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マロオケのこと vol.4

新宿の京王プラザホテルにある喫茶店で、マロさんと打ち合わせをしていたとき、わたしは、

「マロオケって、究極のアマオケですよね」

と言うと、マロさんも、

「そうなのよ。マロオケはアマオケなのよ」

と言った。

NHK交響楽団コンサートマスターが率い、他のメンバーも国内プロオーケストラのコンサートマスターや首席奏者ばかりが集まったマロオケがアマチュアオーケストラだと言うと、驚かれるかもしれない。

確かにその実力はワールドクラスだと言っても間違いでない。そんなスーパーオーケストラがどうしてアマオケなのか?

つまり、マロオケには事務局もないし、会員組織もない。企画が立ちあがったときだけ、マロさんの仲間と言える奏者が集まり、つまり好きなもの同士が集まって演奏する。それは仕事としての業務的な演奏ではなく、仲間たちでやるから、もちろん主催者はギャランティを支払うと言っても、その精神はアマチュアオーケストラなのである。

今回のマロオケ東京初公演はプログラムがモーツァルトの交響曲を6つという規格外のもので、演奏時間としても2公演分はある。弦楽器はもちろんのこと、特に管楽器はスタミナ的に過酷なものとなる。

そんな無茶なプログラムをもし業務的な仕事なら、おそらく奏者たちは引き受けはしなかっただろう。しかし、モーツァルトの交響曲6つが実現できたのは、マロオケのアマオケ精神、すなわち仲間たちが集まって、好きな音楽を奏でたいという思いがあったからだ。

みんながマロさんと演奏したい、みんながマロオケで演奏がしたい、そういう思いでマロオケは結束している。だからこそ、演奏への気合は高く、演奏への高揚感がみなぎっている。

そしてもうひとつ、アマオケ的なところがある。

それは今回のマロオケは企業による協賛が一切ないということ。それは主催者であるわたしの方針で、マロオケは協賛金を1円ももらっていない。ついでに言うと、広告料も一切もらっていない。

当日、モーツァルトのCDボックスが抽選で3名様に当たるというのも、マロオケのチラシに広告を掲載するのと引き換えに、来場のお客様に何かプレゼントできないかというわたしの申し出を飛鳥新社が受け入れてくださったもので、金銭的なやり取りはしていない。

通常、コンサートは協賛金を得て、その見返りとしてその企業に招待券を配布し、客席を埋める。そうでもしなくては、クラシックコンサートなどホールを埋めることができないだろう。

しかし、招待券だとそのコンサートに興味はないが、タダ券をもらったから行くというひとが客席を埋めることになり、どうしても客席の意識が低くなってしまう。

人間は身銭を切らないものには真剣にならないものだ。

コンサートがいい演奏になるかどうかは、奏者だけの問題でなく、その半分以上は客席が担っていると言っていい。

ステージにいると、観客がどういうレベルか、つまり期待して来てくれているひとが多いのか、招待で「来てやってる」ひとが多いのか、そういうものが「気」となって伝わってくる。

その「気」が演奏への期待、今日、この日を待ちに待っていたという熱意であるなら、それが演奏者と融合し、ステージと客席が一体となってものすごい演奏になる。

だから、わたしはこの公演はマロオケの演奏が聴きたくて、身銭を切ってチケットを買ってくださったひとたちで客席を埋めたいと思った。そうすることでマロオケは実力をさらに超えた演奏をするのは間違いない。

正直に言うと、主催者としては空席があるとカッコ悪い。招待でもいいから空席を埋めようとする気持ちも自然にある。しかし、無理に招待券を配って「気」の低いひとで客席を埋めるくらいなら、空席のままにしてしまうほうがよほどいいと考えた。

なぜなら、無料で来るひとがいれば、それはマロオケを聴きたくて身銭を切ったひとに失礼ではないか。

だから、5月5日のサントリーホールは、マロオケを聴きたいという気持ちが純度100%のひとばかりが訪れることになる。

ホールにいるすべてのひとがマロオケへの共通の気持ちを持った仲間であると思って聴いていただければ、感動はより大きなものになるに違いない。

                        (vol.5に続く)

マロオケ2016公式ホームページ http://maro-oke.tokyo/

マロオケ2016公式フェイスブック https://www.facebook.com/marooke/

チケットぴあ マロオケ2016 http://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=1540527

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