TRUMP(Dステ)を見たよ感想

去年(2018年)の7月にCSにて放送されたDステ版のTRUMPを見た感想です。
初っ端からネタバレかましてます。





みんな…死んだ…。

友達づてに「だいたい死ぬ」とは聞いていたけど本当に死んだ。本当にみんな死んだ。ほぼみんな死んだ。私はこんなに人が死ぬ作品を初めて見た。お前も死ぬんか。お前は死ぬ気がしていた。お前も死ぬんか。お前も、お前も。
なんか最終的に「ウヒョ〜!死んだ死んだァ〜!」って感じで逆に面白くなるくらい死んでいった。こんな作品があるんか。すごい。
もう「ひとがいっぱいしんだ」しか感想が浮かばないくらいたくさん死んでしまった。


☆見たきっかけ
これを言うと色んな人に怒られそうだけど、見ようかなって思ったきっかけは友達に勧められたのと、あとはキャストに好きな人がいたからでした。不純〜〜〜!いいタイミングでCS放送があったから録画はしておいて(truthもreverseも録画した)、だけど時間もまあまあ長いし、あと精神が安定してるときに見ないとヤバいとも聞いていたから先延ばしにしている間に1年近く経ってました。そうしたら、次の週末に同シリーズものが放送されると聞いて。それはもう、ね、そろそろ見なきゃダメじゃん。ね。ソシャゲのイベントもちょうど落ち着いてるし、見よ。と思ったので昼で仕事が終わるこの日に見たわけだけど。いや…うん…見たわけですけど…。みんな死んだね…(冒頭に戻る)。


☆印象に残ったこと

印象に残ったっていうか、そりゃ1番印象に残ったのはダリ卿の人間椅子だけど…。面白かったなアレ…。

アレンとクラウスのシーンがやたら多いのにアレンが他の子たちと全然会話しないし絡みもしないからちょっと違和感はあったんだよ。
描かれるのは夜とか森とかそんなんばっかりだし。でもサボリ魔の抜け出し魔ならそんなもんかな…会わないんだろうな…とか思ってたら。
思ってたらさあ!!


ミケランジェロ「あら、アレンじゃない」
アレン「にゃーん」
わたし「ん???」
ミケランジェロ「もうおじいちゃん猫なのに、散歩が好きなのね。ご主人様が貴方のこと探してたわよ」
わたし「ん??????」


混乱した。
「クラウスには猫ちゃんのアレンが人型に見えている…?クラウスには…人に見えている…?え、でもピエトロにも見えてる…?」と思った。
そしたらガ・バンリから衝撃の言葉が次々飛び出す。

ティーチャークラウスがTRUMP(第1の衝撃)
また同族殺しを繰り返すのか(第2の衝撃)
アレンは100年前に死んだ(第3の衝撃)

100年前に死んだ!!!!???

「えっっっ」って言った。
ほんとにびっくりした。まさか時系列が前後しながら描かれてたなんて。
でもそういうの大好き!!!!ミスリードじゃん!!そういうのめっちゃ好き!!!!ひゅー!!!!
なんて口笛吹いてる暇は無かった。
怒涛の泣き。えぐく泣いた。この場面、1番泣いた。しゃくり上げて泣いた。まさか20代半ばにもなって子どもみたいにしゃくり上げて泣く日が来るなんて思いもしなかった。人と一緒に鑑賞してなくて良かった。ドン引きされてたと思う。あとわたしの泣き声がうるさかったと思う。
「メリーベル」って言いながら星に手を伸ばすアレンのところでもう泣き出したのに。


アレン「ここからだと、星が見えないや」


わたし、爆泣き。
いやほんとに、「う…っ、ひぐ…っ!ううう…!!」って嗚咽を漏らしながら泣いた。今まで見た作品の中で1番泣いたのはレミゼの映画だったんだけど(ヒュー・ジャックマン主演のやつ)、その比じゃない泣き方をした。


アレン「クラウスは、ずっとずっと、寂しかったんだね」
クラウス「アレン、私は、あなたと友達になりたかったんだ」


わたし、涙腺が大崩壊。
何でこんなに感情を揺さぶってくるのか。何だ。何だって言うんだ。正直、なんでこんなに泣いたのか、何がこんなに突き刺さったのか、全く分からないんだけど、でももうめちゃくちゃ泣いた。


クランが人間に襲撃されたのも、不死のヴァンプがみんな死んでしまったのも、「そういうことだったのか…」ってスッと納得できたの凄かった。ほんとにスンって腑に落ちた。泣いててほとんどそれどころじゃなかったけど。
でもなるほどね、解説が入ると分かりやすい。あとちょっと気持ちも落ち着く。泣きっぱなしだったからそういうクールダウンの時間をお願い。


クラウス「ソフィがあの女にそっくりだったから」


やめてよ!!!(クソデカ声)


えぐえぐ言いながらお茶飲んでたのに、さらに爆撃されてもう無理だった。
クールダウンの時間全然くれないじゃん!!!!そういうことね!ほーん!!そういうことね!!!なるほどね!!!TRUMPの心が揺れてる!そういうことね!!!!
いや「そういうことね」じゃないわ!!運命が残酷すぎる!!

