「ビートルズのように」
「ビートルズのように」とくれば、「ビートルズのように成功したい」とか「ビートルズのような曲を作りたい」とか「ビートルズのように歴史に名を残したい」とか色々あると思います。「ビートルズのように」という言葉から広がる思いがたくさんあります。
僕らは?僕らならなんと言う?
それは「ビートルズのように演奏したい」です。
ビートルズは今更言うまでもなく音楽の才能やクリエイティビティなどが常に大きくクローズアップされますが、僕が最近一番興奮するのはその演奏力です。
こんなに演奏力の高いバンドがあるのか、と聴けば聴くほど興奮します。子どもの頃は演奏力というのはよくわからないものでした。でも自分がギターを弾き、バンドを組み、ライブをやり、レコーディングをやればやるほど、ビートルズというバンドの演奏力の凄まじさに震えます。ビートルズの演奏力というのは彼らの楽曲のクオリティほど世の中から認識されていないのではないか?と思うこともあります。僕が子どもの頃、日本人のミュージシャンの中には「リンゴ・スターは下手だ」と偉そうに話す大人のミュージシャンがよくいました。何を聴いていたのでしょう?その言葉を思い出すたびに本当にバカだなと思います。でも日本人はビートルズの演奏力の高さというものを楽曲や音楽性の評価に比べればかなり低くみているのではないのかなと思います。ただ難しいのは演奏力というのを言葉で説明ができないことです。「ビートルズが演奏が上手い?どうしてそう思うの?」と聞かれても、「聴けばわかるでしょ?」としか言いようがない。「上手いと思わないよ」と言われれば「ああそうなんだ。さよなら」としか言えない。難しいですね。
演奏力の高いバンド、というのは他にどんなバンドがあるでしょう。レッド・ツェッペリン? ポリス? ドアーズ? クリーム?ロックのクラシックと呼ばれるバンドの名前が挙がりますが、僕はビートルズの演奏力はずば抜けていると思います。タイトなロックンロールを強烈な勢いで演奏できる彼らは、軽い曲もヘビーな曲もバラードも全てを聴く者を興奮させながら演奏できる。ただできるだけでなく聴く人間を高揚させる演奏ができる。それを「高度な技術」と言ってしまうのも何だかおかしな感じがします。それは確かに高度な技術なのですが、マシーンのように超絶技巧を駆使するという意味の技術ではないのです。有無を言わさず聴く者の肉体に直接グルーヴをぶち込む演奏ができるバンド、という意味の高度な技術なのです。ビートルズの演奏をライブハウスとかで目の前で聴いたら、きっとその爆音とグルーヴと音圧で発狂してしまうんじゃないかなとよく妄想します。ビートルズというバンドが歴史に残るような音楽をたくさん生み出したのは彼らの才能だったと思いますが、その才能を開花させ成長させ爆発させたのは彼らの最高レベルのバンドとしての演奏力だったのではないのかなと思います。だって演奏というのは楽しいのですから!楽しいことのレベルが上がっていくことほど興奮することはありません。彼らの名曲やサウンドを生み出したのも彼らの演奏力なのだと僕は思っています。
だから僕は思うのです。
「ビートルズのように演奏したい」と。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?