デザインと子育てって似てる。
デザインと子育て、なんだか似ているなぁ。最近よく思います。
僕の仕事はインテリアデザイナーで主に店舗や商業施設といった商空間を中心としたデザインをしています。一方、プライベートでは3歳児を子育て中です。
つまり一日の時間のほとんどをデザインと子育てに費やし、睡眠時間や食事の時間を除くとほとんど自由な時間が残らない、そんな毎日を送っています。
そんなデザイン・育児漬けの日々を送っている僕ですが、案外ストレスをためずに楽しく過ごせています。
デザインと子育てって共通点が多くて、そんなことを比べているうちにどちらにも前向きに向き合えるようになったのかもしれません。
きっと共感してくれる人もいるはず。そう思ってまとめてみることにしました。
とにかく時間がかかる
子育てもデザインも、どちらもとにかく時間がかかる。それは、ある程度の時間が必要ということと、いくらでも時間がかけられるということ。きっと共感いただける人も多いんじゃないでしょうか。
子育てはとにかく時間がかかります。生まれたばかりの赤ちゃんは一人では何もできなくて、いつも親がつきっきり。ある程度大きくなってからも「遊んで遊んで」と望みに付き合っていけば、時間はどんどん過ぎていきます。(まるで時間が溶けていくように…)
一方、デザインも同様です。最低限かかる時間もありますし、良くしようと前向きに取り組めば取り組むほど、いろんなアイデアが出てきてその勢いはとどまることを知らず、時間があればあるだけ頑張ってしまいます。
(こちらは自分の問題のような気がしてきました…)
どちらも時間をかけようと思えばいくらでもかけられますし、しかも子供は可愛い、デザインは楽しい、いくらでも時間は過ぎていきます…。
時間をかければいいというわけではない
時間はかかるけど子供は可愛い、デザインは楽しい。まあいいかと、流したい所ですが、残念ながらどちらも時間をかければいいというわけでもないというのが悲しいところです。
デザインが楽しいとは言っても仕事である以上、利益を考慮して適切な時間をかけないといけないですし、もちろん締切もあります。
子育ても時間をかけて頑張れば、その分自分自身の時間がなくなっていきます。その結果、心の余裕を失いストレスがたまってしまうことも。
どちらも適切な時間をかけることで、心の余裕を持つことが大切ですね。
合理化が必要
デザインも子育ても時間がかかります。だから合理化しよう、というのは自然な流れ。限りある時間をやりくりして少しでも余裕を作りたいですよね。
買い物は通販を駆使し、料理は週末に作りだめ。オムツ替えセットを各部屋に用意したり、子ども用品は機能的ものを揃えて、などなど…。
デザインについてはテンプレートを作ってみたり、ヒアリングシートなどを用意し打合せが効率よく進むようにしたり、こちらでも色々と工夫しています。
合理化すればいいというわけではない
合理化はとても大事。でも合理化すればいいというものでもないと思っています。
そもそもデザインも子育ても楽しいもの。あまりに合理化しすぎるとその豊かさや楽しさを失ってしまうかもしれません。
テンプレート化し過ぎればデザインは単調になってしまうし、時には時間をかけること出てくるアイディアもあります。
子育ての場面でも合理化しないことで生まれる楽しさもあるんですよね。
思いつきで作ったご飯が子どもの好物になったり、汚して遊ぶのが楽しかったり。
お金がかかる
デザインも子育てもどちらもお金がかかあります。デザインについてはデザイン料というよりは、モノを作るのにお金がかかるという意味ですが。
子育てはとにかくお金がかかります。ミルク代にオムツ代、大きくなれば食費も増えるし、洋服に習い事にかけようと思えばいくらでもかけられます。
デザインについても同様です。高級な素材やら家具やら、お金をかけようと思えばいくらでもかけられて、増やそうと思えば工事見積いくらでも増えていきます。(そんな案件はなかなかないのが寂しいところだけれど…)
お金をかければいいというわけではない
いくらでもお金をかけられるからといって、それじゃあお金をかければかけるほどいいかというとそんなことないのが難しいところです。
余るほどお金がある場合は別として、ほとんどの家庭はある程度の限度があるもの。親の収入と子供の学歴に相関関係があるという事実はあるものの、じゃあかければかけるほどいいということでもないようです。
デザインも大切なのはお金の使いどころと全体のバランス。かければかけるほど優れたデザインになるわけでもありません。
(予算が全然ないよりはありがたいんですけどね…)
思いが大事
デザイナーです。というとよく聞かれることの一つ。「どんなデザインが好きですか?」
子育ての場面でも「子供に何を習わせたい?」とか「どんな子供に育って欲しい?」というのは親同士で話すことの一つ。
デザインはあくまでクライアントの要望や社会的なトレンド、マーケティングの観点から進めていくものだと個人的には考えています。でも原動力は自分のデザイン感というかデザインへの思いにあったりして、やはり思いは大切だと考えています。
子育てでも、親が与えた環境が子供に与える影響って大きいので、子供への思いってとても大切だと思います。
思い通りにはならない
「思いが大切」と言っても、必ずしも自分の思い通りになるわけではありません。
デザインの仕事はクライアントからの依頼で発生するものだし、自分の思いだけで貫徹できるものではありません。
子育ても親の影響があるとはいえ、子供の人生は子供自身のもの。子供の立場からすれば親の思いなど知ったことかという感じですしね(笑)。
人から褒められる(評価される)
子供育てるのが大変だという前提からでしょうけど、子育てしていると人から褒められることが増えます。
「頑張ってるね。」とか「偉いね。」とか、自分の希望で子供を持ったとはいえ、なんだかんだこういうのは結構嬉しいです。
デザインもそう。あくまで仕事としてやっているデザイナーですが、外からはとてもクリエイティブで難しい仕事というイメージがあるようで。
「かっこいい。」「すごい。」と、とりあえず褒められることがあります。(現実はかなり地味なのだけど…)
それにデザインの成果物はデザイナーの作品として評価の対象になり、時には褒められ、時にはダメ出しもされます。
(なるべく褒められるように頑張ります!)
自分のものになるわけではない
子育てもデザインも頑張っていれば人から褒められる。それは嬉しいことですけど、デザインして出来たものも、子供も自分自身のものになるわけではないんですよね。
子供の人生はもちろん子供自身のものだし、デザインの成果物(僕の場合は店舗のインテリア)はご依頼いただいたクライアントのものになります。
子供はいつか大人になり、自分自身の道を歩んでいきます。デザインして出来たお店もクライアントや商品、地域の色に染まり、こちらも店舗自身の歴史を作っていきます。
完成しクライアントに店舗を引き渡す時、いつも充実感とともに少しの寂しさを感じています。
ある程度の時間ずっと考え取り組んできたからこそ、思い入れや愛着が湧いてしまうんですよね。このまま自分で営業したいなと思う時も結構あります(笑)。
僕の子供はまだ小さくて独り立ちするのはまだまだ先ですが、きっとものすごく寂しいんだろうな。その寂しさを店舗の引き渡しで先に体験しているのかもしません。
子育てとデザインって本当に似ている。