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【絶対見るべき映画】ベティ・ブルーから学ぶ新たな愛の形

映画好きな人ってよくオールタイムベストを作ってる人が多いけど、優柔不断な俺はなかなか決められない。だから芸術を比較してる記事なんかを見つけると、いつも彼らに対して尊敬の念を抱かざるを得ないのである。
そんな俺だけど、大好物はSF映画と恋愛映画で、どっちも人間の哲学的なテーマが入ってきたりするとめちゃめちゃ興奮する。サンドウィッチマンの漫才が始まるときぐらい興奮する。

そのなかでも恋愛映画のおすすめを友人から聞かれたとき真っ先に思い浮かぶ作品がふたつある。

トゥルー・ロマンスとベティ・ブルー 愛と激情の日々 である。

普通こういうときって前者のトゥルーロマンスか両方を紹介するんだとおもうけど、
今日はあえて後者のベティブルーについて語りたいと思う。

ベティ・ブルー 愛と激情の日々


まあ映画に限ったことではないが、
ストーリー展開、演出、キャスト、音楽、メッセージ性などのエンタメの方程式とか人が満足するポイントをきっちり押さえた映画がよく「完成度が高い」とかって言われるけどそういう既成概念をとっ外した強烈な味しか結局記憶に残らないよね。

ベティ・ブルーはそんな芸術の真理をまんま形にしたような映画だった。

本作は、エキセントリックでぶっ飛んだ女とそれを無償の愛で抱擁し続ける男の強烈な恋愛映画である。
どれぐらいぶっ飛んでるかっていわれたら、

引っ越すときに家に火をつけて家出するし、気に入らない客の腕をフォークぶっ刺すレベル。

普通に考えたらマジで狂ってるw

でもベティの内情だけ見たら女性の内面を細部からかなりリアルに象徴してて、
実は本当に普通によくいる女の子の一人であることがわかる。
そういう女性の激しい感受性に惹かれてしまうのは男の悲しきさがでもあるよねw

人間て、昔の人が作りあげてきた価値観と自分の野性的な本能がぶつかり合って常日頃から矛盾してる生き物だから言語化できないことが多いし、ましてや男女が愛し合ったときに生まれる化学反応なんて誰も解読できないはずなのに、この映画ではその機微が見事に表現されて映像として残ってるから凄い。
いつ見てもフランスの底力を見せつけられる。
フランス料理ばっか食べてるグルメを馬鹿にしてきたけど、フランス料理のような形容しがたい喉越しと余韻の醍醐味がこの映画にはあったと思う。
フランス料理ってすごい。

そしていよいよ本題になるが、
ベティ・ブルーをオールタイムベストに入れた理由は、自分の中の恋愛観が大きくひっくり返されたから。

シーソーゲームなんて言葉があるけど、若い男女の恋愛って好きな気持ちが募れば募るほど自分以上の愛が返ってこないと不安や嫉妬心が芽生えて追いかけあいの状態を繰り返すことが多い。
いつも関係が上手くいかない原因ってわりとここから生じるすれ違いだったりするよね。
この険悪で不毛なイタチごっこがどうしようもなく鬱だったけど、そんな俺にベティ・ブルーは新たな愛の形を見せてくれた。

この映画での二人は、生きていくのに精一杯で夢を見ることすら許されない土地で出会う。
土地を出ても厳しい現実が二人を追い詰め続ける。
しかし、互いへの無償の愛で二人は根気強く乗り越えていこうとする。
トゥルー・ロマンスでもそうだったが、強い愛情が磁石のように作用してしまう男女が逃避行のような状況になることで、共存する新たな愛が生まれる。共通の敵が現れることで仲間意識が芽生えるのと同じ原理。
これが本当堪らない。
多分俺こういうのに弱いんだと思う。

平和な日本ではそうそうない愛の形だから共感しにくい部分はあるが、だからこそこの映画は美しく人々を惹きつけ、価値があるのではないだろうか。

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