クラウスがソフィに「いい匂いがする」って言ってたのもそういうことだったんか。散りばめられた伏線の回収が鮮やかすぎる。普段のわたしなら手叩いて喜んでた。そんな余裕無かった。

クラウスがアレンの幻影?を見て両手を伸ばすとこ、あそこの展開めちゃくちゃびっくりしたんだけど、あれってよくある世間一般的なお話だと、かけがえのない存在の幻影見たときって大抵事態は好転するじゃない(TRUMPにおける好転が何かは分からんけど)。まあ何か、アレンが手を伸ばしてみせて、クラウスも手を伸ばして、その隙にソフィが反撃するとか、そういうの予想するじゃない。クラウスが「ソフィは自分が欲しかったものじゃない」って思い直すとか、そういうの予想するじゃない。予想してたの。わたしは。

それなのに、普通に噛んだ。
噛んじゃった。
あの衝撃といったら。
音楽と画面が凄かった。真っ赤だった。

その後のクラウスの「あなたに死んでほしくなかったんだ!」ってセリフと、斬りかかってきたソフィ抱きしめながら「アレン…星に手が届いたよ…」ってセリフがすごく…なんか…絶望感というか。

アレンしか見えてないんだなって。
クラウスにはアレンしか見えてない。ソフィなんて見えてないんだ、もうソフィの中に流れるアレンの血しか見えてないんだ。そう感じてしまった。
すごいと思った。一片の救いも無かった。
誰もソフィのこと見てくれてない。
ウルだって。ウルだって最期は「僕は君みたいになりたいな」って言ってたけど、それがウルのことを見てくれてたのかは分からないじゃん。
ソフィとウルについては次の段落で書きます。


☆ソフィとウル

ウル、冒頭とラストで1番印象が変わった子だった。
血に囚われない、友達想いのいい子なんだな…って思ってたんだよ…。いやまあ何だかんだでソフィのことは刺せなかったけど…。
でも作中で(ソフィを除いて)唯一「血に囚われない」子だと思ってたウルが1番、誰よりも、血に囚われてたんだな…。それが見ていてものすごくしんどかった。
ソフィに「僕は君で、君は僕だ」って言ったのは自分もダンピールだったからなのかな…とか。ソフィに優しかったのも、同じダンピールだったからなのかな…とか。

ソフィがTRUMPかもしれないってなったときのあの崇拝感からヤバさはビシビシ感じてたけど、不死に縋るあの姿は恐怖すら感じた。繭期を越えられない=死期が近い、なんだからそりゃ必死にもなるだろうけど、最初の方の穏やかなウルは一体どこへ…。
それに対して最初はあんまりウルと一緒にいることに乗り気じゃなかったっぽいソフィの方が「友達」って意識が強まってて、でもソフィがウルを気にかければかけるほどすれ違ってる感じが強くなっていって、何なんだこの脚本は…。どうして…どうして…(でも嫌いじゃない)。

ソフィに斬りかかったときなんかもう、ほんとに「どうして」の詰め合わせ…。ソフィと仲良くしてたのはダンピール同士だったからなの?そんな斬りかかっちゃうくらい追い込まれてたの…?しんど…。どうして…(2回目)。

ウルの最期の、「生まれ変わったら、僕は君みたいになりたいな」のアレ、自分の血に囚われないって意味なのか、結局TRUMPになったソフィへの羨望の意味なのか、どっちなんだろう。
だってその直前に、永遠の命なんか望んでなかったソフィに向かって「君は選ばれたんだ」とか「晴れてTRUMPだ」とか言ってたし…。友達とは…友達とは一体…??


☆ラファエロとアンジェリコ様

ラファエロめっちゃ可哀想じゃない…?何もしてない…何もしてないよラファエロは…。
ウルのことを守るためだったのにな…。守りたかったのはウルなのかデリコ家の名誉なのか父親からの信頼なのか、はたまた全部なのか。分からないけど。でもめっちゃ可哀想じゃない…?最初に死んじゃったし…。びっくりしたわ…。
燃えて灰になるっていう死に方、あんまりだよ…何もしてないよラファエロは…。

