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バッハ シンフォニア第13番【解説】 BWV799

8分の3で書かれた舞曲風を感じさせる曲。しかし、半音階による下行がみられることや、イ短調の音階によって受難の性格もある。3度6度10度の並行的な美しい響きが生まれるが、転回対位法というものを駆使していることを忘れてはいけない。


主題は柔らかな弧を描く

虹がかかったように、音型が弧を描いています。主題と、そのあとに続く16分音符。

この性格は序盤を支配しています。第二提示部と間奏、第三提示部では跳躍を伴う旋律が出てきて、エネルギーは曲の後半にかけて増していきます。


ハーモニーではなく転回対位法

曲に3度、6度、10度により美しいハーモニーが所々に出てきます。しかし、実はこれは声部間での主題の入れ替えが目的です。その結果、そのようなハーモニーが生まれています。
まず、ソプラノに主題が現れます。(21小節目)

その後にソプラノが再び主題を奏でるかと思いきや、バトンタッチをしてアルトが引き継いで主題を奏でます。(25小節目)

ただ単に、三度のハモりだと思って弾くよりも、より奥行きのある世界が広がるかと思います。

こうしたフーガの技法と和声の構造が絶妙なバランスで両立されているところがバッハのすごいところかも知れません。

終盤に出てくる半音階で動くバス

55小節目から半音進行をするバスが現れて、始まりの音から完全4度まで下がっていきます。この形をラメント・バス(嘆きのバス)と呼びます。

この動きがこの曲に苦難の性格を与える根拠になっています。ジグのような舞曲風に弾いてしまうとここの説明がつかなくなります。

こうしてシンフォニアの分析をまとめていますと、バッハは音楽的な教育を目的に書いたと思いますが、それに付け加えてキリスト教的な教育も併せて行っているように感じてきました。
音で紡ぐ聖書とでも言いましょうか。どこか神様から受けた使命をバッハは感じていたのかも知れません。
ツェルニーの練習曲は例え音楽的にどれだけ価値があろうとも、つまりそういった音楽以上の世界を纏った天命を感じることはない、ということかも知れません。

構成

第一提示部(主調・イ短調)1~8小節
間奏9~20小節
第二提示部(平行調・ハ長調)21~35小節
間奏36~40小節
第三提示部(平行調の属調・ト長調)41~48小節
第四提示部(主調・イ短調)49~55小節
間奏56~59小節
終結部(主調・イ短調)60~65小節

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