき」を読みました。

あの村上春樹の父親とはどんな人なのか。そして、タイトルにある「猫を棄てる」とは何なのか。とにかく内容が気になりました。

読み進んでみると、この「猫を棄てる」のエピソードに、この本のテーマが集約されているのではないかと感じました。

消失してしまうもの、消失するはずだったのに残ったもの、残るはずだったのに、消失してしまったもの。

村上春樹の父親と、この「猫を棄てる」のエピソードに書かれていた猫、そして、もっと言ってしまえば村上春樹も含め、それらは、「消失するはずだったのに残ったもの」だったのではないでしょうか。

残ったものには残ったものとしての辛さがあります。

村上春樹の父親が「おつとめ」と称し、お経を唱えたように、村上春樹は父親と猫のことを記したこの本を執筆したのではないでしょうか。

私がもし家族と離別し、私が残った側となるなら、そのとき私も私なりの「おつとめ」をするのだと思います。

その時、私は家族のどんな姿を真っ先に思い出すのでしょうか。

きっとその姿が私の家族の人間性を表現するのに最も適した姿なんだと思います。

ふとそんなことを考える時間をくれた一冊です。

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