焦点。
伝う線の先からこぼれて行く。ひかり、と言うまやかしについて書く。気持ちを浮遊させる鉱脈を見付ける。私はあなたのことを知らない。
傷付けることを、傷付けられることを恐れたがためにひとり。一本道には草花。生きて行くことは枯れて行くことだと、知っているから雨を憎む。切り刻んだ風、たいらげて行けば私は健やかに育ちます。ひかりを注がないでください。皆が寝静まった頃に目を覚ましますので。
強かさとは根っこの方に張り付いている網だ。人間を分解して行けばそこに辿り着けるだろう。言葉にならなくなった所でしか出会えない。私は喉を掻っ切る準備は出来ている。から、茶箪笥の引き出しにはお守り代わりに剃刀を一本、隠して。あたたかい湯を沸かす。今日の新しい血にして行くために。
街を片っ端から破壊して行くほどの勇気も、気力も、もはやなくて、掴んだ怪獣は海に沈めた。さようなら。いつか透明になったら私を許してくれるか。かつて半透明だっただろう覚えているか。私の足は地面から5センチ程、浮遊している。それは今も。死にかけている。揺れる洗濯物を見て人間みたいだと思う。或いは、あなたの脱ぎ捨てたカラダ。拾い上げ、抱き上げると、あなたのたましいは風が奪い去って行った。
ひかりは一点へと集い(吸い取られ)、そこから四散して、霧散して、消えて行きます。私がその焦点です。信じているのはそれだけです。私の背後には暗がりしかない。前方も。やがて本当の夜が来て、何もかもが色を失った時に、私はあなたと会えるだろう。それだけを千切って、埋める。