【タケシ伝】第三話
皆様は呪いを信じているだろうか?
私は信じている。
そのきっかけは小学2年の頃である。
今回は『タケシ伝』の中で身の毛もよだつ怖い伝説を紹介しよう。
〜タケシis kittokuru〜
「グワーグワー‼︎ドュクシ‼︎」
右手にカナヘビ、左手に虹色トカゲを持ち、タケシは怪獣ごっこで遊んでいた。
タケシは地元の中でカナヘビや虹色トカゲを捕まえるのが異常に上手かった。
本人いわく、「俺トカゲの傀儡子やし」との事だ。
「ドゥン!ドゥン!ドュクシ‼︎」
タケシの怪獣ごっこが段々白熱していき、道路の中央付近に近づいた。
「お前危ないぞ‼︎」
私が注意したその時、カーブして来た原付にタケシが跳ね飛ばされた。
私は突然の事で駆け寄る事も、叫ぶ事も無くその場に只立ち尽くしていた。
するとタケシが起き上がり、恐竜ごっこを再開した。
手にカナヘビと虹色トカゲを持ったままだった。
もしかすると轢かれた事に気付いてないのかもしれない。
私は我に返り、タケシに駆け寄った。
「大丈夫か⁉︎」
タケシは平然としていた。
すると50代半ばぐらいの女性の運転手が原付の方向を変え、
「あんたがこんな所で遊んでるから悪いんやで‼︎」
と怒鳴りながら走り去った。
純度100%の轢き逃げだ。
「くたばれババァ‼︎」
タケシが吠えた。
タケシに聞くと、家の近所に住む気難しいおばさんでいつも嫌味っぽく、昔から仲が悪いらしい。
幸いタケシに怪我は無く、その日は解散した。
次の日もタケシと遊んでいると、
「近所の人のお通夜あるし帰るわ。」
と言ってタケシは帰って行った。
少し気になって次の日タケシに
「近所の人誰か亡くなったん?」
と聞くと
「この前俺轢いたババァやで?」
とタケシが答える。
詳しく聞くと、そのおばさんは自宅の浴室で溺死したという事だ。
そんなに高齢でも無い女性がその様な形でお亡くなりになる事があるのだろうか?
その日から約3ヶ月程、私達はタケシの顔色を伺い、機嫌を取りながら生活する様になった。
タケシがトカゲの傀儡子から人間の傀儡子になった瞬間だった。
これが地元に語り継がれる【タケシ伝】の1つ。
『タケシ、陰陽師の末裔説。』である。
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