ちょいと変わったノンさん 別荘編
パーティーのお誘い
おれ、るい。
「ねえねえるいるい。今度、・・・・・・しない?」
こっちは、ノンさん。ノンさんは最近、髪を染めた。
「今度なんだって?」
聞こえないから、聞いてみた。
「今度、わたしのパパが家で貴族の集まるパーティーを開くから、その時に来ない?」
なんだってーーーーーーーーーーーーーー!
「その、ノンさんのパパが主催しているのに、子供が来てもいいのか?」
「ん?パパが家で開くから、わたしの別荘に来て。ってことだよ。」
別荘!別荘なんて初めて聞いた。改めて思うけど、ノンさんってお金持ちだよな。
「この前のお泊り会のメンバー呼んどいて。」
勝手に行くこと決まってる。
別荘
へー。ここが、ノンさんの別荘なのか。大きいな。
「海を貸し切りにしといたよー。水着は持ってきた?女子は、私の部屋で着替えるから、男子は泊まる部屋で着替えてね。」
はーい。
海で
おれの水着は紫で、ナッツは黒で、江は星柄、平也は水色、直樹は黄色だった。ノンさんは薄めの紫で、花はピンクの花柄、瑠奈は星柄、ひよかはひよこ、美菜は英語だ。なんか、お泊り会の時と似てないか。江が美菜の水着を褒めている。平也は花を恥ずかしそうに
「綺麗だな。」
と褒めている。おおー、もしやもしや。この2人、付き合っているんじゃないか?瑠奈は直樹に
「こういう時は噓でも、女の子を褒めた方がいいんだよ。」
と説教?している。直樹は
「瑠奈、綺麗だよ。」
言われた通りに言った。自分に言われると思っていなかった瑠奈が、顔を赤らめた。そのころナッツは、ひよかの水着を見て、死にそうな顔をしていた。
「ナッツ。どうしたんだ?」
ナッツは、
「今言うのかって話だけど、おれ、ひよかに惚れちまった。」
うん。本当に今言うのかって話だな。続けて、
「そうそう、ちゃんと気持ちに正直になった方がいいぜ。中途半端なままだと相手も自分も、傷ついてしまうからな。」
そして、ひよかに、
「その水着、いいね!」
と褒めた。みんな水着褒めているのに、おれだけ褒めれていない。どーしよ。そして、江が
「海に入らない?」
といったから、おれは誰も褒められずにいた。
水泳大会
水泳大会をすることになった。瑠奈と直樹がダントツに速かった。水泳習っているからかな。結果は瑠奈、直樹、美菜、ひよか、平也、ナッツ、江、花だった。ノンさんは自分が遅いからといって不参加、おれは勝てる気がしなかったから不参加。
自分の気持ち
帰る時間はあっという間にきてしまった。でも、おれは1つ気掛かりなことがあった。まだ誰の水着も褒めれていない!瑠奈が「褒めた方がいいよ」って言ったこととナッツの「ちゃんと気持ちに正直になった方がいいぜ。中途半端なままだと相手も自分も、傷ついてしまうからな。」という言葉を思い出していた。自分の気持ちに正直になる、か。おれはそういうことが苦手だ。そういやおれ、1度もノンさんに気持ちを伝えてなかったな。今日こそは伝えてみるか。
「あの、ノンさん!」
「るいるい!」
おれとノンさんの言葉が重なった。
「先にどうぞ。大したことじゃないし。」
おれは恥ずかしくなって、ノンさんに先に言わせた。
「いいや、るいるいからどうぞ。」
そうだな。みんな言っていることだし、恥ずかしくない。・・・・・・と思う。頬がぶわっと熱くなった。
「その、水着、に、似合っていっるっるよ」
その水着、似合っているよって言ったつもりだった。ノンさんが
「ヒェッ。あっありがとう。」
ノンさんも顔赤い気がする。
「ノンさん顔赤くない?」
心配だったから聞いてみた。
「う、うるさい。夕日でそう見えているだけ。」
そうか。心配して損した。
「そういえば、おれに言いたいことあるんだったっけ?」
「もういいよ。」
気になるけど、本人がそう言っているんだし、いっか。
遊びの終わり(ノンさん)
私だけ、水着褒められてない。どうしよう。遊びの終わりになっても言われなかった。自分で言った方がいいのかな。いってみないとわからないし、るいるいにいってみよう。
「るいるい!」
「あの、ノンさん!」
るいるいと声が重なった。
「先にどうぞ。大したことじゃないし。」
え。るいるいが声かけてくれたし、
「いいや、るいるいからどうぞ。」
って、恥ずかしくて言っちゃった。自分で言った方がいいのに。
「その、水着、に、似合っていっるっるよ」
ぶわっと頬が熱くなる。っていうか、大したことじゃないって、言ってたから、るいるいにとって私はどうでもいい存在なのかな?恥ずかしいけど、とりあえず、
「あっありがとう。」
「ノンさん顔赤くない?」
私は顔が赤いのを見られたくなくて、
「う、うるさい。夕日でそう見えているだけ。」
とごまかした。心配してくれてたのに。
「そういえば、おれに言いたいことあるんだったけ?」
ギクッ。今更水着どうって聞くのもあれだし、
「もういいよ。」
ってまたごまかした。るいるいは気になっていたようだけど、私が答えなかったから、聞かないようにしたみたい。ありがとう。この日、またるいるいが優しいことを知った。