ChatGPT-o1で自分の価値観を振り返ってみた【テンプレあり】
ChatGPT o1を知っていますか?
o1は、従来のモデルと比較して、特に科学、コーディング、数学の分野での推論能力が大幅に向上しています。例えば、数学オリンピックの予選問題において、汎用モデルであるChatGPT 4oの正解率が13%であったのに対し、ChatGPT o1は83%の正解率を達成しました。さらに、ChatGPT o1は人間の専門家と同等のパフォーマンスを示し、特定のベンチマークで専門家を上回る成果を上げています。これらの進化により、ChatGPT o1は複雑なタスクにおいてより人間に近い応答を提供できるようになりました。
要するに、より複雑なタスクを人間と同等以上のクオリティでできるようになったのです。今回は、そんなo1に、自分の価値観を言語化してもらう、コーチングに近い実験をしてみました。きっとo1なら、洞察に富んだ面白いレポートを書いてくれるのでは、という期待をしています。
用意したテスト
2024年ももうすぐ終わるということで、自分の価値観って改めてなんだっけ?が気になったので、以下の著名な参考文献からさまざまな3つの自己省察テストを抜き出し、ワークシート化しました。これを埋めて投げれば、良い回答が得られるはずです。
1. 自分を知る6つの質問
以下の質問にできるだけ詳しく回答してください。
あなたはどんな価値観で育てられましたか? 自分のいまの思考体系は、それらの価値観を反映しているものですか、それとも育てられた価値観とは違う視点で世界を見ていますか?
幼い頃や思春期における最も重要な出来事および経験は何ですか? それらが自分の世界観にどう影響を与えましたか?
職場や私生活で、どんな人たちを一番尊敬していて、その人たちのどんなところを尊敬していますか?
一番尊敬していないのはどんな人で、なぜそんな風に思いますか?
これまでで最高(最悪)の上司は誰ですか? そう思うのは、その上司が何をしたからですか?
自分の子供を育てたり、他人を指導するにあたり、一番伝えたいのはどんな行動で、一番伝えたくないのはどんな行動ですか?
2. 価値観リスト
リスト上それぞれの価値観に対し、★…非常に重要、◯…まあ重要、✗…重要でないの3段階で評価してください。その後、★の数を取捨選択して10個まで減らします。(★の数がこの時点で10個に満たない場合は見直しをしてください。)
10個まで絞った価値観をランキング付けし、1位から10位まで納得のいくまで順位を入れ替えます。
1 受容:ありのままの自分を受け入れてもらう
2 正確:自分の意見や信念正しく伝える
3 達成:なにか重要なことを達成する
4 冒険:新しくてワクワクする体験をする
5 魅力:身体的な魅力を保つ
6 権威:他者に対して責任を持って指導する
7 自治:人まかせにしないで自分で決める
8 美的:身のまわりの美しいものを味わう
9 庇護:他者のめんどうをみる
10 挑戦:難しい仕事や問題に取り組む
11 変化:変化に富んだバラエティ豊かな人生を送る
12 快適:喜びに満ちた快適な人生を送る
13 誓約:絶対に破れない約束や近いを結ぶ
14 慈愛:他者を心配して助ける
15 貢献:世界の役に立つことをする
16 協調:他者と強力して何かをする
17 礼儀:他者に対して誠実で礼儀正しく接する
18 創造:新しくて斬新なアイデアを生む
19 信頼:信用があって頼れる人間になる
20 義務:自分の義務と責任を果たす
21 調和:周囲の環境と調和しながら生きる
22 興奮:スリルと刺激に満ちた人生を送る
23 貞節:パートナーにウソをつかず誠実に生きる
24 名声:有名になって存在を認めれる
25 家族:幸福で愛に満ちた家庭を作る
26 体力:丈夫で強い身体を保つ
27 柔軟:新たな環境にも簡単になじむ
28 許し:他人を許しながら生きる
29 友情:親密で助け合える友人を作る
30 愉楽:遊んで楽しむこと
31 寛大:自分の物を他人にあたえる
32 真実:自分が正しいと思うとおりに行動する
33 信教:自分を超えた存在の意思を考える
34 成長:変化と成長を維持する
35 健康:健やかで体調よく生きる
36 有益:他人の役に立つこと
37 正直:ウソをつかず正直に生きる
38 希望:ポジティブで楽観的に生きる
39 謙遜:地味で控えめに生きる
40 笑い:人生や世界のユーモラスな側面を見る
41 独立:他者に依存しないで生きる
42 勤勉:自分の仕事に一生懸命取り組む
43 平安:自分の内面の平和を維持する
44 親密:プライベートな体験を他人とシェアする
45 正義:すべての人を公平に扱う
46 知識:価値ある知識を学ぶ、または生み出す
47 余暇:自分の時間をリラックスして楽しむ
48 寵愛:親しい人から愛される
