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【読書感想文】山崎豊子『華麗なる一族』
先日、無事読了した。
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先日、導入したタイマー読みが集中するのにちょうどいい様子。
さて感想を書こう!
として、ふと手が止まる。
ネタバレせずに書けるのか?と。
そもそも文庫本の裏表紙でも盛大にネタバレをされている。
(なので、下巻は最初からカバーをして読みました。)
加えて、私はドラマの概要を見てた連れ合いに「〇〇さんの役の人は●●しちゃうんだって」と、ネタバレされてたし、笑。
いや、でも振り返ってみれば、そうやって小出しにでもネタバレしてくれていないと、読み進めることは無理だったかもしれない。
さまざまなシーンや展開での衝撃が強く、途中で何度も奇声を発してしまった。
これだけの作品、できればいずれきちんと内容読み込んで感想や記事を書きたいと思う。
でも、今はただ嘆息と共に、この小説を読み切った達成感を告げておきたい。
というわけで、今回は内容には触れないが、感嘆した点を3点挙げてみよう。
1つには登場人物の多さを感じさせない読みやすさ。
正直、登場人物が多い小説は混乱しやすく、苦手なのだが、この作品はとても読みやすい。
『白い巨塔』でもそれを感じた。
あれはドラマ版で観ているからかと思っていたが、どうやら違ったらしい。
この作品ももちろん映像化されている。
どちらも未視聴だ。
(視聴済みの方、どちらがオススメか、よかったらこっそり教えてください、笑)
なのに、人物関係のごちゃごちゃが気にならず、ぐいぐい読めた。
自分の頭の中で自然と登場人物が形作られていく感覚は久しぶりだった。
主要登場人物(特に万俵一族の名前)を、わかりやすくしてくれているところが、一つの要因かもしれない。
主軸の名前を頼りに、今どこで何が起こっているかについて、はぐれずに読み進めることができた。
2つめに、金融界や政財界の闇をこれでもかと描き出す容赦ない筆力。
まるで今、現実にそこで行われている密約なのではないかと思うようなリアリティに溢れている。
「半年余りも費やし、小説以前の作業にこんなに時間を費やしていいものかという疑問も持った。
その、取材の成果が現れているのだろう。
(同じあとがきで、「事実との間にどのような類似があったとしても、それは偶然の酷似」あくまで「虚構」と断ってはいるが。)
出版された同時代に読んでいた人はモデルとなりそうな実際の事件、人物などが脳裏に浮かんだのではないだろうか。
そして3つめにそれら登場人物の多さと社会派的な物語をまとめあげる人間関係のしがらみの描き方だ。
これは前の2つがうまく生きてこそ、読み応えがあるもので、仮にこの人間模様が、ただそれだけとして描かれていたのなら、下手すると陳腐なメロドラマになってしまいそうだ。
そうならず、様々な人の思惑や感情が大きな渦を巻き、全てを包み込んでいく。
気づけば、読者である私もまた、物語の中に取り込まれていた。
読み終わった後、しばらく溜息しか出なかったのは過言ではない。
さらにそのあとには連れ合いにあらすじ話さずにはいられなかった(ネタバレOKなところに感謝!)。
さあ、秋の夜長、眠れなくなること覚悟で、挑戦してみるのはいかがでしょうか?
うまくネタバレせずに説明できそうなほどにまとまれば、今度は内容にも触れながら、【ゆる書評】でもしてみたいと思います。(出来るかなぁ…)
最後までご覧下さり、ありがとうございました。 どうぞ皆様も素敵な読書生活を👋📚
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