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エッセイ集

最近感じたことを、短いエッセイにしました。(初めて“目次"を使ってみました。)


Wの初心者マーク

前を走っている車に初心者マークが付いていた。
それだけなら見慣れた光景。目に留まった理由は、初心者マークが2枚並べるようにして貼ってあったから。若葉の形がぴたりとくっ付いて、まるでWの形。

初心者マークは車体の前面と後面の両方に表示することが義務づけられている。教習所を卒業した時に、2枚1組でもらったことを思い出した。
前を走る車は(車体の前面は見えないが)後面に2枚。前面にどうしても貼りたくなくて、後面だけ貼っているということ?
2枚とも?しかも、くっ付けて?

Wの初心者マークを追いかけるように運転しながら、勝手に理由を想像してみた。

理由①
「冬休みに免許取れた! うれしい!
よし、喜びのWサインだ~」
ぺたぺた♪ 

理由②
「初心者マークを1枚無くしたから買ったのに、まさか見つかるなんて・・・・・・。
もったいないから後ろに2枚貼っちゃえ! どうせならつなげちゃえ!」
ぺたぺたっ!

理由③
双子A「こっちは私ね」ぺたり
双子B「こっちは私!」ぺたり

双子の母「2人とも同時に免許を取れたのはいいけれど、初心者マークもそれぞれの分貼りたいだなんて、まったく。
だったら家族の車を使うんじゃなくて、マイカーを購入して貼りなさいよね〜」

・・・・・・あれ?理由③の場合だと、双子A・B は前面と後面に1枚ずつ貼れば平等なのでは?
それとも、実は車体の前面にもWの初心者マークが!?

そんなことを想像しているうちにその車はスピードを上げて遠ざかっていき、4つ目がまだ思いつかないうちに見えなくなってしまった。理由は永遠に謎のまま。

エリマキトカゲ

とあるエッセイを読んでいたら、「エリマキトカゲ」が出てきた。
エリマキトカゲってどんな姿をしていたっけ?
気になってGoogleで検索したら、オレンジ色の襟巻きをして口を開けているトカゲの画像が出てきた。何とも愛嬌のある顔をしている。

読んでいたエッセイには、エリマキトカゲが走る様子について書かれていた。
「エリマキトカゲ 走る」で動画も検索してみる。

撮影場所はオーストラリア。芝生の上をテケテケと二足歩行で走るエリマキトカゲ。
襟をなびかせながら、ぜんまい仕掛けのおもちゃのように両足を大きく動かして全力で走る姿が、もう笑っちゃう可愛らしさ。

その日の夜にテレビを点けていたら、1980年代といえば・・・・・・という紹介映像でエリマキトカゲが映った。
普段目にする機会が無いからわざわざ検索したというのに、再びエリマキトカゲを見るなんて!

こういうのってよくある。
自分が知ったばかりの言葉をその日のうちに何度も見聞きしたり、たまたま思い出した何かを、家族や知人、テレビの中の人が急に会話に出したり。
意識するからそう感じるだけ? エリマキトカゲのように口を開けて考えてみる。

一輪のレンギョウ

父の庭には、毎年レンギョウの花が咲く。
庭の入口を彩る小さな黄色い花たちが、来た人を出迎えるようにささやかに集まって咲く姿に、毎年癒やされている。

今月の中旬ごろ、寄り集まる枝の中央に一輪だけ花が咲いていた。まわりの仲間たちが咲くのをひとりでじっと待っているように見えた。

ひそかに見守ることにして、その数日後、そのまた数日後に覗いてみた。でもまわりの花たちは一向に咲かない。

そうして何日か空いて久しぶりに覗くと、一輪のレンギョウの黄色い花弁は、うす茶色になってしおれていた。枯れてしまったのだ。

父にその話をすると「暖かい日が続いた時に、春だと勘違いして咲いちゃったんじゃないか」と言った。
「え、ひとりだけ勘違いしてはやく咲いちゃったってこと?」
父は、まぁそうかもしれないな、と答えた。実際は3〜4月ごろに咲く花だということだ。

仲間たちを待ちながら、最後までひとりで・・・・・・

何だか胸が詰まってしまい、上手く言葉を返せなかった。
だから、咲いた姿を、ここに記します。

へんてこな映画

同僚にへんてこな映画を勧められた。
映画を観てみたら、話で聞いていた何倍もへんてこだった。

あまりにもへんてこだったので、後日同僚にそう伝えた。
同僚は「そうですよね」とにやりとした。

ふたりで、へんてこな映画のどこがへんてこだったのかをお互いに話して盛り上がった。へんてこな映画を観たあとの正しい過ごし方だったと思う。

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