VC新卒の私が半年で6社に投資するまでまとめ
こんにちは。ゆず@ノマド女子VC です。
2024年の4月1日より、VC(ベンチャーキャピタル)Skyland Venturesに入社し、半年が経ちました。
先日8月12日に初の投資リリースを出して以来、
ツイートさせて頂きましたが、振り返れば6社もの会社/起業家に(直接/間接含む)投資をさせて頂きました。みんな超イケてる起業家です。嬉しい!
もうすぐ後期ということもありますので、私がこの半年で行ってきた投資アクティビティを振り返っていこうと思います。
1. NNNの場合-イベント二段誘い(4月)
今村がしっかり関わった!初投資は株式会社最強だったのですが、知らず知らずの内にSVとの接点を作っていたのがNNN(スリーエヌ)。
警備会社の人材マッチングを行う会社で、大学に行かずに警備バイトを経験し、起業した内藤くんが代表を務めます。
遡ること入社直後。4月11日(木)にエンジェルスクランブルというVC×起業家マッチングイベントがありました。
このイベントにやってきたのが内藤くん。しかし内藤くんとSVはこの日のイベントではSV(木下さん)とマッチングしていないのです。
East Venturesの投資先ではあるものの、SVとの接触はゼロだった彼がSVと関わるきっかけになったのが、同日の朝に行われた朝活イベント、next start。
この時、今村が朝活イベントやろう!と立ち上げて第二回目。まだまだ今よりnextstartの知名度も低く、とにかく目に入る起業家全員誘え!と意気込んでおり。
で、たまたまこの日、エンジェルスクランブルが同日日中に行われていたことから参加者の人に全員「朝活イベント来ませんか??」と定型分のように送ってみて。
そこに反応をくれたのが内藤くん。
イベント前日の謎DM、本当に来てくれたのは数人だったのですが内藤くんもその一人で、登壇された羅さんに対して
とクセの強い質問をしていたことを覚えています。(とてもメンバーと仲良しな会社です)
その場だったかその後のイベント中か、SVに来たことで木下さんと話始め、今村が事業内容を知るより前にいつの間にか投資が決まっていました。
当時の今村の反省としては、「関わった起業家の事業をきちんと気にして、見る」という発想が抜け落ちていたことです、、(キャピタリストとしての意識の甘さが目立った、、)
木下さんがちゃんと「いい!」と気づいてフォローしてくれたからよかったものの、そうでなければ見逃してました。
今じゃnext baseのテレカンブース(1人用)をCOOと仲良く2人利用する馴染み様です。
NNN投資までの学び
イベント本体ではしゃべれる人も喋れない。少人数の別の会でも関わることで確実にしっかり話せて、投資に繋げることができた。
2. ロビンソン・コンサルティングの場合-エンジェルとの接点/VCをする覚悟(5月)
2社目はロビンソン・コンサルティング。AIの受託開発を行なっている20歳の起業家、ロビンソンが代表の会社です。(累計2.6億円調達と今かなり勢いづいてる!)
