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突然の訪問

新築オフィスビルに入居して半年ほどたったころでしょうか。ある日の昼過ぎに、突然オフィスの扉をノックされました。カジュアルな服装の男性が突然訪問してきて、営業の人ではなさそうです。「あのー、同じビルに入居しているものですが、こちらは何の会社をされているんですか?」と聞くのです。それは私も耳にしたことのあるITベンチャー会社のK社長さんでした。しかも、私と同じ大学出身の同い年の社長さんでした。

私「えーっと、まだ独立したてなんですが、学会の事務局を請け負っています。他にできることは何か判りません。やれることは事務全般です。」とまぁなんとも情けない回答。

K社長「はぁ、いや入居された会社さんで、何をされている会社かなぁと思って好奇心で突然伺いました。僕たちも10年ほど前に大学のサークルがきっかけで起業しました。せっかく同年代なので何かお互いに手伝えることがあれば協力したいと思いまして。」

私「企業さん向けに私たちは何ができるんでしょうかねぇ、大学の先生方にはコネクションがある方だと思いますけど、ただただ事務作業をしてきただけなので・・・・」とさらに情けない回答。

K社長の突然の訪問の数週間後、K社長に紹介いただきました、ととあるコンサルティング会社から電話が入ります。「弊社は地方自治体などへのコンサルティングを行う会社ですが、市町村合併等のアンケートを各所で行っており、そのアンケート結果の入力と集計をお願いできないか。」というものでした。

あの情けない私の回答から、私達が出来そうな仕事をくみ取って、K社長は私たちを紹介してくれたのです。そのコンサルティング会社の担当者も同じ大学出身のK社長の同級生でした。そして、学会以外の仕事で初めて大きな仕事を引き受けることとなりました。

週に2回ほどダンボールに入った何百、何千というアンケートをコンサル会社まで取りにいき、持って帰ってきます。入力漏れの無いよう、ナンバリングを行い、100づつの束にして、学生さんたちに入力していってもらうのです。学生さん達の作業で追いつかない場合は、役員・社員も総動員です。入力内容は簡単ですが終わりのないように思える作業。気を遣う集計作業。情報系の学生さん達だから、工夫しながらやってくれたのですかね。

市町村合併も数年でひと段落し、今は入力や集計作業の仕事はあまりありませんが、駆け出しの頃の懐かしい思い出です。

つづく

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