アゾリウスコントロールで世界選手権の権利を獲得した話
こんにちは。
先週末に行われたチャンピオンズカップファイナルシーズン2ラウンド1にて準優勝!!
惜しくもタイトルこそ獲れなかったものの、準優勝で世界選手権の権利を獲得と望外な結果。
常滑の大会で3連続準優勝と中々レアな体験をしてしまった。
さて、今回は世界選手権を獲得するまでの道のりを、調整過程からお届けする。
■メンバー紹介
今回はりゅうじ(村栄 龍司)に誘われて関西のおじさん中心のメンバーと一緒に調整を行った。
というわけで村栄塾の調整メンバー紹介。敬称略。
村栄 龍司
村栄塾塾長。調整メンバーのリーダー。
得意なデッキはイゼットフェニックス。プロツアー・クリーブランドのホテルで森山くんをイゼフェニミラーでフルボッコにし続けたことで有名。
石川県に来訪した際は寿司屋に並んでいる途中でカレーを食べに行くという驚愕の行動を日に2度行った。
黒田 正城
ご存知日本人初のプロツアー王者。《火の玉》より《弧炎撒き》が好き。
どんなデッキも使いこなすそのイメージ通り、今回は俺と同じアゾリウスコントロールを使用。
俺が初めて黒田さんに当たった時は、顔が怖すぎて《イラクサの歩哨》をアンタップし忘れた。後にも先にも人生で《イラクサの歩哨》のアンタップを忘れたのはあの時だけ。
野稲 和弘
BIGS所属。通称"旅するアドグレイス職人"。かっこよすぎる。
プロツアー出場一歩手前まで勝つこと多数。しかしいつも一番大事なところで負けてしまう、なぜかツいていない男。オンラインプロツアーでのトップ8経験もある。
アドグレイス職人の通称とは裏腹にコンボデッキを使っているイメージはあまりない。
藤本 知也
通称ふっじー。2011年の日本選手権で準優勝し、同年の世界選手権の団体戦も制した。
マジックに復帰したその日にPTQに出たが、自分のデッキのカードのテキストがほとんどわからずに1-0ドロップした。
■始まりはボロス召集
『イクサラン:失われし洞窟』の全カードが出揃った後、りゅうじがボロス召集に目をつけた。
新カード、《内なる空の管理人》の強さに真っ先に気が付いたのだ。
そして実際、このカードはすさまじいパフォーマンスを発揮した。
召集を助ける1マナ域なのはもちろん、血と手がかり、ゴブリン3体など、とにかくクリーチャーやアーティファクトが並ぶこのデッキでは、能力を起動するのは容易。そして一度カードが並んだ後には0~1マナのカードはいらないため、占術でそれらを下に送り、ドローの質を上げることができる。
これにより戦場が膠着してしまった後に不利だったはずのボロス召集が、むしろ優位に立てるようになったのだ。
また、自身が4/5飛行・警戒になるのもバカにできない。アブザンパルヘリオン相手に《パルヘリオンⅡ》を釣られながらも、《内なる空の管理人》だけで勝ったこともあり、ボロス召集は単純にデッキパワーがかなり上がったと感じた。
ラクドスミッドレンジとの相性は先手ゲーではあったものの、不利マッチも先手なら勝ってしまい、後手でも理不尽なブン回りが存在する。非常に強力なデッキだと感じた。
■職人によるイゼットフェニックス調整
さて、ボロス召集と同時に調整していたのがイゼットフェニックス。
りゅうじが無類のイゼフェニ好きなため、『イクサラン:失われし洞窟』の情報が出始めたころからずっと《探索するドルイド》型のイゼットフェニックスを回していた。
イゼットフェニックス対ボロス召集の相性はイゼフェニ側に分が悪く、《燃えがら地獄》をサイドボードに用意する必要があると感じた。
個人的には『イクサラン:失われし洞窟』で強化されなかったイゼットフェニックスにはさほど魅力は感じなかった。ラクドスミッドレンジに少し不利、今後出てきそうなボロス召集にもメインを落としがちで、ロータスコンボもキツかった。
ポジティブな材料としては、新セットで《苦々しい勝利》を得たアブザンパルヘリオンにとても強かった点だ。3点除去を常に構えながらクロックを刻むことのできるイゼフェニは抜群の相性で、調整段階ではパルへリオン側が《耳の痛い静寂》を置いてようやく五分だったほど。
《パズルの欠片》と《錠前破りのいたずら屋》で2つの型が存在していたが、りゅうじが推していたのは一貫して《錠前破りのいたずら屋》型で、その理由については納得。
《パズルの欠片》はリソースが増えるカードだが、3マナと重く、特に打ち消しを構えられないのが大きい。《錠前破りのいたずら屋》は打ち消しを構えつつ動けるし、相手のアクションを見てから必要なカードを選択できる。
《宝船の巡航》と《感電の反復》でリソースは取れるため、《パズルの欠片》がなくてもデッキは十全に動けた。
《帳簿裂き》と《氷の中の存在》についても、りゅうじは《帳簿裂き》一択と強く主張していた。クリーチャーデッキに対して《氷の中の存在》は強いが、それは《帳簿裂き》も同じ。事故を緩和してくれるのが《帳簿裂き》で、事故を起こしやすいのが《氷の中の存在》だというのが個人的な感想。
回していると大体りゅうじが正しいことがわかった。イゼフェニのことはりゅうじに聞け!
