テキトーを重視して─────────────
""ポンッ””
…わ…しつ…?
「えっ、和室っ⁉」
嘘だろ、俺、寸也斗と一緒にトランプしてたのにっ!
あと一枚、ババ抜きで数字を俺が引いたら上がれたはずなのに!
「うるさいわね!」
あ、すいません…。
申し遅れました、俺は昴、高校2年生を二度留年しただけの普通の凡人です。趣味は…
ってちっが~う!
なんなのこの微妙なメンバーは⁈
キラキラした瞳で襖を楽しそうにリズムよく開け閉めする歩弥。
「ばつまるさんかーくさんかくしかくよーっつ!」
しかも変な曲歌ってるし。
「ちょっとあんた、なにしてんのよ」
ちょっとまともそうに歩弥にツッコんでいる恋奈。
俺にさっきうるさいっていった奴だ。
「男子誘って遊ぶって約束は?」
あ、全然ツッコんでいる理由がまともじゃなかった。
コタツにくるまって猫のみたい。でも、小鹿のように震えている桃李さん。前も震えてたよなこの人…。
寒がりなのか?
「わーちゃんわーちゃんわーちゃんわーちゃん」
やばいかもしれない。
それと、と・て・も!まともな俺。
キャラ紹介が終わると、みんななぜかコタツに吸い込まれていく。
そして、俺の頭と桃李さんの頭が当たってゴツッと鈍い音がすると、吸い込まれるのは止まった。
俺はコタツから顔を出し、反対側からヒョコッと可愛く顔を出している桃李さんを見て吹き出す。
すると、歩弥と恋奈がこしょこしょと話した。
~歩弥と恋奈の小声の会話~
「恋奈、すべる先輩なんで笑ってるんだろうね」
「さぁ、、?でも、見ない方が良いわよ。悪影響だから」
「わかった!私、すべる先輩の事見ないようにする!」
「そうしな、歩弥」
俺には何も聞こえなかったが、
画面の外の皆⁉なにか聞こえたか?((語り掛けるな
ほっぺたが真っ赤になり、皆がきちんと正座すると机の上にポンッと一つの丸いおせんべえが現れた。
俺は突然、おせんべえが食べたい気分に襲われる。
かろうじておせんべえを取ろうとする腕を止めたが、口は開いたままでおせんべえが入ってくるのを楽しみに待っている。
俺が周りの様子を見ると、みんな目がギラギラしている。
どうやらみんな、おせんべえが欲しいようだ。
「ねえ歩弥…」
恋奈が最初に口を開いた。
「そうだね、1人しか食べれないね」
歩弥はそう言ってあらかじめ持っていたバッグから色々取り出している。
…いやズルくね?おれなんかトランプ二枚しか持ってないぞ?
なんか桃李さんは腰辺りに手をかけてるし。
いやな予感がした俺は、おせんべえのある机から後ずさった。
その瞬間、桃李さんが刀で切りかかって来た。
「ウオッ」
俺は思わず飛び上がる。
…てか刀?銃刀法違反じゃね?
そう思っていると、隣から銃弾が飛んできた。
桃李さんを狙っていたようで、桃李さんは寸前の所で避けた。
「…なんで殺し合い始まってんだ?」
俺はツッコむ。
「え、おせんべえ食べれるの一人じゃっやべ」
真面目に答えてくれる桃李さんは、恋奈から飛んできた銃弾を避けるのに精いっぱいそうだった。
「いや平和に分けるって言う考えはないのかよ!」
俺、手持ちの武器が無いからなるべく戦いたくない…。
というか歩弥は?
「おせんべえ…」
血走った目でおせんべえを見つめている歩弥。
と思ったらおせんべえ掴もうとしてる?!
俺も食べたい!
俺は走って歩弥の腕を退け、おせんべえに指一本触れる。
「「「最悪…」」」
俺以外の3人の声が重なった。
「もういいやー」
「すべる先輩が触っちゃったからねー」
おいっ、誰がすべる先輩だよ!恋奈にツッコもうとするが、隣で涙目になってロケランを構える歩弥を見て黙り込んでしまう。
「おせんべえ…」
え、1人だけおせんべえガチ勢いた?
今の気分だけでおせんべえが食べたいんじゃなくて、元から好きだった『おせんべえガチ勢』いた?
歩弥は声を張り上げて言った。
「私のおせんべえなに食っとんねん!あんた私のおせんべえにかける愛情知らんから食べたんやろ、ホンマ許さへん!!」
HA?
変換する間もなく、俺は吹き飛んだ。
””バシュコーンドカーンッドドドドドドドドバーンッ””
「おぉ、さすがロケラン。威力高いね」(桃李)
「ねぇ、なんであんた助かってんの?バッカじゃないの?」(恋奈)
「ウチの嫁が俺用に仕立ててくれた超高級で頑丈な防弾チョッキがあるから。
ほら、まだ敗れてないよ。
じゃあ帰るね~バイバーイ」(桃李)
「おせんべえ…😢」(歩弥)
「ほら、泣き止んで。」(恋奈)
「すべる先輩が食べたのが悪いんじゃん…。すべる先輩が弁償してくれないとヤダ~!」(駄々こね歩弥)
「ここに、なんかすべる先輩が置いて行った500円玉があるからこれでどう?駄菓子屋寄ろうよ」(恋奈)
「さんせーいっ!!」(歩弥)
そして、すべるは無事、チリチリに頭がアフロになり、寸也斗とのトランプに負けましたとさ✫
チョー絶めでたしめでたし
最後に
もう一度聞きます、