「芳華、国へ帰る」ひとみ編第3話のベトナム語とベトナムの若者文化
今回ほとんど芳華が出てこない「芳華、国へ帰る」のひとみ編ですが、3話を見た方でひとみが参加したゲームがあまりにも無茶苦茶でびっくりした方がいたと思います。
この話でフォンが言っていた「Ếの人いるー?」という発言ですが、「Ế」はベトナムの若者言葉で「ぼっち(長い間恋人いない人)」を指します。
ひとみは恋人がいないと答えたため、あのゲームの餌食になってしまったのです。
・あのゲームはなんなのか?
あれはベトナムで若者の間で行われる「Ghép đôi」というゲームです。
これをGoogleで調べると「番の絆」というWikiがヒットしますが、そういう意味ではありません。
これは日本語に一番近い意味で訳すと「マッチング」という意味になります。
つまり、合コンに近いようなゲームです。
このゲームはレストランやみんなで1部屋に集まるカラオケにいる恋人がいない女性に対して恋人がいない男性が立候補してカップルを作るという遊びなのですが、日本からするととんでもないゲームのような感じがします。
これは実際選ばれた相手と必ず付き合うわけではなく、選ばれた相手はその女性の連絡先の交換の権利を得るというものです。
そのため、その後本当に付き合うかどうかは当人次第ということになります。
このようなゲームを行うというのは、自分のいるコミュニティの外の人との出会い増やすという理由からです。
・ゲームの流れについて
ゲームに参加する女性は自己紹介をして、恋人の理想と付き合ったらしたいことを言う。
男性は自己紹介(名前、出身、仕事)とその女性と付き合ったら何をしてあげたいか言う。
その後、男性は女性に対して特技を披露する。特技は短い歌やダンスなど、女性が喜ぶようなことをする。(これはテンポが悪くなるため『芳華、国へ帰る』では書きませんでした。)
男性は後ろを向き、女性は男性を1人選ぶ。
肩を叩くかゲーム用の花束を渡す。
選ばれた男性と女性はステージに残り、参加賞の記念品をもらう。
実は私も日本でそのゲームに参加させられたことがあります。
自分も訳がわからず恋人がいない男性として立候補させられてものすごく困惑しました。結果は女性に選ばれず、ちょっと安心して席に戻りました。
これはあくまでもちょっとしたゲームなので彼女がいる人もこっそりと参加することもあるようです。
いろいろととんでもないゲームですが、見ず知らずのお客同士で即興で「マッチングアプリ」や「合コン」のようなゲームをするのはベトナムらしいっちゃらしいですね。
このゲームがどの程度の知名度でどのぐらいでやられているかわかりませんがとっても面白い文化だったので物語に入れました。
最後に
『芳華、国へ帰る』ひとみ編に出てきたサブタイトルのことわざについて
・『Trứng khôn hơn vịt(卵はカモより賢い)』
親や年長者に対して賢しく見せようとする若者を非難することわざ。
・『Thật thà là cha quỷ quái, quỷ quái phải rái thật thà(「正直」は悪鬼の父親だ、だから悪鬼は正直にならなければ…)』
どんなに嘘や悪事を働こうとも、正直であることには敵わないということわざ。
・「Đói lòng ăn nửa trái sim, uống lưng bát nước đi tìm người thương(お腹が空いたら天人花の実を分け、お椀の水を分け合って飲む、そんな恋人を探しに行こう)」
元ネタはとある詩から。
お互いに助け合えるような理想の恋人を見つけたいということわざ。
これからも『芳華、国へ帰る』をよろしくお願いします。
Yuzuki