対するアンジェリコ様すごかったな。
件の推しなんですけど、お友達に「アンジェリコ様を見ろ」って言われてたので「さぞかし可愛い役なんだろうな〜。高飛車っぽいしツンデレ系かな〜?」と思ってたんだよ。全然ツンデレじゃない。唯我独尊まっしぐら。
ものすっごく単純に考えれば1番悪い子でしょ。他の子たちに悪意が無い中で、アンジェリコ様だけ悪意と作為に塗れてたもの。ソフィたちを閉じ込めたり、取り巻きたちを噛んだり、ウルを刺したり。
その挙句に「僕(俺だっけ?)が何をしたった言うんだ!!」って…いや色々したよ。アンジェリコ様は色々してたよ。びっくりするくらいしてたよ。ラファエロのことも取り巻き使って刺したでしょ。
でもその最期はあんなに忌み嫌っていたラファエロと同じだったんだなあ…。燃えてしまった…。
ダンス、綺麗でしたね。見せ場、多かったですね。
アンジェリコ様くらい振り切ってるキャラって逆に嫌いにならなくない?一周回って好きみたいな…。
選民思想の階級主義のアンジェリコ様、きっとお家でもそういう風に言われて育ってきたんだろうな…。なんかそう考えると可哀想やな…。親の権力振りかざしまくってたけど…。
いややっぱ悪い子やな。嫌いじゃないけど。


☆その他のこまごまとしたこと

・ところどころにコメディ要素が入ってたのは、ずっとあの重苦しさが続くと精神が崩壊してしまうからかな…。優しさだったのかな…。分かんないけどさ…。でも面白かったな…。10円と100円は拾わないエリート。
ひゃっくれんぱつッ!ひゃっくれんぱつッ!!

・ガ・バンリの「こいつは何か巻き起こすぞ」感を出しておいて実際は特に何も巻き起こさないの、完全にミスリードに引っかかった感あった。何もせんのかい。ただただソフィにめちゃ馴れ馴れしかっただけかい。
ティーチャーグスタフの反応から、もしかしたら人間かな…くらいは思ってたけど、まさかハンターだったとは。しかもガッツリ味方寄りの。
ウルに首掻っ切られて死んじゃう姿が綺麗だったけど、そこを見ながら「お前も…死ぬんか…」って言ってしまった。

・現在と100年前を交錯させながら描いていくのがものすごく上手だったな…って。単純にびっくり。ヴァンプが長命だからなのかクラウスがTRUMPだからなのかは分からないけど、「歳を取らない」っていう設定だからあの100年の時の交錯ができたんだろうな…。

・ティーチャーミケランジェロ、すごく可愛かった。アンジェリコ様が暴言吐くまで女性設定なのかと思ってたけど、男性なのね。可愛かった。声も仕草も。

・アンジェリコ様たちが1回ソフィの言うことに従ったのは何だったんだろう。あの場にクラウスいたっけ?いたならクラウスがイニシアチブ握ってたのかな…って思うんだけど、覚えてないな…。あそこで完全にソフィがTRUMPだと思ったんだよな…(ミスリードに引っかかることに定評のある夕燈ちゃん)。

・どんどんグイグイ引き込まれていく舞台で、最初は「2時間半か〜。長いな〜」と思ってたんだけど、見てたらあっという間だった。あれだけ引き込まれる舞台だったのは役者さんの役への入り込み方とかもさぞかし凄かったのではないかと思うんだけど、そんな中に存在する「reverse」の存在すごくない…?怖くて見れないよ…。
永遠の命を欲しがらなかったソフィと永遠の命を欲しがったウル…。人間の女性に固執したアレンと、そんなアレンに固執したクラウス…。対立するラファエロとアンジェリコ様…。お互いがお互いを演じるのすごくない…?怖い…怖いよ…。


☆ざーっとした感想

私は20数年生きてきた中でほとんど舞台の観劇経験が無くて、テニミュとかペダステとかのスポーツもので原作のある作品は見たことあったんだけど、こういう運命に翻弄されまくる感じのは初めてだったから見ながら精神的にめちゃくちゃ疲れてしまった…。いやスポーツものも疲れるんだけど、それとはまた種類の違う疲れ方…?
でも面白かった。あんなにボロボロに泣かされるとは思わなかった。全身から脱力して、見終わった後に「すごいものを見た…」って放心した。

OP映像あるのにもびっくりした。「オープニング!!?」って言った。びっくりした。

全体的に「すごい」しか言えないの悔しい…。でも見てから「とにかく見て」って人に勧めたくなっちゃった。
最後の方の、人がバンバン死んでいくとこ、床に這いつくばってクラウスに「噛んで」って縋るウル凄かったな…思い出したわ…。いやほんとに…全部凄かった…。
燃え盛るクランの中を逃げ惑うヴァンプたちとかも。
それから、音楽がめちゃくちゃ好きだな…と思いました。劇中で流れる音楽がどれもこれも好きでした。


フォロワーさんたちに「次はLILIUMを見てください」ってオススメされたので、近いうちに見ようと思います。
強い絶望感を味わえるそうですね…楽しみだよ…。

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