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政治とお金の話|第六回

 朝鮮半島は北と南に分かれて大変だ。

 あなたもそう思うだけかもしれない。

 かつての東西ドイツや、ベトナムもそうだった。ある意味今の中国もそうかもしれない。しかし日本ももちろん決して他人事ではなかったのだ。


 玉音放送で日本の敗戦が伝えられ、陛下の意思は絶対というなかで武装解除が進められた。

 だが、どういうわけかその混乱に乗じて北方四島の向こう側より、北海道めがけてソ連軍が侵攻を始めたのである。


 千島列島の先端にある占守島しゅむしゅとうにて立ち向かったのは、優秀な指揮官率いる精鋭の戦車第11連隊だった。

 ソ連軍はそのまま混乱に乗じて日本の半分を占領するつもりの侵攻ゆえ、それを少数の部隊で抑えきるのはさぞ、至難の業だっただろう。

 壮絶な戦いを物語っていたのは、焼けた隊長車の中から大佐が壁面に寄り掛かった状態で立ち姿のまま亡くなっていたそうだ。


 戦後、ソ連軍司令官も甚大な犠牲に見合わない全く無駄な作戦だったと振り返っている。 


 後の20日に日本軍の師団長がソ連艦上にて降伏文書に調印し、これを以て終結したものの、残った将兵はその後シベリアに抑留されるなどし苦役を強いられ、多くの命が失われている。


 今日こんにち、北方領土問題として四島を返還するようロシアへ求め続けていることは、義務教育を受けた人なら誰もが知るところだろう。

 この件は明らかに日本の統治権と日本軍の武装解除の混乱の隙をついた卑怯な作戦であって、誰も抵抗する者がいなければ、北海道はおろか日本の東側は共産圏の手に落ちただろうと言われている。


 ゆえに、北と南で体制が異なる朝鮮半島のような分断は決して他人事ではなかったのだ。

もしかしたら、こんな国が出来ていたかもしれない。

「北日本民主主義人民共和国」

 北日本の現在は目前の侵攻に対して、当時の中将ら自分たちの判断でそれを防いだ勇気と犠牲の賜物に他ならない。


 北海道に駐屯する陸上自衛隊第11旅団、第11戦車隊はかつての奮戦を称え、精神の伝統を受け継ぐ意味で戦車砲塔側面に「士魂」の二文字を描き受け継いでいる。


 イスラエルだけでなく、ウクライナに対しても武器を供給するのみの米国が果たしてあてになるのだろうか。



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