メリーさん 1
プルルルルルルル
「私、メリーさん。今、あなたの後ろに居るの」
女の子。
私を捨てたその女の子は、振り返ると、泣きそうな表情になる。
泣きたいのは私なのに。
私を捨てたあなたが泣く資格はないのに。
「…逃げないでよ」
女の子から飛び散る真っ赤な血。
青かったのに、赤くなった。
返答が返ってこない。
そうやって、無視するんだね。
もういいよ。
「バイバイ」
メリーさん
・昔捨てられた人形
・今は電話に出た相手を呪うのを専門としている
・拾ってもらえるのを待っている
””ねぇ、知ってる?メリーさんの怪談””
友達から、そんな話を聞いた。
””メリーさんはね、昔、女の子に捨てられたんだけど、今もその子に電話を掛けていて、電話に出た子を呪うんだって。一途だよねー””
ふうん。興味がない話だった。
””でもね、対処方法があってね…””
主人公
・不運にも電話に出てしまった少年
・人形は一つも家に持っていない
・女の子と間違えられやすい
0
電話に出たのが始まりだった
なんで男の子なの?
怪談の話なんて本当なわけないじゃん
信じてない人が多いんだよねー
どこに逃げたらいいんだ
私 メリーさん 今 ____???
1
プルルルルルルル
公衆電話の電話が鳴っている。
誰も出ようとしないから、好奇心で出てみた。
””私 メリーさん 今 東京に居るの””
背筋がゾクッとした。
今の俺は、千葉県にいる。
怖いのはそれじゃない。
公衆電話にかかってきて、それもメリーさんだなんて。
信じられないけど、そうな気がする。
だって、後ろでナイフを研いでいる音がした。
ドキドキが速くなる。
逃げないと、
2
俺は荷物を運ぶ船に乗った。
ゆらゆらと揺れるのが気持ちよくて眠ってしまった。
プルルルルルルル
電話が鳴る音で目を覚ましてしまった。
「はいもしもし」
””私 メリーさん 今 千葉に居るの””
今…ここどこだ?
とりあえず船から飛び降りて、泳いで岸まで行く。
幸い、ケータイにつける防水用のやつがあったから助かった。
「すいません、」
そこに居た人に声をかける。
「なんやなんや~?よそもんか、あんた」
下ろしたままの長い黒髪を揺らして振り向いたその人は関西弁。
ってことはここは、関西?
「あの、ここって…」
「そやで、あんたの思ってる通りここは…北海道や」
…え?
3
男の子だなんて知らなかったわ
女の子だと思って電話を掛けたもの
ややこしいことしないで欲しいわ
私にだって、心は読めないのだから。
いつだったっけな
捨てられたのは
いつだったっけな
もう何年も前の事になる。
とか言ってみたいな
正確な数は何年か経ってから数えるのを辞めてしまったからな
懐かしいな
…
許サなイ
4
取り敢えず他の人を探す。
「なんで逃げようとするんよ?」
ダッテコノヒト、オカシインダモン。。。
「いや、北海道なんはほんまやって。あ、あれか?うちが関西弁やから?」
コクコクと素早く首を縦に振る。
「…なら仕方ないなぁ、ケータイ見てみ?」
俺はケータイで天気予報から位置情報を見る。
北海道
あ、マジかよ。。。
じゃあなんで関西弁なの?
「いやー、うちさぁ、関西から来てん。なんだっけ、会社の移動?的なんでさ~。
あ、うち藍。
あんたの名前は?」
へー。
俺の中での藍の位置が、『変な人(不審者)』から『ちょっとだけまとも』に変化した。
「斗環だ」
胸を張って、背を反っていった。
「ふ~~~~~~~ん」
どうでもよさそうっ!
むっちゃどうでもよさそう!
自分で聞いたのに⁈
あ、そうじゃないメリーさん!
「あ、あの…実は俺、メリーさんに追われてて。なにか、どこかに行けるようなおすすめの乗り物ってないか?」
プッと吹き出す藍。
え、失礼だぞ?
もしかして冗談だと思われた?
「アホやなあ、ここ北海道やで?うちの慣れた土地とちゃいますんで」
あ、え、そっち?
笑ったのはメリーさんの事じゃない?
「あ、でも、うちそう言えば今日の里帰りの飛行機の予約間違えて2人分取っちゃったんやっけ?
友達連れてこかなって思ってたけど結局会わんくて誘えんかったし、後でお金払ってくれんのやったら一枚チケット譲ったるけど」
え、まじで!?
俺は興奮したが、すぐに冷静になる。
「俺、お金東京にあるから…あ、無理だ」
ヤバいヤバい、どーしよう⁉
「いーよいーよ。面白いの見せてもらったしw
てかあんたどうするつもりやったん?
どうやって東京から北海道まで来てん、直行とか無理やろ。」
俺は無言になる。
「あ、非合法、的な?」
スンッ…となる藍。
「ま~いっか。そんなことより後30分ぐらいで出るから急ぐで!」
藍は歩き出した。
だいぶ早かったから、俺は走らないといけなかった。
走り始めてコンビニ付近に着いた頃、ポケットの中が振動し始めた。
プルルルルルルル
あ、電話。
俺は電話に出るのを躊躇してしまった。
そして、切るボタンに指を置こうとする。
「なんやなんや、それがメリーさんからの電話か?」
いつからかはわからないが、後ろに藍が居た。
驚いて俺はケータイを落としそうになる。
そのケータイを藍は
「ちょっと貸してや」
と言って俺から取り上げ、電話に出てしまった。
””私 メリーさん 今 東京に居るの””
「はいもしもしメリーさぁ~ん?」
煽るように藍は言った。
だが、幸いと言っていいのかな。
メリーさんからの電話は切れていた。
藍はチッと舌打ちをする。
「行こか」
藍は頭を両手で抑えながら歩いた。
俺はそのことについて質問しようとしたが、藍の背中が放っておいてと語っていたため辞めておいた。
知らんけど。
空港に着くと、もうそろそろ出発しそうだった。
藍と一緒に急いで飛行機に乗る。
チケットを見ながら席に座った。
昔から空を飛ぶ飛行機には憧れていたが、だがこんな形で乗ることになるとは。
複雑だ…。
『えー、飛行機が発車(?)します。お席に静かに座り、空の快適な旅をお楽しみください』
よしっ!
Let'sgo関西!
フレッフレッ飛行機!
メリーさんよりもっと早く動け~っ!
5
なんで居ないの
私の事、をいて行っちゃったの
サイッテー
思い出してよ
私捨てられたんだよ
置いてかれるのがっ
トラウマになってるんだよ
ほんっとサイッテー!
私がいつも電話してるのは逃げて欲しいわけじゃないのに
こっちだって歩くの疲れるんだから私の都合も考えろっつーの!
あーもう許さない
絶対追い詰めてやる__
終わり