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バッハ シンフォニア第6番【解説】 BWV792

ホ長調の音階による主題は柔和な印象を受けるが、その背景に8分の9拍子のジグ調のリズムを持つ。ゼクエンツやヘミオラ(3拍子の曲で2小節をひとつにして大きな3拍子をつくること)を織り交ぜながらジグ特有のテンポ感をつくりだしている。


主題に続くヘミオラ

主題と応答主題による、このような形で始まります。

その後、ヘミオラという二小節を三つに分けた拍節法が使われます。

分かりやすく色分けにしましたが、これまで一小節単位で進んでいた和音進行が加速されるので、駆け抜けます。
ちなみにこの2小節間は主題と主題を結ぶ、挿入句(エピソード)になっています。
おだやかな表情をもつ、主題ですがジグの前に進む性格はこのようなヘミオラによっても実現されます。

反行形

17小節目のソプラノは、反行形の主題です。
元の主題はこちら。

ひっくり返します。

ひっくり返した形、反行形が至る所に出てきます。

原形の主題はすぐに見つけられるかもしれませんが、反行形は慣れるまで見落としてしまうこともあるので、前もって把握しておくことが大切です。
反行形は、23、24、25、26、29、35、37小節目にも出てきます。

カデンツァ

シンフォニア15番の終盤同様、属七和音第3転回形による不協和音のフェルマータが現れます。その後、終結部が続きますがこの休符の箇所にカデンツァが続けられるような形になっています。(シンフォニア15番では小カデンツァが続いています。)

しかし、あえて休符をつくることで頂点に達した余韻、行間を表現しているように感じられます。


構成

第一提示部(主調・ホ長調)1~10小節
第二提示部(平行調・嬰ハ短調)11~17小節
第三提示部(属調・ロ長調)18~34小節
終結部(主調・ホ長調)38~41小節

第二、第三提示部に入る前には、終止形によって段落が明確になっています。

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