コロナ禍とツイッター(大村吉村問題)
さて、コロナ禍もひと段落という感じ(でもないですね、第2波の危機が迫っているようにもみえます)で、すこしツイッターの話題の記事について触れてみたいと思います。関西と東海で二人の知事がツイッター上で意見を交わしている(ニュースを読むとけんかしているように見える)ことについて、いくつか気になった点があったので、取り上げて考えてみたいとおもいます(これは、哲学的トレーニングのつもりでおこないます)。
まず、事態は、愛知県知事大村氏が、「東京、大阪は医療崩壊している」といったことに端を発していました。それに対して、大阪府知事吉村氏が、「内を根拠に言っているか不明」と返信しています。東海テレビの記事の中で、大村氏は、「病院に入れないことと、救急を断るというこの二つは医療崩壊です。」と、医療崩壊について定義しています。また、同記事では「16ある3次救急医療機関のうち、4つが救急患者の受け入れを休止した」と述べています。
それらの内容は、以下の時事通信の記事でも指摘されています。
その意味で、大村氏は、事実を述べていると考えてよいと思います。
一方で吉村氏は、大村氏の論拠に触れることなく「医療崩壊は起きていない」と述べているよう思えます。少なくとも、上記の2点について正面から反論したツイートは私には見つけることができませんでした(もし見つけられたら教えていただきたいです)。
また、新聞各紙は以下のように報じています。東海テレビや時事通信の記事で指摘されているような内容に触れていないものがほとんどです。
にもかかわらず、大村氏が嘘をついているかのようにふるまいその上で、「相手せんとこ」と、大村氏を切り捨てるような発言をしています。
たしかに、医療崩壊を強調する、大村氏の発言は事実でかつ、医療体制構築に対する問題提起をしようとする意図があったとしても、大阪府民のパニックを避けるためには少し慎重な発言が必要だったかもしれません(だからこそ、収束したこの時期を選んだとも言えますが)。だとするならば、吉村氏の反論の仕方にも非常に問題があると思います。大村氏の信用を不当に下げることは愛知県民の不安を煽ることになるからです。吉村氏は、切れ味鋭い発言をする一方で、事実に向き合わない傾向があるように感じます。今後このことを、徹底して市民が監視すべきです。
私見を述べるならば、彼は、ドナルド・トランプと同じような戦略をとっている可能性があります。自分の利益のために、事実を隠蔽し(見えにくくし)論点をすり替えて、相手のイメージを攻撃する。これは、ポストモダンのもたらす相対主義的攻撃手段の常套です。
このような価値観の崩壊がもたらす終わりの始まりを私たちが目撃しているのだとすれば、終わりの始まりを食い止めなければなりません。
イメージを攻撃することが人間にとってもっとも敵であることを自覚すべきです。