バッハ シンフォニア第8番【解説】 BWV794
フーガ技法の教科書的な厳格さで書かれている。主題、応答主題、8度の模倣等のネットワークが複雑に計算されている。へ長調のもつ幸せな、春の訪れを思わせる響き。リズムから生まれるアーティキレーションも楽しみたい。
主題
冒頭3小節は、主題(赤)ー応答主題(黄)ー主題(赤)という模範的なつくりで始まる。
主題のアーティキレーションはとても重要です。
ストレッタ
主題がまだ終わらないうちに次の主題が出てくることをストレッタといいます。他のシンフォニアの中にも何回も出てきますが、この曲では7~10小節と18小節目に出てきます。
休符とタイの大切さ
4小節目から始まる間奏部分のゼクエンツはとても綺麗なところですが、休符と延ばす音が正しく弾かれないと全然違う和声になってしまうので注意です。特にアルトがソプラノとかなり接近しているときに、正しく延ばすのは結構大変です。
あと、倚音を聴かせるところもあるのでここではタイと、響きに神経を配りましょう。5、6小節目。
完全終止と偽終止
曲の途中でも終止形が出てきますが、V→Ⅰ(ソプラノが主音)で終わる形を完全終止といいます。7小節目と一番最後(23小節目)に出てきます。
きちんと段落がついたという感じになります。
しかし、同じように進行するように見せかけて、すっぽり6度の和音に着地してしまう形があります。
それを偽終止と呼びます。14小節目に出てきます。
大きくミスタッチでもしたのかというような、予想を裏切られた響きを出しますが、これも代表的な終止形のひとつです。
しかし、終わった感じは全然しないので、偽終止で曲が締めくくられることは基本的にはありません。
構成
第一提示部(主調・へ長調)1~3小節
間奏4~7小節
第二提示部(属調・ハ長調)7~15小節
間奏15~17小節
第三提示部(下属調・変ロ長調)17~19小節
間奏19~21小節
終結部(主調・へ長調)22~23小節
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