49 愛慕:誰かに愛をあたえる
50 熟達:いつもの仕事・作業に習熟する
51 現在:いまの瞬間に集中して生きる
52 適度:過剰を避けてほどよいところを探す
53 単婚:唯一の愛し合える相手を見つける
54 反抗:権威やルールに疑問を持って挑む
55 配慮:他人を心づかって世話すること
56 開放:新たな体験、発想、選択肢に心を開く
57 秩序:整理されて秩序のある人生を送る
58 情熱:なんらかの発想、活動、人々に深い感情を抱く
59 快楽:良い気分になること
60 人気:多くの人に好かれる
61 権力:他人をコントロールする
62 目的:人生の意味を方向性を定める
63 合理:理性と論理に従う
64 現実:現実的、実践的にふるまう
65 責任:責任をもって行動する
66 危険:リスクを取ってチャンスを手に入れる
67 恋愛:興奮して燃えるような恋をする
68 安全:安心感を得る
69 受諾:ありのままの自分を受け入れる
70 自制:自分の行動を自分でコントロールする
71 自尊:自分に自信を持つ
72 自知:自分について深い理解を持つ
73 献身:誰かに奉仕する
74 性愛:活動的で満足のいく性生活を送る
75 単純:シンプルでミニマルな暮らしをする
76 孤独:他人から離れて1人でいられる時間と空間を持つ
77 精神:精神的に成長し成熟する
78 安定:いつも一定して変化のない人生を送る
79 寛容:自分と違う存在を尊重して受け入れる
80 伝統:過去から受け継がれてきたパターンを尊重する
3.情熱を確かめる10の質問
あなたが情熱を感じる源を明らかにします。
質問にできるだけ詳しく回答してください。
朝起きてすぐに活動したくなるような日とは、どんな1日だろうか? 理想の1日をイメージしてみよう。
自分が飽きずにできたプロジェクトや活動はどのようなものだろうか?
自分が全く楽しめないプロジェクトや活動はどのようなものだろうか?
明日に仕事を辞めてしまったとして、後で一番やりたくなるのは仕事のどの部分でしょうか?
あなたの趣味はなんだろう?その趣味のどこが好きなのだろう?
若かった頃、大人になったら何になりたいと思っていただろうか? その仕事に魅力を感じていたのはなぜだろうか?
いまの時間の使い方は、自分にとって意味があると感じられるだろうか? 何かが足りないと思うなら、それはなんだろうか?
第三者になったつもりで、自分が普段どんなことに情熱を持っているかを観察してみてください。どんな感情が湧くでしょうか?
この世界にどんな足跡を残したいでしょうか?
寿命が後1年だとしたら、どのように時を過ごしますか?
o1は素晴らしき専属コーチになれる
ワークシートに回答したので、早速o1に質問してみます。
ちなみに、ChatGPTはExcelを読むのが苦手なので、シートをコピペします。
質問は「あなたはコーチングのプロです。私の以下の価値観分析から、私の価値観を言語化してください。1万文字程度で。」とかなりざっくりしたもの。これでどうなるか…
これはスゴイです。
9010文字と、1万文字には満たないものの、超詳しくあらゆる観点から分析をしてくれました。内容も洞察に富んだもので、個人的にはお金を払いたいと思えるレベルです。
回答はこちらのファイルに記載しています。
一方、全く同じ質問をGPT-4oにしてみたところ、出力されたのは1692文字で、出力内容はほぼ書いてあることの要約で洞察はあまり見受けられませんでした。まあ、プロンプトがざっくりしすぎているので当たり前ですけどね…。それにしてもo1の素晴らしさを体感しました。
この実験を通して思ったこと
率直に感じたのは、o1の思考力は人間を遥かに超えているということです。4oレベルの出力であれば、一般的な大学生くらいの知能があれば時間さえかければ回答できるくらいと感じました。一方で、o1の出力は、コーチングの専門家が、数時間かけてやっと書けるか書けないレベルの出力なのではないかと感じました。それは、クオリティ的に見ても、文章量的に見てもです。
プロンプトをちゃんと調整できれば、ビジネスにつなげることもいくらでもできるのでは、という可能性も感じました。4oレベルの回答では、まだ人間がやった方が良い仕事ができるなーというレベル感で、感覚としては「叩き」を作成するのにはちょうど良いぐらいでした。成果物として誰かに提供するにはある意味AI臭く、ある程度知識のある人から見れば薄っぺらいものでした。それでも人間が考えなければならない仕事のうち20%くらいは削減できるのですから十分すごいのですが。
マッキンゼーによると、生成AIにより、アメリカの労働時間の30%は2030年までに自動化される可能性があるとされています。まだ笑っていられる人もいるでしょうが、着実にこの数字は現実味を増してきているな、と感じました。