テキトーを重視して─────────────
※※二次創作です。本家ではありません。本物語では、血は噴き出しません。
俺は昴。
軽トラックだ。
……は?
軽トラック?え、俺軽いの?
嫌だよ、もっとずっしりと構えているワイルドなカッコイイトラックが良かったな。
って!
なにボケの渋滞させてんだよ!
トラックなことに違和感抱けよ、数分前の俺!!
そもそもなんで俺がトラックなんだよ!
どうせならオープンカーが良かったわ。
……って!
なんで車限定なんだよ!
俺は人間だ!
あの、そこ大文字にするとややこしいので辞めてもらえます…?
俺は主人公だから、話の中からでも文字体の関係や、番外編を読むことが出来る。
チートスキルだろって?
フッ、主人公に生まれた宿命さ__
ってかっこいい感じ出してるけど!
誰か車なことにツッコんでくれ…。
いっそのこと俺が一人二役でツッコむか?
まぁいいや、どうせ人間には戻してもらえないんだし。
今日は、配達用軽トラックとして頑張るぞー!
配達
俺が出勤したのは10時で、運転手は金髪のヤンキーだった。
耳にジャラジャラとピアスをつけていて、どれも絶望的にダサい色ばかりだった。
ブィィィン
俺にエンジンがかかり、走り出す。
俺が今日行くのは蝦夷地だ。
……エゾチ?
蝦夷地とは北海道の昔の呼び方で、アイヌ人に占領されていた時の名である。
なんで昔の呼び方なんだよ!
ヤンキー馬鹿そうだからわかんねーだろ!
「え、、えびいち?なんだそれ」
案の定、ヤンキーはわからなかった。
というか、漢字が読めなかった。
わかるー、難しいよねー。
ヤンキーに同感したが、
「…チッ」
舌打ちされて怯える。
__が。
本当はヤンキーを轢けるほどの力のある軽トラックなので、怯える理由はない。
ヤンキーはえびいちとナビに入力すると、走り出した。
いやいやいやいや、ちょっと待て!
俺、どこ向かってるんだ?
そもそもえびいちってどこだ⁈
そんなところ在るのか?
そう悩んでいると、ヤンキーがながらスマホを始めた。
イヤァァァァァァァァ
俺は声にならない叫びをあげ、それから急いでナビの位置を変更する。
北海道○○○ 〇〇〇ー〇〇〇
この住所、なんか知ってるぞ?
……あっ!
そこは寸也斗という、緑髪の双葉が特徴的なサイコパスお金持ちの俺の友達が住んでいるところだった。
寸也斗は、なにを頼んでいるのだろう。
俺は荷台の所に目を移動させた。

すると、ラベルの所には
【『今ならお得!○○市の包丁の詰め合わせ♡』✖30】
と書かれてあった。
スゥーッ
こんだけの量のナイフで何をしでかすのか。
俺、こいつの将来が不安だよ…。
と、やっていると信号が目の前にきて__
赤信号なのに、ヤンキーは気づかず渡り始めた。
轢いちゃった?引いちゃった。
誰でもこの状況なら引いてしまうだろう。
きっと画面の向こうのいい子の皆も引いているはずだ。
みんなっ!このヤンキーみたいな悪い大人にはなっちゃいけないからね!
とまあ注意喚起をしたところで~。
「おい!止まれよヤンキー!しーずーまーれー」
大声で言うも、気づいてくれないようだ。
ヤンキーは気づかず進んでいく。
「イヤァァァァァァァ」
本日二度目の悲鳴だが、届くことはない。
車が飛び出してきた!ヤバいっ、ヤバいっ!
車にぶつかったが、俺の脇腹が吹き飛んだ……というか凹んだだけで、相手は無傷だった。
俺、よわっ!
そして俺の負傷には全く気付かないでヤンキー。
心配してくれよぉ。
対して頑丈ではないくせに、中には影響のない俺。
この体質をちょっと恨むわ。。。
少し行くと、崖が見えた.
「おいヤンキー!止まれ!」
寸也斗の家を超えて,崖まできたヤンキーは俺の声を気にすることなく突っ込んでいく。
「イヤァァァァァ」
本日3度目の悲鳴も、ヤンキーには届かなかった。
「おい止まれ止まれ止まれ〜!!」
残念なことに、トラックの俺の声は聞こえない。
やばば。。。
誰か助けてくれ…。
そう、願った時だった。
俺は止まれたのだ。
…と言うか後ろに引っ張られてる気がする。。。
後ろを見ると、寸也斗とピンク髪のイケメン、桃李さんがいた。桃李さんは怪しい服屋さんをしていて、寸也斗の姉私さんの婿である。
って、なんで⁈
桃李さんは俺を持ち上げて、普通の道に戻した。
ありえん、こいつやばいわ。
あ、やべこいつって言っちゃった、。
まぁ聞こえないよね。
「頼んでたナイフが遅いと思ったら、事故ろうとしてたなんて驚きだよね。
男子会しようとしてるのに昴は未読無視だし」
あぁ、それはごめんなさい!
車になってたから、、、
なんて寸也斗は信じてくれないんだろうけど。
「とにかく!これからはながらスマホはダメだよ。もししてるの見かけたら次は、、、スマホ没収だからね」
寸也斗は寛容であった。
__が。
~後日~
俺が人間に戻り、メッセージアプリを起動すると中には300件の通知が来ていた。
俺の友達は寸也斗だけなので、全て寸也斗からである。
俺は急いで返信し、家に呼ばれたためいそいそと準備して出て行く。
「おい昴!前来なかっただろ!罰として今日は・・・・・・」
むっちゃキレられた。
どうやら、優しかったのはヤンキーに興味が無かったからのようだ。
そして俺は今日、ひたすら人参を切るという作業に没頭しなければいけないこととなった。
「包丁ってそのための物だったのかよ・・・・・・」
めでたしめでたし おしまい✫