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頭をよぎる事を全て口に出しながら、夫婦で無人の梅田を散策しながら.

日々の作業をこなしつつ、ふと時計を見ると日付が変わろうとしていた.

さっさと寝るか、少し散歩に行くかを迷い、目の前にいる妻に「忙しい?」とLINEを送った.

妻の返信を待たずして上着を羽織り、それを見た彼女もササッと上着を羽織った.

タバコ屋の前でうずくまる猫と数秒目を合わせて、新しい隣人の顔を確認した.

近所のコンビニに入り、暖かい飲み物を物色.
「少しぬるいね」とか言いながらレジに行き、会計を済ませようと思ったら彼女の財布が開かない.
紅茶のティーバッグを個包装にしたものが、チャックに引っかかってしまったようだった.

すぐさま自分の財布を取り出して、会計を済ませる.

公園に着いて、自分がいつも気になっている、交通事故を弔うためと思われる花束について話した.
気になっているというのも、どんな方が亡くなったのかが気になっている.
保育園の前ということもあり、もしかすると、、、真相はわからない.

お互いに恋愛をしている立場であることに触れ、今後の自分たちの夫婦としての在り方や、育児と教育について話した.
僕たちは2人とも、どれだけ忙しくても世話や教育をしたいという気持ちが強いようだった.

他にも、日本人は相づちが多すぎることや、今後の社会がどのように変化するのか、みんな哲学を理解しないまま毛嫌いしていることなどを話して、あっという間に1時間半が経っていた.

このままどこかに歩いて行こうということになり、梅田を目指す.
目指すと言っても全くもって徒歩圏内なので、大した距離ではない.

思っていたよりも車の交通量が多く、物流やタクシー業など、時間や曜日に関係なく働いている方々に改めて敬意を払いたいと思った.

茶屋町の辺りまで行くと、いつも人でごった返している場所なだけあって、なんだか深夜の学校のような、イレギュラーで神秘的な空間が、人々に忘れ去られ、取り残されていた.

信号機や自販機がイルミネーションのように街を照らし、なんだか自分が場違いな存在であるような気がした.

そんな梅田の街をふらふらと歩きながら「人生のなかで深夜の梅田を思う存分体感する人は、やっぱり少ないんかな」と言ったりしてみた.

GUCCIの広告を見ながら何かを言ってみたり、ポイ捨てされたゴミの山を見ながら歩いた.

ドン・キホーテの前にある自販機でアイスを買い、食べながら歩いた.

普段音楽を聴きながら、頭の中に夢中になりながら通っている道も、なんだか面白く、感慨深く捉えることが出来た夜だった.

日本の社会の端っこを切り取ったような夜だった.


「 頭をよぎる事を全て口に出しながら、夫婦で無人の梅田を散策しながら.」

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