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【結城友奈は勇者である考察】鷲尾家について
みなさんこんばんは。来覇(くるは)と申します。
前回の初投稿記事では大変多くの反響をいただき、本当にありがとうございます。
今後も勇者であるシリーズに関する様々な考察を通して、みなさんと一緒に勇者であるシリーズの世界観をより深く楽しんでいきたいと思います。
さて、2回目の投稿となる今回は、『鷲尾家』について語っていきたいと思います。
1.鷲尾家とは
『鷲尾家』という存在は小説「鷲尾須美は勇者である」の主人公、鷲尾須美の暮らす家として初登場しました。
『鷲尾家』は大赦の中でも特に力を持つ家柄で、瀬戸大橋にある石塔に名が刻まれた九家のうちの一つでもあります。
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神世紀298年の時代では、三角屋根が特徴的な洋館風の家に住んでおり、執事やメイドといった使用人が複数いることから、とても裕福な暮らしをしていることが伺えます。
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この『鷲尾家』は鷲尾須美の生家ではなく、東郷美森が勇者としてのお役目につく際に、体裁を整えるために大赦の中でも格式が上の『鷲尾家』へと養女に出されたことが小説「鷲尾須美は勇者である」において語られます。
では、そんな『鷲尾家』について、作中の描写から考えた私の仮説を紹介いたします。
2.仮説の設定
私は勇者であるシリーズにおいて、
「鷲尾家はかつて大赦にとって大きな功績を挙げた家柄であり、
大赦のトップである乃木家に匹敵する格式の高い家柄である」
という仮説を立てました。
この仮説を立てた理由を以下で説明していきます。
『鷲尾家』がもともと、大赦内でも比較的格式の高い家柄であることは上で示したように、「鷲尾須美は勇者である」の時代に、東郷美森が勇者としての適性があると判断された際、体裁を整えるために東郷家から鷲尾家へと養女として迎えられたことからも明らかです。
ただ、ここからさらに一歩踏み込んで『鷲尾家』がただ大赦の中で格式が高いというだけでなく、須美の時代よりも前に大きな功績を挙げたことで乃木家に匹敵する格式の高い家柄になったのではないかと思われる場面が作中で3点あると私は考えました。
まず一点目は小説「鷲尾須美は勇者である」の終盤において、乃木園子と鷲尾須美が神樹様に”御挨拶”に行く場面です。
鷲尾家と乃木家は大赦の中でも格式が高く、有事の際には神樹との接触が特別に許されている。
ここでは、有事の際に神樹との接触が特別に許されている家として、鷲尾家と乃木家が挙げられています。
神樹は2015年7月30日のバーテックス襲来後に出現し、300年以上にわたり四国の人々を守り続けてきた存在であり、その御神体は大赦から神様そのものとして扱われています。
鷲尾須美と乃木園子以外で、この神樹に触れたことがあるのは、小説「乃木若葉は勇者である」において最も巫女としての適性が高く、神樹に愛されていると評された上里ひなたのみです。
作中描写として、神樹に触れたことがある乃木家、鷲尾家、上里家のうち、乃木と上里は大赦で最も格式の高い家柄と評されているため、その2つと並んで神樹に触れることが特別に許されている『鷲尾家』は大赦の中でも特に格式の高い家柄だったのではないでしょうか。
続いて二点目は、同じく小説「鷲尾須美は勇者である」の終盤、鷲尾須美が神樹に触れたことで神託を受け取り、巫女の力に目覚めたことが判明した際の担任の先生の言葉です。
「鷲尾さんは、勇者になるだけじゃなくて、神樹様のお告げが聞ける”神樹様の巫女”の素質も極めて高いということね」
(中略)
「ごほん。鷲尾の直系ならともかく、これは本当に凄いわ、でも」
この場面は前回の記事「救世主という存在について」でも語ったように、鷲尾須美が勇者でありながら巫女の資質も併せもつ救世主という存在であることが判明した場面となります。
担任の先生は大赦の関係者であるため当然、勇者と巫女の適性を併せ持つということが特別なものであることは知っていたはずです。
ここで私が注目したのは”鷲尾の直系ならともかく、これは本当に凄いわ”という一言です。
担任の先生のこの一言は、大赦関係者から見て
鷲尾の直系から救世主が現れることはあり得ることだと思っていたが、東郷家の直系である須美が救世主という存在になったことは本当にすごい。
という意味に解釈いたしました。
皆さんもご存じの通り、神世紀298年当時の段階で、勇者を輩出した家系は西暦勇者(乃木家、土居家、伊予島家、高島家、郡家、白鳥家)と神世紀298年の勇者(乃木家、三ノ輪家、東郷家)となります。
(※東郷美森は鷲尾家に養子に出されましたが、血筋としては東郷家の直系となります。)
つまり、神世紀298年の段階で、鷲尾家の直系が勇者を輩出したことはないにも関わらず大赦関係者から見て、鷲尾家は救世主を輩出すると期待されていたということになります。
この描写から、私は『鷲尾家』はかつて勇者ではなくとも、大赦に何か重要な功績をあげた存在を輩出していたのではないかと予想しました。