彼が7月に実施した1億円ラウンドでの調達の際(最新は8月の1.5億円ラウンド)、エンジェルを今村が繋いだことにより出資が決定しました。
B Dash Camp直前の5月、なんとなくノリで既に投資先だったロビンソンのオフィスに遊びに行ってみました。
その数日後、知人のエンジニア系のベテラン起業家の方含め3人でご飯に行こう!となり、開催前日に「今村あんまりエンジニア系のことわからんし、若手起業家も連れていこうかな〜。AI開発やってるし最近オフィス行ったしロビンソンかな」
と、さそってみたところ、約3分くらいで
との返信。この爆速さに驚きつつ、今村セレクトの恵比寿のかわいいレストランに連れてってみました。
(後日別の友人にそこは会食用でもなんでもない、大学生がデートに使う店だよと言われた。そうなんだ)
会食中にベテラン起業家の方、営業全開で荒削りに駆動しまくるロビンソンに対して
という超絶厳しいフィードバック。また彼の事業のことをとても詳しく教えてくれ、顧客へのリスペクト姿勢、技術への信用度、人間性としての器の広さにロビンソンと二人で感動したことを覚えています。
きっと、私一人でお会いしてもこのようなお話は聞くことはできなかった。技術のことを話せる、それでいて荒削りで素直なロビンソンがいたからこそ彼の事業の深い点まで聞くことができた。
それからしばらくして、ベテラン起業家の方から
「彼にエンジェルすることに決めたよ。ありがとう」
と連絡した時、また、ロビンソンから
「エンジェルとして入ってくれたのが本当に嬉しい。彼に会って事業への向き合い方が大きく変われたから。」
は飛び上がるほど嬉しかった。身体中がぞわぞわした。
今村は元々「自分の推しをあらゆる手で広めたり、推し同士を繋げたりして何かの転換点になりたい」からVCになろうと決めた。自社の投資でなくともこの出来事が私をVCたらしめるきっかけになったと思う。(その後、SVも同時のラウンドで追加した)
ロビンソン投資までの学び
人と人を出会わせることをカジュアルに行うこと。
起業家を前に進める人と出会わせること。できれば少人数で。
起業家の触媒となることで私では知れない起業家の真髄を見ることができることに感謝。
3.株式会社最強の場合-初投資、決めることへの意識(6月)
3社目は株式会社最強。今までの二社はかなり間接的な関わりだったので、直接自分が会社を見つけてきて投資をしたものとしては1件目が最強でした。
元々は学生向けのメディアサービス。投資をきっかけにTikTokライバーの事業も開始して大きな拡大と転換を図っています。
詳細は以下のnoteにじっくり書いてありますが、
約一年前(2023年)にSVが行った阿波おどり、運動会という謎の遊びイベントで出会った穴田くん(CEO)、約一年ほぼ事業のことを話したことはなく、たまたまNext Base(SVが運営しているコワーキングスペース)に彼がやってきたことがきっかけで、ちゃんと事業に関して話しました。
「大きくなりたい、上場したい」と話す友人である穴田くんに対して、じゃあこの事業ではなく、違うことをやろう。とアドバイスをしたり、投資は1年後に成長した時にうけるかも、と考えているのに対して「今投資を受けることを決めてほしい」とオファーを出していき、投資合意に至りました。(木下さんがとても主導してくれた)
最強投資までの学び
最強社に投資をするかも?という話が持ち上がってから実際に投資が実行されるまで、およそ10日くらいだったと思います。それまで約一年友人関係を続けていた代表に対して、事業内容を議論して、今投資を受けることがどう彼の事業にブーストをかけられるかなど、普段は全く取らなかったようなコミュニケーションを高頻度で取りました。
結果的に初投資につながったのですが、「この代表/事業/会社 がいいかもしれない」と判断したとき、まあ相手がその気じゃないしな、とか今はタイミングじゃないな、とかあれこれ考えることは実際あまり意味はなく、
「投資したいと思ったとき=投資オファーを出し、議論を進めるとき」
なのだなと実感しました。信頼度が高まれば、的な一般的に言われる定説的なものに囚われず、VCとしていいやつに投資をすることを決める、ことがいかに重要か。(シリーズによって異なるという意見はあると思いますが、コミュニケーションを撮っていてオファーを出していない=まだ自分が投資したいと思えてない、で完結できると思います。)
これは「起業したいんだよね〜」とか、「いつかOOしたいんだよね〜」といったあらゆる構文に転用できると思っており。やりたい、とおもったその瞬間がやるべきときなのです。
4.株式会社Emunitasの場合-イベントを実働に移すためには(7月)
4社目は株式会社Emunitas。外国籍人材の日本雇用の拡大化に向けたHR、システムの会社です。
