B Dash Camp 2024 Springライドシェアセッション感想・起業家それぞれの見ている景色と私心性について〜ゆずの新卒VCの番外編〜
今村柚巴、新卒でVCとして働いております。noteで自分にとっての学びなぞを描いていきたいと思います。
ちょっとあまりにすぐに書きたい!となったので描いてます。
今回、B Dash Camp(招待制のビジネスカンファレンス)に今村がスタッフとして参加しております。
今村にとって初のB Dash Campでして、お仕事としてはレポートチーム(セッション内容のレポーティング)を任せていただいております。(色んなセッションの後方ですごい形相でぽちぽちしているのは私です)
そこでのセッションのひとつ、「国内ライドシェアの発展にスタートアップはどのように貢献できるか!?」というテーマでスピーカーにnewmo青柳さん、パブリックテクノロジーズ青木さん、モデレーターにLINE ヤフーの川邊さんがお話するセッションを聞いてきました。
それがめちゃめちゃ良すぎて!個人的にも残しておきたいなと思ってレポートを残します。(B Dash Campスタッフの仕事とはまた別で個人的に描いてます!)
そもそもライドシェア×法令の繋がり
ライドシェアが日本で流行しない理由が法令の都合上難しいが、すこしずつ規制緩和されている、と言われていますが。なんとなく
「法律のためなんだ〜ふ〜ん」
とわかっていても、具体的に何がダメで、何が変化の兆しなのかが分かってなかったのですが。
ざっくりいうと、2024年4月の時点では、もともとあった「二種免許をとっていないとタクシー運転はNGですよ」的な取り決めに対して「道路運送法78条2号、道路運送法78条3号、新法(起案中)」の3つの新取り決めが少しずつ影響を示し始めている、という状況。
それぞれの法律ごとに向き合っているステークホルダーや状況が異なっており、それぞれに対して各スタートアップが行動を起こしている状態。
・78条2号(自治体ライドシェア)
時間帯的にタクシーが動けない時・かつ過疎地域や交通が不便な地域において、一般ドライバーが自家用車を使って有料運送ができる→パブリックテクノロジーズ(自治体を中心としたライドシェア)は比較的こちらに向き合っている
・78条3号(日本版ライドシェア)
時間・地域・時期といった、タクシーの需要に対して供給が足りない時に一般ドライバーが自家用車を使って有料運送ができる→newmo(市街地を含むライドシェア)は比較的こちらに向き合っている
・新法
まだ議論中だが、デジタル上の管理・完結が可能な、所謂なライドシェアを目指すことができる法律規制
ライドシェア2社代表の二人の、それぞれのビジョンと見ているものの違い
登壇されていたの2社、どちらも「ライドシェア」というジャンルは同じ。かつ、今村は個人的にパブリックテクノロジーの青木さんとは4年くらいの仲であることもあって、多少は事業のことや彼が掲げている言葉を知っているつもりではいたのですが。で、何が違うの?と言われるとうーんと。と歯切れ悪くなってしまっていたと思っていて。お名前も似てるし(違)
実際二者がお話されているところを見ると向き合っているものが少しずつ異なっているし、バックグラウンドが強く影響しているんだなあ。。と実感しました。
newmo 青柳さんの見ている世界
変えたいのは、利用者と働き手の社会。
利用者に対しては、選択肢の増加。料金、車種、自動運転など、、地域ごとに異なるニーズに対して、選べるモノを増やすこと。
そして働き手に関しては高齢化や持病がある仲でも働いている運転手の地位向上。
これは、青柳さんの前職であるメルカリが起こした、「売り買いの選択肢への急増」というイズム、そして青柳さん自身が7年前(!)から二種免許を持ちながら運転手として働くことがあったからこそわかる感情が結びついて生まれたビジョンと方向性かと思われます。
パブリックテクノロジーズ 青木さんの見ている世界
ライドシェア、というより地域行政に向き合う仕事。
ライドシェアをベースとしたアプリケーションに域通過を入れたり、厚労省の健康歩数計を追加したり。地域をまるごとDX化できるようなツールを開発している。
大和さんは起業家であり、後天的障がいを持つパラリンピックスキー選手の日本代表です。また、もともとの事業がシェアハウスや移動性の家の開発を行なっていたことから、背景的な不自由性、暮らし方そのものを重視したビジョンになっているのだなと感じました。
もちろんそれぞれ共通したり異なっている苦悩があって。(制度改革のスピード感が遅いことから、大阪の該同地域ではタクシー運行総数に対してライドシェアが0.8%しか使われてないとか)
とはいえ二人が苦悩した先に見たい世界がほんの少しずれていることから事業内容も関わる法律も変わっていること。類似した領域の中ででもそれぞれが選ばれる違いを強く感じました。
川邊さんが旗振り役として見ている世界
