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三鷹古典サロン裕泉堂/吉田裕子
2021年4月12日 12:44
春爛漫の四月号(注:本コラムは結社誌四月号に掲載)である。今回は「朧月(おぼろづき)」を見てみよう。現存最古の歌集、『万葉集』にはこの語は登場しない。春の月を詠んだ和歌も、春霞たなびく今日の夕月夜清く照るらむ高松の野に(巻十、読人しらず)と照り輝く月を詠んでいる。唯一、うちなびく春を近みかぬばたまの今夜の月夜霞みたるらむ(巻二十、甘南備伊香(かんなびのいかご))とい