彼らはIVSで開催したお寺でVCの壁打ちを行う謎企画、「お寺 de VCスクランブル」(寺スク)をきっかけに投資が決定しました。
実は私個人では以前CEOの山口くんには話を聞いたことがあり、しかしその当時は事業が前進できるかあまりわからず見送ってしまった背景がありまして。
ただ、IVSではSVの社員ほぼ全体が参画しており、
偶々山口くんに出会ったコーポーレートメンバー・佐々木さんがいいなと思って寺スクに誘う
→寺スクに参加してくれた山口くんと木下さんが話す
→IVS期間中にオファーを出す
という流れで投資が実行されました。
自分が単純に1mtgをしてもわからなかった良さであり、イベントという平常ではない環境だったからこそ、また自分ではないメンバーから見た魅力があったから成し得た投資実行だったと思います。
Emunitas投資までの学び
イベントや企画は、「仕掛ける側になること」が大きなレバレッジになると実感しました。カンファレンスは、大型であればあるほどぼーっと参加できるし、何もなしに仕事をした気になってしまう。
やった気になればなる分難易度が高いと思います。カンファレンス。
そのような時に何かできるようにするためには、我々が「仕掛ける側」に回ること/誰かと一緒に参加すること。
仕掛ける側に回ることができる余白を残してくれているIVSはとてもありがたい企画だし、一つの場に集まるムラ的な空間 現象は面白いです。その中でいかにオリジナリティを持って面白いことができるか・そして投資できるかを考えていこうと思います。
5.Queue株式会社の場合-5日間の最短投資(7月)
5社目はQueue株式会社。海外育ちの3人組が運営する、飲食店SaaSの会社です。この会社は最初に出会ってから5日間(週末含む)で投資実行に至った、今村としても24年のSVとしても最速の投資案件でした。
きっかけは2023年のB Dash Campに学生枠として参加した同期の女の子から、「友人が資金調達検討してるので話してください!」と声をかけられたことです。
まあなんとなく日程を決め、最初に幹部と面談をしたのが木曜日。(CEOの谷口ではなくCFOの森田くんが出てきた)
「リリースして2週間で飛び込み営業だけで15店舗と契約した」という森田くんに対して、馬力あるかも?程度に思い、
「ちょっと代表にも会ってみたいから、明日代表も含めてmtgできる?」と予定を立てました。
そして翌日の金曜日、概要を一通り聞き、ふと「谷口くん(CEO)はなんで営業が取れたと思うの?」
と質問してみたところ、
「それはですね!!営業担当のやつがもうめっちゃイケメンで!誰にでも話を聞いてもらえるんですよ!」
と曇りなき目で力説する谷口。
その後も正直訳わからなかった瞬間は多かったものの、単純に彼が面白過ぎたこと、素直だったこと、あとエンジニアとしての技術力は確かだということ(このテンションでエンジニアなのもすごい)ですぐにオファーを出し、週末挟んで合意の返答をもらいました。
Queue投資までの学び
正直おもろい!未知なる可能性!しかありませんが笑
「いいと思ったら即行動」を強く意識していたと思います。まだまだスタートアップへの解像度や数字など、未完成なように思う点は多々ありますが、それを飛び越えるエネルギー値ってあるんだな、と思いました。マジで。すごいよ。
6.RihitoAI株式会社の場合-遊びでわかる人間性とは(8月)
6社目はRihito AI株式会社。海外大学に合格するも起業のために入学をしていないという田山理人君がCEOのAI受託開発の会社です。(ロビンソンとも仲が良い)
彼と出会ったのはリヒト君が入居しているHive Shibuyaというコワーキングで行われた法務勉強会でした。
終わった後のピザパで出会い、「AIニュースサービス作ってたんですがピボット検討していて、今は取り急ぎパソコン修理をしてます」という理人君をみて、こんな人がおるんやなあと思った印象。
そこからしばらくしてたまーにnext baseにあそびに来てくれるようになって、よく見るなと思っていた中、2024年夏に全社で徳島県阿波おどりに行くことになりました。
徳島県という鬼のような距離感な中、「それでも一緒に行きます!」と言ってくるやつは面白いなと考え、関係性が近しい起業家をぽつぽつ呼んでみた中に理人君もいました。
二つ返事でいそいそ徳島にやってきた理人君。いやに日焼けしていたのですが、「昨日海水浴してきたんです」とのこと。
今村「そうなんだ!誰と言ったの?」
田山「一人で」
(((一人で)))
ちょっとだいぶ言ってることがよくわからないのですが、我々は3日の徳島滞在の後、彼に投資をしてしまっていました。
この世の中に一人で海水浴にいくという選択をする人がいると思いますか?いませんよね?
