「5年前のゆよん堂事業計画書より」
※冒頭から注釈で失礼致しますが、文章をお読み頂く前に、あらかじめ知っておいて頂きたくて。こちらは2017年3月作成の文章です。5年前の当時、ゆよん堂事業計画書を書いていて、Why なぜ?(事業を起こす動機、理由)というのをまとめていました。
自分用の覚え書きのような文章で、今読み返してみたら、表現も何だか硬い部分や拙い箇所もありますが、ゆよん堂の活動の動機、理由を熱意いっぱいに語る溌剌とした感じがいいなと自分でも思ったので、今回noteに掲載することにしました。以下どうぞお読みください!
音楽や美術、写真、映画、演劇などの表現を行う者たちにとって、現代は非常に作品を作り続けるのが難しい状況となっている。
個々人の経済状況も原因としてある一方、SNSの普及によって個人の何もかもが明るみになる無意識的なストレスがあるように思う。
過去の時代、個人が抱えた苦悩や体験した深い悲しみは、その個人の中で消化され、力強い表現に昇華され、数々の美しい作品に姿を変えてきた。
SNSでのいわゆる「共感」や「承認」は一過性の満足を個人にもたらすが、クリエイターたちの作品に没入する集中力を削ぎ、短距離的な思考や目的での作品制作を行うようにさせたと思う。
また、個人のビジョンを体現するよりも、すぐに誰かと”繋がって”共作し、作品を内容が薄いものにしてしまっているようにも私は感じる。これまでの自分を鑑みても自戒的にそう思う。
「完全予約制」の古本屋「古本詩人ゆよん堂」は、表現者たちがこの世界で創造的に活動できるよう、また、行き詰まりを感じた時に、詩集や童話、芸術家たちのエッセイ、絵本を中心とした魅力的な本や屋根裏部屋を思わせる「静けさ」を持った店舗の空間によって、「孤独な内省」や「次へ進む発想」「壁をやぶる機会」「新しい扉」を強く与えていきたい。
また、私個人の体験として、25歳でブラック企業に勤めていた時、ビジネスバッグの中にいつも「中原中也詩集」をお守りのように潜ませていた。私にとっての「中原中也詩集」のようなお守りや宝物のように大事にされるような本を売りたい。心の深いところ、魂に触れるような本を届けていきたい。
時代の変遷とともに忘れられ、本来持っていた価値を失った古本たちにもう一度、息吹を与え、再生していきたい。
※これにて、5年前の文章は以上です。長々とした文章をお読み頂き、誠にありがとうございました。5年も経つと人は結構変わってしまい、私も変わったかなと思いますが、ゆよん堂の活動の根本的な動機、本質的な理由は今もほとんど変わってないと思います。
ゆよん堂は2017年、自宅の一角に本棚や様々なオブジェを配置して、古本屋っぽくレイアウトして『完全予約制』の古本屋として、実は始まりました。古本市などのイベント出店も精力的に行い、ゆよん堂の活動を前に進めて行きました。
あの時期を経て、現在のゆよん堂が存在するんだなと最近振り返って、しみじみ思いました。ゆよん堂の名前も、コンセプトである「サーカス」も中原中也の詩「サーカス」に由来していますが「ゆよ〜ん」と頑張って、サーカスをやって来たもんだなと思います。
今年の春には、山口県・湯田温泉、中也の故郷にある中原中也記念館より、パンフレットやチラシ、官報が突然届き、全身が震えるくらい驚喜しました。ゆよん堂がついに認知されたんだなと。中也記念館は数年前に訪れたことがあり、またいつか必ず旅して行きたいと思っています。
さて、2022年七夕、古本詩人ゆよん堂はオープンから3周年を迎えます。店舗を3年やってきて、その間にパンデミックが始まり、戦争も始まり、世界が大きく変わりました。社会も人々も以前とは変わってしまったように、私は思います。
古本詩人ゆよん堂を継続、発展していくために、さらに、これからまた新たな未来を進んで行くために、コンセプトや目的をここで再び明確な文章にしようと思います。それを主軸に今後の活動や展開を考えて選択し、実行していくので。
これまで様々な取材を受けて、その度に語って来ましたが、自分でちゃんとまとめた文章がなかったし、まだまだ充分に語れてないこともあるし。日々情報が溢れ返り、話題が流れ去るSNSメディアには、結局何も定着して残っていかないとも最近はよく思うので。
時代が変わっていき、過去に話した内容も意味合いが変化した可能性もあるので、2022年現在の心情と思考、感覚を全て詰め込んだ新たな文章を書こうと思います。
ゆよん堂および私の心や魂は、ゆよん堂のテーマソング(現在は第6弾まであります!)にしっかりと刻まれていますが、明確な文章として読める形にもしておきたいです。完成したら、ぜひ読んでほしいです。
最後に、ゆよん堂をいつもご贔屓にして頂いている皆々様、いつも本当にありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。また、ゆよんとお会いしましょう!
古本詩人ゆよん堂
山田正史