生きていることにして眠る。
私が片言であることを、ひっそりと隠してくれる。にんげんでいられなくなったら、私はお化けになるつもり。差し出した手、一筋の祈り。幻惑する喉から溢れ出す。それは言葉。所謂、手。
あなたの正体をぎたぎたにしてやりたい。捲れた皮の中で、やさしく見詰め合う。こころはどんな形で、どんな感触なのだろう。笑ったり、怒ったり、蔑んだり、閃いたり、する。私はひとかたまりの肉塊であることを、朝、新鮮な窓ガラスを通して知ると、不思議な気持ちになる。跡形もなくなるのだ。その日から透かして見ると、今の私はどこまでもいびつで。
こぼした。それだけの積み重ね。祈った。願った。いつの間にか捻れた幹は空高く伸びて、今や雲をも掴むほどなのだけれども、道行く人の誰も知らない。私はその木の高い枝の一本に吊り下がることを考える。恐ろしいだろうか。なら、飛んだ方が美しいか。足跡も残さずに。いつの間にか、風に巻かれて遠くへと行く。
私をぎたぎたにした手。所謂、言葉。優しさ、それは弱さの裏返った皮。どこまでも哀しいくらいに生きている。地球はよく耐えている方だと思う。私はささやかな貢ぎ物をする。こころを砕いて、砕いて、まめやかに散らす。にんげんでいられなくなったら、本当は草花になりたい。それにもなれないのなら、雲になりたい。