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私のマボロシ

“ 母がゆずっこ”というのはよく聞く話である。
わたしもそのうちの1人。


産まれた時からずっとゆずの歌は聴き続けている。私の“ ゆずな”もゆずから頂いた名前だ。
車の中の曲はだいたいゆず。家で母と父が口ずさんで歌う歌はゆず。幼い頃からゆずに囲まれて生活してきた。母は特定のアルバムを聴きまくるタイプのやつであり、よく聴いていたのはNi、リボン、FURUSATOである。だからかゆずは背中を押す曲を書く人たちだと思っていた。


当時の私はアーティストにもアイドルにも全く興味がなかった。自ら歌を聴くということはなかった。聴いたとしても最後まで聴いたことはない。飽きるし面倒だし。音楽が嫌い。“ すきなもの”というものが何もなかったのである。沼りにくいほうだと思う。いや、何をされようが何を見せられようが沼らない自信がある。それくらいだ。無関心と言えばそうなのかもしれない。









そんなわたしは2年前ゆずがすきになった。



高校1年生。科目数が増え、学習内容が難しくなった。中学生の頃は80点以上取ることが当たり前だった私にとって、どう頑張ってもテストでいい点を取れなくなったのは辛かった。そして、大学進学のための文理選択。テストに焦り、色んなことに追われ頭は爆発寸前だった。

とりあえずと勉強の息抜きにYouTubeを開いた。
どうやらゆずが新曲を出したらしい。



マボロシである。



きました。マボロシ。マボロシと出会った。初めましてマボロシさん。


サムネイルが白黒なのが印象的だった。もっと明るくてにこにこ笑顔で踊っててたくさんの色が使われているようなサムネイル……ではなかった。




「いつものゆずと違う、私の知っているゆずじゃない…………」


これがサムネイルを見た時のマボロシの第一印象である。




(以下、マボロシの感想乱文)



なぜだろうこんなにも心が泣いている


え、泣いてるの……!にこにこ笑顔のゆずさんじゃない…………どうしたの!!!!!ねええ!それも2人して……(心配性発動)弱くて沈痛。一体どんな涙なんだろう。




鮮やか今目の前蘇る

全てだった憎んで愛していた

あの日のままあなたはマボロシ


だから!どうしたの!!!!!人を愛する苦しさを知った歌は知ってるし中学生の頃に人を本気で憎んだ歌も知っている。だけど、こんなに憎みちぎるような歌は聴いたことはない。とりあえずゆずさん心配だ。なんだ…………(心配性)ここの転調にもやられた。



消えた

ここ!!!ここここ!実を言うとこの囁く感じに性癖クリティカルヒットグルグルパーマゴールしたんですが…………鳥肌が立った。怖さと凄さと心配で…………歌で鳥肌立ったのは合唱曲を除けば初めてだった。



「なにこれ……怖…………………………」



曲が終わるころには泣いていた。雷に打たれた後のような感じ。もちろん曲で泣いたことは生まれて初めてである。いつも背中を押してもらうようなそんな歌を歌っているゆずが今回は違った。あなたのいない暗闇と戦っている。正直言うと怖かった。






テスト前の深夜1時を回っているにも関わらず、気づいたらもう1回、気づいたらもう1回とその日で10回は聴いていたと思う。ゆずがこの楽曲を書いたときの感情はどんなだろうか。ゆずの抱える憎しみとは何だろう。そんなことを考えながら毎日マボロシに取り憑かれたように聴いていた。マボロシを聴けない授業中もマボロシのことを考えていた。



マボロシに取り憑かれるような生活を送っているとYouTubeがReason、何処、仮面ライター、飛べない鳥たちをおすすめしてきた。YouTubeのいけないところである。今考えたらやべえやつを勧めてくるもんだなYouTubeってやつは


(この子たちを聴いた感想は割愛する。長くなるじゃん。)


とにかくトビラさんたちには私の知らなかったゆずで溢れていた。私の持っていたゆずのイメージが崩れた。イメージが壊れたことによるショックもあったが何より興味が湧いた。




私の知らないゆずをもっともっと知りたい。











気づいたら2年が経っていた。沼が深い。







もっていたイメージをひっくり返される。これが私が沼に落ちた原因である。








みなさんマボロシには要注意。

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