LGBTQと産業保健活動
LGBTQとは?
LGBTとは、Lesbian(女性同性愛者)、Gay(男性同性愛者)、Bisexual(両性愛者)Transgender(性別越境者、性同一性障がいを含むこともある)の頭文字をとった単語でセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつ。
LGBTQの割合
日本労働組合総連合会(連合)が、「LGBT」に関するインターネット調査を全国で仕事をしている20~59歳の男女1,000人を対象に行ったところ、
働く人の約8%がLGBTの当事者であった。
LGBTQに関連したキーワード
・性的指向
恋愛または性愛がいずれの性別を対象とするかをいうもの
・性自認
自己の性別についての認識のこと
生物学的な性が男性で性自認が女性、生物学的な性が女性で性自認が男性といった場合、身体的な性に違和感を持つ人もいる
この状態に関して医学的には「性同一性障害」と診断される場合がある
・トランスジェンダー
生物学的・身体的な性、出生時の戸籍上の性と性自認が一致しない人のこと
・SOGI
性的指向(sexual orientation)と性自認(gender identity)の頭文字を とった略称
SOGIは、特定の性的指向や性自認の人のみが持つものではなく、 すべての人が持つもの
・SOGIハラスメント
職場や学校で性的指向や性自認が理由で強制異動や解雇など不利な待遇を強いられ、差別を受けることにより不利益が生じること
・アウティング
本人の意に反して他人に自分の性的指向やジェンダー・アイデンティティを明かされること
当事者を対象にしたアンケート結果
三菱UFJリサーチ&コンサルティングがLGBTQの当事者に対する調査を実施していた。
レズビアン、ゲイ、バイセクシュアルの約4割、トランスジェンダーの約5割が職場で困りごとを抱えているという結果となった。
この調査結果を見て、悩みを抱えている人が多いか少ないかどちらの視点でみるかは人によりさまざまだろう。
産業保健職がLGBTQと関わるうえでの注意点として、『LGBTQの人は何か悩みを抱えているに違いない』という目線での介入を最初からしないようにすることが重要だと感じた。
あくまでフラットな目線で、他の社員と変わらず接することが産業保健職には求められているのではないだろうか。
ハラスメントに関する調査
調査により、LGBTQの方が受けたことのあるハラスメントの内容としては以下の通りである。
こういったリスクを避けるために、周囲に自身のセクシャルな面を明かさないという層も多いのだと推測する。
企業におけるLGBTQへの対応
職場におけるLGBTの問題点としては、セクハラの被害や、同性カップルとして福利厚生が利用できないこと、不当な扱いを受けていることが挙げられる。
現代社会において、多様性を尊重し包括的な社会を実現することが、求められている。
LGBTフレンドリーな取り組みを行うことは、企業がダイバーシティ&インクルージョンの観点からも、より包括的で公正な組織を目指すことができること人材不足への対処法として、LGBTQへの理解やセクハラ・差別のない企業風土を作ることが求められている。
近年では、LGBTQフレンドリー企業としてアピールをしている企業もあるようだ。
産業保健分野における議論の展開
2024年5月に行われた日本産業衛生学会のシンポジウムにおいて、本テーマが取り上げられた。
恥ずかしながら、筆者も本シンポジウムを受けて改めてLGBTQへの配慮が必要である点を痛感した。
今後、議論が発展していく分野であると推測する。
産業保健職としてできること
【個人レベル】
①ALLY(アライ)を理解する
ALLY(アライ)とは?
異性愛者(ストレート)がLGBTQに理解を示し、性的マイノリティの人達を理解し支援する人達のこと、またはその考え方のこと。
名ばかりのアライとなってしまわないように、LGBTQのことを理解された上で、発言や行動するよう意識付けが必要である。
②言葉遣いに気を付ける
「奥さん(旦那さん)、彼女(彼氏)はいるの?」と異性愛を前提にした用語を使用しない。
「恋人はいるの?」「パートナーはいるの?」など、同性愛の可能性を加味した用語を使用すること。
【集団レベル】
企業全体でレインボー認証の取得を目指すこと
人材確保という観点からも、LGBTQへの配慮は必要だと考えます。
認定資格もあるので、企業としても対外的なアピールとして戦略的に活用できるのではないでしょうか。
まとめ
今回、改めてLGBTQについてまとめることで、様々な知識の整理ができました。
私自身、中高一貫校の女子校出身ということもあり、LGBTQの方への理解は物心ついたときから知識として触れる機会はありましたが、自身の仕事としてマイノリティの方への配慮ができているかと問われるとできていないなと感じています。
今後、自身の業務+企業全体としてLGBTQの方への適切な配慮を行えるように風土づくりをしていきたいなと考えます。
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