理論的には割と意味わからないことを言っていると思いますが、なんだかんだ周りの大人に愛されている点や柔軟性を加味した上で、彼の謎の才能に賭けてみることにしました。別解力という言葉が当てはまるのではないかなと思います。
Rihito AI投資までの学び
おそらく彼はただmtgをしていただけでは投資しようと直感できなかったタイプの起業家だったと思います。ただ事業の話だけを聞いても(定まり切っていなかったこともあり)普通に行動力のある学生だなくらいにしか思わなかった。
しかし、旅を通して彼の仕事以外の一面をきちんとみることができたことから投資をするという決定打を下せたんだと思います。
svはよく遊んでるようにみられると思うし実際めちゃめちゃ遊んでるのですが笑その上でしかみられない人の素顔みたいなものがあるとこのような投資をするたびに思います。
寡黙そうだった人が意外と楽しみ上手だな、とか。
意外と気遣いできるな、とか。
そんなオフ的な瞬間からこそ人間性は見えるんだと思います。まさに起業家と共に暮らせ、ですね。
Skyland Venturesに入って半年。6社投資して思ったこと。
6社振り返って思ったこと。
・いいなと思った人に対してきちんと人を当てること。ちゃんと考えるものの、考えすぎずに。
・イベントに参加をするならむしろ食う側になれるように。
・早く会う、早く決める。決めようと思ったら、本気で短期的に向き合う
・仕事と遊びを組み合わせる。遊びは仕事だし、本音が見える。
何より
別解を作る
6件みたけど、結局のところどの投資にもドラマがあり、いわゆる普通なやり方で投資をしているわけでは無い。ちょっとずらしたり、遠い場所に連れて行ったり、誰よりオファーが早かったり。
私はまだまだ知識レベルは起業家には敵わなくて、業界には沢山のVCがいる。そんな中で今村柚巴、ひいてはSkyland Venturesが投資できる・選んでもらえるのは、きっと起業家と同じかそれ以上に別解を探して、戦わずに選んでもらっているからだと信じてる。
先日とある起業家が、「大企業ができるきれいなことをしてちゃダメ。それらができないって言うような面倒臭い・不可能に近いことを可能にするからスタートアップなんだ」と言っていた。
私もそうあろうと思う。
資金や知名度、知識レベルが仮に劣っていても、できることはたくさんある。探します!前向きに!
ここから後期に入ります。絶対に誰よりも投資できるようなVCになれるように!頑張ります!
スタートアップの方!そうでなくても!今村と30分mtgしましょう。↑のURLよりお申し込みください。
SVでは毎週木曜朝8~9時に勉強会を行なっております!是非お越しください。
next baseは交流会を行ってます!10月22日開催。ぜひ!
追記
投稿した後に木下さんと話してて、
「結局のところ今村の強みは脳死で直感的に動きまくれること。失敗して怒られても。」
かと思いました。
結果が鈍る時は考えすぎてる時!駆動力100でがんばります。
あと今村はとーっても単純なので、さっきまで疲れまくってましたが褒められて嬉しくて深夜までぽちぽちしてるし最近のなんとも言えない不安感がなくなっちゃいました笑
イキイキポジティブごきげん野郎にすぐになれるのが強みです。