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蟹葉荘 第二話



(ラジオ音)
「ざーー…センジツオキ…ざーー…ワガサヤマノ…ざー…ムノケッカ…ざーー…メイシマシ…ざーー…ヲチョウサチュウ…ざーー」

コンコンッ‼︎

「どうぞ。」

「よぉ。ワシは103号室に住む宇島言うもんや。」

「どうも。」

「どうもやあらへん。新入りのくせに挨拶も無いとはどう言う事や。」

「いや、ここ獄中か。…えっ?収容されてる?」

「そうそうそう…いつか娑婆に出れる日を夢見て、…何言わしとんじゃ。」


「反社会勢力ですか?」

「率直に聞き過ぎや。ウィスキーのストレートぐらい喉に来たわ。」


「何か御用ですか?」

「こんな所に住む奴がどんな奴か見に来たんや。」

「それは宇島さんもでしょ?鏡見たらその工程省けますよ?」

「いやこの辺で住むにあたって知らんとまずい事あるから教えに来ったんや。」

「あぁ〜。それは助かります。」

「あんな?裏に山あるやろ?あそこ危ないから入ったらあかんで?」

「近所のおせっかいおばはんか!えっ?黄色い旗持ってる?」

「そうそうそう…子供達が安全に横断歩道渡れる様に…何言わしとんねん。」

「さっきからノリツッコミ期待してないんすよ。こちらサービスで言うて嫌いなもん出された時みたいやわ。」

「特に山の中の廃村は危ない。…出よるぞ。」

「社会不適合者みたいな見た目して、ビビりなんすね。」

「お前一言多いな。テキーラぐらい体熱なるわ。」

「そもそも水害起きた山なんて行かないですよ。」

「ならええわ。…昔は和傘山の廃村ってのは肝試しスポットで有名やったんや。でも、行方不明になる奴が多くて、そもそも廃村が中々見つからんから次第に忘れられて行ったんや。」

「…宇島さんは行った事あるんですか?」

「若い頃な。…何を隠そうワシのツレも1人行方不明なってもうたんや。」

「えっ?…そこの山で?」

「そうや。ほんで気味悪いからあの山に近付かん様に生きて来たら、何の縁かこのアパートに住む事なったぅちゅう訳や。」

「お友達は見つかったんですか?」

「いや、消えたままやな。…もしかしたら逃げただけかもしれんしな。」

「…いや昔の犬ちゃうねんから。確かに宇島さんは犬ぐらいの知能しか無さそうやけど。」

「お前さっきからちょいちょい辛口やな。大吟醸ぐらい酔い回るわ。」

「酒の例え鬱陶しいな。指詰めますよ?」

「えっ?反社会勢力ですか?」

「フラッシュの次の手ぐらいの聞き方するやん。」

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