この予想を強める描写となるのが三点目、「結城友奈は勇者である -勇者の章-」において登場した英霊の碑の場面です。
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この場所は歴代の勇者と巫女が祀られている場所であり、この英霊の碑に名前が刻まれている人はかつて勇者や巫女としてお役目をはたしてきた人であることがわかります。
ここで注目してほしいのが、三ノ輪銀の後ろにある碑に刻まれた名前『鷲尾青羽』という名前です。
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この描写より、鷲尾家はかつて勇者または巫女である『鷲尾青羽』という存在を輩出していたことがわかります。
この『鷲尾青羽』がどのような存在で、どの時代にどんなお役目を果たしたのかは描写がないため、はっきりとはわかりません。
ただ、『鷲尾青羽』という存在により、鷲尾家は乃木家と並び有事の際に神樹との接触が特別に許されていたり、大赦内で救世主を輩出する家系かもしれないと期待されていたと考えると、『鷲尾青羽』は大赦にとってとても重要な功績を残した存在だったのではないかと推測できます。
3.鷲尾家のかつての功績
ここからは完全に私の予想となりますが、『鷲尾青羽』がかつて残した重要な功績について考えてみたいと思います。
まず前提として、四国を守るためにバーテックスと戦うといったような、いわゆる勇者としての活躍については西暦の時代に行った奉火祭以降、神世紀298年までの間、バーテックスと戦闘したことはないという話から否定できます。
しかし、勇者に変身しなくとも四国を救った英雄と称えられた前例はあります。それが鏑矢である赤嶺友奈です。
英霊の碑には赤嶺友奈の名前は確認できませんが、同じく鏑矢であった弥勒蓮華の名前が刻まれているのは確認できます。
『鷲尾青羽』はかつて鏑矢のように、バーテックス以外が原因である四国の危機を救った可能性が考えられます。
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それ以外の功績としては、『鷲尾青羽』は巫女であった可能性も考えられます。
上里ひなたのように神樹に愛され、高い巫女適性値をもった存在であれば、大赦にとって大きな功績を残せたのではないかと考えられます。
また、鷲尾家が神樹に触れることが許されていることや、須美が巫女の力に目覚めた際に"鷲尾の直系ならともかく"という担任の先生の言葉があったことから、『鷲尾青羽』は巫女として活躍していたのではないかと考えるほうが可能性としては高いのではないかと思います。
4.まとめ
さて、ここまで積み重ねてきた仮説と予想を簡単にまとめます。
かつて鷲尾家の直系で巫女として活躍した『鷲尾青羽』が大赦に大きな功績を残した。
それにより神世紀298年の時代には勇者のお役目につく少女を養女として迎えることができたり、有事の際に神樹に触れることが特別に許されたりする家柄となった。
『鷲尾青羽』の血筋を引く鷲尾家直系は勇者と巫女の力を併せ持つ救世主という存在を輩出することが期待されるほどの家柄だった。
以上が今回、私が『鷲尾家』について考えた結論となります。
5.最後に
いかがだったでしょうか。
今回は、勇者であるシリーズの中から『鷲尾家』という存在に着目し、「鷲尾家はかつて大赦にとって大きな功績を挙げた家柄であり、大赦のトップである乃木家に匹敵する格式の高い家柄である」という仮説を立て、英霊の碑に刻まれた『鷲尾青羽』という名前から、彼女が実際に行ったかもしれない功績について予想していきました。
勇者であるシリーズでは神世紀元年から神世紀298年の間が語られる機会というのは少ないため、この間に起こった出来事や活躍したであろう人物について考えるには、限られた小さな描写を拾い上げ、ありえない仮定は除いた上で、より可能性の高いものを模索していく必要があると思っています。
今回予想した、『鷲尾青羽』についても、現在確実にわかっていることは歴代の勇者と巫女が祀られている英霊の碑に名前が残っているという事実のみです。
しかし、この英霊の碑で初めて名前が登場した烏丸久美子や花本美佳、横手すずが後の作品である「結城友奈は勇者である 勇者史外典」で本格的に登場したことを考えると、今後の勇者であるシリーズの中で現在は英霊の碑に名前しか出ていない人物が活躍する可能性が十分にあると思います。
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今後、勇者であるシリーズが10年、20年と続いていく中で、今はまだ名前しか登場していない人物が、実は重要な役目を果たしていたと語られることがあるかもしれません。
なので、こうして名前だけが登場しているキャラのことをあれこれ想像するのは今だからこそできる楽しみなのかもしれませんね。
ぜひ、みなさんが考える『鷲尾家』についての解釈や、まだ登場していないキャラの予想などありましたら聞かせてください!
今回はこれで以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。