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荒俣宏『喰らう読書術』

正直に、はっきり申します。聖人にも、悪人にも、また偉い物識りにも、なれません。ただ一つ、メリットといえば、人生に退屈せずに済んだことです。

「そんなに毎日読書をして、お前はいったいどんな偉い人間になったのだ」という文に続いての一節です。

そう、読書をしたからって偉いわけではないんですよ。
私自身、恥ずかしながら、若い頃は「読書をしない人なんて…」と、小馬鹿にする節もあったのですが。
今はそんなことはないなと思うようになってます。

同著の中に“読書は危険を含んでいる”という項があります。

それによると

まず第一に、読書をしなくても死ぬことはありませんし、健康を害することはありません。体の健康にとっては、むしろ読書しない方がいいかもしれません。また、読書などしなくても心の豊かな人はいくらでもいますし、現在の地球にも本がない文化圏はたくさんあります。

第二に、本はおそらく家財の中でいちばん始末に負えない家具です。場所をとりますし、千冊もたまってしまうと、どの本がどこにあるのかわからなくなってしまいます。

第三に、いくら本を読んでも、その分私たちの人格が高貴になるわけではありません。本を読みすぎると、かえって他人と話ができなくなったり、人の世話焼きに時間を使うこともいやになってくることがあります。部屋に閉じこもりきりになる場合もあるでしょう。

第四に、読書には「諦め」が必要です。本を読んでも得ることは多いですが、その逆に失うこともかなりあることを知っておくべきです。

第五に、読書は往々にして家族も喜ばないのです。まるで、怠けているように見えるのですね。

と、5つあげられているのですが。

どれもこれもわかりすぎるくらいわかる。

特に第三に挙げられている言葉については、もはや耳が痛いを通り越して、ざっくり胸に刺さるわけで。

ええ、私はいわゆるコミュ障です。
元々の気質もあるかとは思いますが、本ばっかり読んでいたことによる弊害も間違いなくあると思います。

だから、本を読むことは面白いよ、楽しいよということは共有しても、本を読めと強要する気はまったくもってありません。

でも私にとって、読書は、この本のタイトル通り、ほとんど喰らうことであり、やめられないとまらないものなのです。

他にも、読書が好き、本の虫の人たちには、共感が強い言葉が色々と述べられていました。
活字中毒の皆々様なら、きっと励まされるような気持ちになる本です。

よかったら一度手に取ってみて下さい。


最後までご覧下さり、ありがとうございました。 どうぞ素敵な読書生活を👋📚

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樹田 和(いつきた なごむ)
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