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因果の道理はとても役に立つので知っておくべき、という話.

・因果の道理とは
原因である「因」と、きっかけである「縁」が結びついて「因縁」になったとき、結果である「果」が生み出される.
これが物事における因果の方程式、因果の道理である.


因果の道理をわかりやすいように仮の話に例えて解説する.

例話その①
あなたは泥棒で、多くの罪を重ねてきたとする.
そしてある日、警察に捕まり、罪の重さから禁固20年という判決になった.
そしてあなたは獄中において、家族や友人との思い出がよみがえり、罪を犯したことを後悔した.

この話における「因」は、窃盗という罪を重ねてきたあなた自身の行動
「縁」は、警察に捕まり、禁固刑20年という判決を下されたこと.
そして「果」は、禁固刑に処されたことによって、家族や友人との大切な時間が失われたことで、あなたが後悔したことである.


例話その②
あなたは会社員で、同じ部署にあまり好きではないAさんがいる.
ある日、半年がかりの大きなプロジェクトを進めるにあたって2人の代表者が選ばれることになり、なんと自分とAさんが選ばれてしまった.
半年の間、代表としての働きや能力を発揮しなければならないが、Aさんとのやり取りが上手くいかず、それがプロジェクトの進行に影響し、最初の1か月は思うように進まなかった.
あなたは「個人的な問題がプロジェクトに影響している状況ではいけない」と思い、今後のことも考えて、思い切ってAさんと仲良くなる努力を試みた.
その結果、自分が思っていた以上にAさんと仲良くでき、抜群のチームワークを発揮してプロジェクトも大成功.
その功績をきっかけに、2人は社内で評判のチームリーダーになった.
そして昇進、昇給という会社からの待遇を受けた.

この話には、因と縁、そして果がいくつかあります.

因果その①
まず、「あなたが会社員である」という因と、「そりが合わないAさんが同じ部署にいる」という縁があります.
それらが結びついて、「あなたとAさんが同じ部署にいるので、あなたはAさんの事があまり好きではない」という果が出来上がります.

因果その②
あなたはAさんの事があまり好きではない」という因.
Aさんとあなたがプロジェクトの代表者、リーダーに選ばれた」という縁.
それらが結びついて「最初の1か月間、プロジェクトが思うように進まなかった」という果が出来上がります.

因果その③
このままではいけないと思い、Aさんと仲良くなろうと努力した」という因.
思っていた以上にAさんと仲良くなれた(Aさんは思った以上に良い人柄の人物であった)」という縁.
そして「あなたとAさんが仲良くなったことでチームワークを発揮し、プロジェクトが大成功した」という果.

因果その④
プロジェクトが大成功した」という因、「それを機に社内での評判が上がった」という縁、そして「プロジェクトの功績と社内での評判が上がったことによって、昇進と昇給という待遇を受けた」という果.

以上の4つが、この話にある因果です.

ここまで読んで分かった人もいると思いますが、それぞれの因果が影響し合い、新たな因果を生み出しています
「この出来事は偶然なのか、それとも必然なのか」という疑問を人間が抱くきっかけとして、この因果同士の複雑な関係性があることは確かです.



・因果の道理において大切なこと3つ
1「あなたの行動こそが因である」
2「全ての因果は自因自果である」
3「善因善果と悪因悪果」


「あなたの行動こそが因である」

「因」とは、あなた自身の行動を指します.
この行動には、言動も含まれます.

泥棒、窃盗という罪を犯した結果、あなたは大切な時間を失い、後悔しました.
どうすれば後悔する結果を避けられたのかと言うと、「罪を犯さなければよかった」のです.

Aさんと仲良くなってプロジェクトを成功させた話も、あなたの因がすべての果を生み出していることがわかります.

「Aさんと仲良くなろうと努力した」
「プロジェクトが大成功した(プロジェクト成功のために努力した)」

これらは全てあなたの行動であり、物事の「果」を生み出す「因」です.

「全ての因果は自因自果である」

全ての因果は自因自果であり、他因自果は存在しません.

自因自果(じいんじか)・・・「自分に起きた果(自果)は、自分の因(自因)によって引き起こされる」というもの.
他因自果(たいんじか)・・・「自分に起きた果は、自分以外の者、他者の因(他因)のせいである」というもの.

あなた自身に起きた結果である「自果」は、全てあなた自身の行動「自因」によって生み出されています

たしかに、「縁」というきっかけの形で、あなたの行動以外の影響が無ければ、因縁は成立せず、果は生まれません.
しかし、どんな果であっても、どんな縁が作用したとしても、あなたの行動である「自因」が無ければ「自果」は生まれません

自分が罪を犯したから自分は苦しんでおり、罪を犯さなければ後悔を避けられた」というのが「自因自果」の考え方.
警察に捕まらなければ自分は苦しんでいない、後悔することもなかった」というのが、「他者の行い(他因)のせいで自分が苦しんでいる」という「他因自果」の考え方です.

この世に「他因自果」は存在せず、あるのは「自因自果」だけです
「他因自果」の考え方を持ち、自果を他者のせいにすることは因果の道理に適っていない、合っていないので、仏教の世界では「愚痴(愚かで間違っている状態)」の1つに数えられます.


「善因善果と悪因悪果」

これらは読んで字の如くです.

善因善果(ぜんいんぜんか)・・・「善い(良い)行い(因)は、善い結果(果)を生む」.
悪因悪果(あくいんあっか)・・・「悪い因は、悪い果を生む」.

リンゴの種を植えればリンゴの木が育ち、リンゴの実がなります.
リンゴの種を植えてミカンの木が育ったり、ミカンの実がなることはありません.

自分の行いである「自因」は「種まき」に例えることが出来ます.
「縁」は「土・水・空気・日光」などの、種を発芽させ、木が成長するための重要な要素であり、それらが揃うことは、発芽のきっかけとも言えます.
そして自因という種まきの結果である「自果」は育った木に、何の実がなったのかということです.

善い種をまけば善い実がなり、悪い種をまけば悪い実がなります

「Aさんと仲良くなるための努力」という善因が、「プロジェクトの成功・昇進・昇給」という善果を生みました.
そして「罪を犯す」という悪因が、「大切な時間を失い後悔した」という悪因を生み出したのです.

・まとめ

・因果の道理とは、物事における因果の方程式である.

・因は「自分の行動」 縁は「きっかけ」 果は因縁から生まれた「結果」

・因果の道理は「自因自果」「善因善果」「悪因悪果」の3つ

・全ての因果は自因自果であり、他因自果は存在しない

・善い因は善い果を、悪い因は悪い果を生む


今回は「因果の道理」を解説、紹介しました.
これは仏教の世界で2000年以上前から教えられている、万人共通の道理、方程式です.
この因果の道理を念頭に置いておけば、後悔するような結果を回避したり、より良い結果を生み出すための行動のヒントになるはずです.




「因果の道理はとても役に立つので知っておくべき、という話.」

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