…っていうお二人をモデレートする川邊さん。川邊さんの見ている世界は、
とにかくユーザーファーストであること。
ユーザーとして、絶対におかしい・不便であるタクシー不足問題。その課題解決のために大切なことは
■私心がないこと
■規制緩和の後に、やり手がいること
の2点。
「インターネット」を活用し、トップダウンだった世の中が大きく崩れ、ボトムアップ社会を築いてきた川邊さんが伝える「ユーザーファースト」という言葉はとても強くて。
新しい勢力を持って安定して停滞した現状をこわす時。
「こうなるべき」と旗振りをする存在が大きく世の中の流れを作って、
そこに向かいIPOを目指して走るスタートアップが勢力として加わる。
その結果、力として現状が打破されていく。
だから、最初に旗をふっている川邊さんが活動する理由は「LINEヤフーの会長として」ということではなく、ひとえに「いちユーザーとして」の課題感に対しての活動。
川邊さんのことは昨年のB Dash Campで知り、ライドシェアの活動や年始に起こった震災に対しての迅速な対応など、ありとあらゆることをものすごいスピードでやってらっしゃる根源はなんなんだろうと思っていたのです。
それの一つの解が今日のスピーカーとモデレーターという構成だったのかもしれません。
もちろん川邊さんは現役バリバリプレイヤーだと思いますが、そのプレースタイルが旗振りに振り切れている(少なくとも2024年の川邊さんは)。この世の違和感を明言して、世の中の違和感を炙り出すことが川邊さんが担っている役割で、見ている世界。
じゃあ、今村はVCとしてどうあるべきなのか?
さて、ここまであれこれまとめた上で自分自身を振り返ってみたいと思います。
今村がVCに勤めた理由は、サマーウォーズのおばあちゃんに憧れてでした。(めっちゃ長いのですが、以下に2万字のエントリがあります)
私の周りにいた、それぞれの感じる課題感やバックグラウンドに向かって、とにかくとにかく走り続ける友人たち。そんな友人たちが混ざり合ったら。出会わないかもしれなかった人々が混じり合うことによって世の中が大きく変わる(それこそ、落ちてくる隕石を吹っ飛ばすような)瞬間に立ち合いたくて、それができる力が欲しくて、私はVCになりました。
川邊さんは私が描きたいような像を体現されていいて、おこがましすぎるけど、憧れます。
でもここで矛盾が生まれる。それがVCという仕事に関わってくる「私心性」です。
VCのビジネスモデルは投資先の会社がExitをすることで、株式価値を大きくして利益となる、という、ある意味投資先と利益が連動している、というもの。(今村個人の利益とは関連性は薄いですが)会社としての利益に繋がるという点において、私心性が切ってもきれない関係になっているのです。
私がVCという仕事に出会った時は、学生インターンでした。毎日毎日色んな人に会えることは本当に楽しいし、どの人の挑戦も魅力的。
「学生」という身分に甘えている自分に違和感を感じてキャピタリストになったわけですが、社会人になったらなったで歯痒さを実感しています。
やっぱり、ちゃんとキャピタリストとして成果を出せるような人間になりたい。そのためにVCになったんだから。そう思えば思うほど、初対面の人に話しかけるのが怖くなってしまっていて。
自分の一行動が会社に傷をつけるかもしれない。相手になにか期待させている気がして、「なんとなく面白そうだから」というような本能的な会話ができない。
人と人が喋るなんてフラットにできることなはずなんだけど、準備しないとだめなんじゃないかなって24時間張り詰めてしまっているんですよね。
この違和感は、なんでだろう?と思っていんだけど。「私心」という言葉はこれを言語化されたような気がします。(完全一致!とまでではないけど、限りなく近い気がする)
じゃあもうVCなんてやめちまって、なんのバックグラウンドもない人間になっちまえよ!という思いもよぎりますが、
果たしてそれが正解なのか。
わかんないです。わかんない。
でも、少なくとも川邊さんも今はこんなに超人みたいなことを言っているけども、本当にプレイヤーであり続けて、荒波の中揉まれていった先に、フラットなことができる存在になっている気がします。(本心は私にはわからないけど)
それを、「この立ち位置が辛いから」で投げ捨てていいものではないと思うし、「私心」なんて思ってるのは私だけで、ただの考えすぎ説もあるのかもです。
さすがに今日一日で自分のなかでぐるぐるしていた思いがスッキリできるほど、私の脳のキャパは広くない。けど、自分の初心を揺さぶられた、ものすごく大事な瞬間だったとは思う。ので、ここに書き記します。
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追記:たまたま青木大和に会場であって立ち話してた時に、表情柔らかくなったね、と言われたので、多分前向きな状態なんだと思う。きっと。