AoS日記その63~骨にも効く誘惑ください~
これまでのあらすじ
肥大化した自我を抑えきれず、自らをかつて消えたスラーネッシュ神そのものと迷妄したルパート。
彼の周囲には、絢爛なる鎧や、技を顕示せんと同類たちがあつまる。
彼らにとって観客はだれでもいいのだ。
たとえそれが魂持たぬ骨であっても。
見られている、という実感を通じて彼らは自己に酔いしれるのだ。
バトル前の状態
《欺瞞な神》ルパート
ロードオブペイン
自分をスラーネッシュ神の生まれ変わりだか、そのものだかと信じ込んでいる哀れな男。
《唾棄されし旋律》ライッサ
インファーナルエンラプチュレス
その竪琴から奏でられる音楽は何者よりも美しいと信じて疑わない。
《永遠の虚像》レクシス/ラクシセ
コントーテッドエピトミ
鏡に映った自分を見るのが好き。
《艶美な鏡牢》コリント
ミュルミデッシュペインブリンガー
鎧に傷がつくと精神的にやられる。それで2人ほどがPTSDみたいになった。
《卒爾なる衝動》ニビ
シンバラシュツインソウル
自分を顧みずに敵と刺し違えるのを至上とする。部隊員が死にすぎたため、休憩中。
《先駆け一閃》クロンタラント
シンバラシュツインソウル
素早く近づき、相手に致命的な一撃を加えることを目的として戦う。
《堅実な歩哨》ノロン
ブリスバーブアーチャー
自分の射撃する姿に酔いしれている。エピトミを通じて自分を見るのが幸福。
《恒久の遁走》ブルー
ヘルストライダー(ヘルスカージ)
ディーモンスティードから降りられなくなったが、手に持った鞭を相手に引っ掛け、引きずり回すことが趣味。
バトルプラン:奇襲
悦楽神たるもの、たとえ魂なくとも魅了せねばならぬ。
故に、一帯を支配している骸骨の主にその姿を顕示してみせよう、と。
開戦
よろよろと一定の足取りで迫る骸骨の兵士と墓の護り手をルパートは満足げに見やる。
直後、後ろより3方向へと矢が降り注いだ。
スケルトンたちは、盾を構えようとするが突然の矢の雨にその動作はあまりにも遅い。
だが・・・彼らの虚ろな精神を堕落神が誘惑した。
―我が声に従え、その使命を果たしたければ。
スケルトンは使命を果たすのが最優先である。
故に、その誘惑を拒むことはない。
考えられぬほどの素早さで盾を構え、矢を防ぐ。
その隙に、クロンタラントが中央の櫓へと陣取っていく。
死したる骸骨たちはたとえ斃れ伏してもすぐに蘇ってくる。
だが、クロンタラントにとってそれはどうでもいいことだった。
彼らは、思い思いの得物をしなやかにたたきつける。
あるものはその手にもった棍棒で骸骨の頭を砕き、あるものは手に持った爪をひっかけて肋骨を引き抜く。
そして、自らの美技に酔いしれるのだった。
ノロンの部隊も、引きながら着実に敵を射抜いていく。
そして、敵が振り下ろされた武器に砕かれる直前に、神は誘惑を加えていく。
ルパートはその一連の所作を、自分の力によるものだと確信していた。
神たる自分があってこそ、この状況は作れている。
故に自らは尊い存在である、と。
今はまだ彼らの増長は止まるところを知らない。