ピヨピヨ

新人研修の3か月間を経て、いよいよ配属先が
発表される日が近づくにつれて、緊張が高まっていった。


配属先は、私が予想していたところと違っていて
少し驚いたものの、私はそこの事務担当者として配属された。
特に配属先の希望はなかったけれど、
与えられたところで頑張ろうと意気込んでいた。


私の会社は、金融だったので基本的に営業部門では
営業担当と事務担当がいて
他の部署でも担当があってそれぞれ役割が分かれていた。

営業担当は、主に取引先(担当制)にルート営業をしに行くという
かたちで、取引先を支援したり営業推進をしたり
商品を売るためにセールスマン等に勉強会をしたり。

私が担当していた事務担当は、入社時は
主に内勤がメインで
取引先からくる問い合わせや照会応答の対応だったり
契約後のアフターフォローをしたり
そのほか不備の案件などをを管理したり。
私が退職する数年前からは、事務担当者も
積極的に営業推進に関わろうという会社の方針もあり、
担当の取引先に出向いて営業推進をしたりすることもあった。


私の同期のうち1人も、同じ部署の営業担当として
配属されたこともあり、同期がいる!ということが
とても嬉しかったし心強かった。


私の性格上、営業は向いていないと思っていたのと
どちらかというと細かい作業とか
縁の下の力持ちという仕事の方が向いていると思っていたので
事務担当者として配属されたのは良かったと思っている。


入社1年目は、本当に右も左もわからないことだらけで
今思えば、指導担当の先輩にも周りの先輩たちにも
沢山迷惑をかけたなあ、と思い出す。


私の指導担当の先輩は、なかなか珍しいことだと思うが、
私の母と同じ年ぐらいのベテラン女性社員の方で
部署どころか支店のみんなからも頼られるぐらい
知識も豊富だし、何人もの指導役として担当してきた方だった。

退職後の今も、その方とは懇意にさせていただいており
近況報告をしたり、退職後に会社に遊びに行ったり
ご飯に行ったりしている。

いわば、「第2の母」という存在だ。


でも、最初はこの指導担当の方はぶっちゃけ「苦手」だった・・。

すごくパワフルなところもあり、第一印象は
「この人、強いなあ・・・」

良くいえば、自分の芯がある。人の面倒見が良い。
悪くいえば、おせっかいなところがある、言い方がきついところがある。

そんな感じ。

最初は、細かいことも色々怒られたり
強くてきつい言い方に心が折れそうになったが、
その方のおかげで、私は打たれ強くなったと思う。

私はぽんこつな新入社員だったけど、
でも、指導担当の方はあきらめずにそばで指導してくれたのもあって
辛かったけどそのとき会社を辞めずにいられたと本気で思う。


事務の仕事は、とにかくいろんなものが降ってくる。
自分がしようと思っていた仕事があっても、
突然問題が発生したりして業務が思うように進まないことも多い。
それをいかに効率的にさばいていくか、ということが難しい。

それをさばいていくためには、まずは
業務知識に関することの点と点が結びついていないといけない。
そして「これは何のためにやっているのか?」ということが理解できないと
同じミスを繰り返してしまう。

私はこれを一人でようやくこなしていくのに3年はかかった気がする。

当時、取引先は担当制で配属後半年頃をを過ぎると、
ようやく先輩たちが担当していたところから引継ぎを行い、
自分の担当を持つようになった。

担当先の中に、課の中でも大きい取引先があって、
そんなところをピヨピヨの私が担当してもいいのか
大きな疑問であったが、後から聞いたところによると
その取引先での担当者の方がすごくベテランの方ということもあり
私を一緒に育てていく、ということで
当時の上司たちからもお願いして、決めたことだったらしい。

まあ、その方もなかなかのくせ者だった。
少しヒステリックなところがあったけど
逆にいろいろと私が教えてもらったり
取引先のことを色々勉強させてくれたりした。

担当した当初、電話で照会応答を受けたが、
相手がいっていることが全く理解できず、私が答えられなかったときに
「もう、いい!!!!!」と言われて
そのままぶつっと電話を切られたこともあった。
(終わった・・・と思った)

その担当先は、数年間担当して
色々もめたこともあったし、大きい取引先なだけに
問題もたくさんあったけど
色んな事を経たおかげで
その方にとてもかわいがっていただいた。


とにかく、1年目の私は「ピヨピヨ」だった。
自分の業務に忙殺されて、周りがみえていないこともあったし
指導担当の先輩とか周りの先輩たちがカバーしてくれたり
今となっては私が知らないところで
色々やってくれていたのだと思う。

まずは業務知識を身につけるために
自分なりのノートをまとめたり
(照会応答で聞かれたことを書いて、自分はどこを調べて
どう答えた、とか)
会社で行われる勉強会で学んだことを必死で覚えたり
努力した日々だった。


当時の事務担当は私を入れて5名、派遣さんも入れると
8名ぐらいだった。

私の1つ上の先輩がいたが、1つしか違わないのに
その先輩の仕事ぶりにいつも尊敬してばっかりだったし
事務のリーダーを担っていた3つ上の先輩は
若いのに何でもさくさくこなしていて
リーダーシップを営業担当者に負けず課の中でもとっていたり
果たして数年後、自分は先輩みたいになっているだろうか?という
不安がいつも心の中にあった。

今まで味わったことのない漠然とした不安と自分の不甲斐なさを
いつも感じていた1年目の私、かわいかったなあ。笑

















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