■ロータスコンボにロック
調整内で有力候補だったのはイゼットフェニックスとボロス召集。これらのデッキと戦えるラクドスミッドレンジも当然いるだろうという予想。緑単で抜けたプレイヤーもそのまま緑単を使ってくるはず。
強化されたように見えたアブザンパルヘリオンは、上記のうち、緑単以外のデッキに対してあまり強くないため、予選でアブザンパルヘリオンを使用していたプレイヤーだけが選んできそうで、こちらはあまり増えないと予想。
というわけで、ラクドス・イゼフェニに強いロータスコンボが候補に挙がる。ボロス召集を加えた3つのデッキとサイド込みで練習。
結果として、すべてのデッキに勝ち越し。ラクドスはメイン戦は先後関わらず勝利、サイド後は先手なら勝ち、後手では負け越しという結果。《減衰球》が入っていないリストだったため、実際はもう少しきついだろうが、有利には違いない。
イゼットフェニックスに対しても明確に有利で、メインはほぼ必勝、サイド後も戦い方さえ知っていればしっかり勝つことができた。
苦手と予想していたボロス召集にも意外と勝てた。というか先手ならば有利かもしれないと思ったほど。《砂時計の侍臣》からのキルパターンに加えてサイド後は《旅するサテュロス》と《一時的封鎖》があり、マッチはあまり落とすことがなかった。
事前に予想していた多くのデッキに有利だったため、晴れる屋トーナメントセンター大阪のラストサン予選に出場。リストは以下。
結果は優勝。
このリストから数枚を変えてデッキを提出しようと考えていた。
そう、あの日が来るまでは。
■パイオニア、破壊される
その時は突然訪れた。
瀬畑さんがパイオニアショーケースチャレンジで象発見を使い優勝。そして2位はメルケルさんの地質鑑定士コンボ。
これにより、MOで発見コンボが大流行。
そしてロータスコンボを使っていた野稲くんから「《睡蓮の原野》を置いた返しで負ける」と悲鳴が上がる。
それもそのはず。
こちらが3ターン目に土地を置いた返しに相手は悠々と1枚コンボを決めてくるのだ。干渉手段も《天上都市、大田原》程度しかなく、ロータスコンボを常滑の相棒に選ぶ計画は消え去った。
というか、様々なデッキが消えることになった。
ラクドスサクリファイスは猫かまどを往復している間に死亡。
緑単は《大いなる創造者、カーン》を置いた返しに死亡。
アブザンパルヘリオンは《パルヘリオンⅡ》を走らせた返しに死亡。
緑単・ラクドス・ロータス、イゼットフェニックス、その他というこれまでのパイオニアのメタゲームは激変することとなった。
りゅうじはこの事態に喜んだ。イゼットフェニックスは除去を構えながら攻めるデッキだったため、発見に対して比較的有利だったからである。
メンバーもイゼットフェニックスに決まりかける中、プレイに自信がなかった俺は、他の逃げ道を考え始める。
そして、とある友人から受けていた相談を思い出した。
■復活のアゾリウスコントロール
その友人は、昨年俺がプレイヤーズコンベンションオープンで準優勝したアゾリウスコントロールを作ったきっかけになった人物だった。
奇しくも、その時も俺はロータスコンボを使っていた。ドロップして会場をうろついていた時に、アゾリウスコントロールの相談を受けた。そこからデッキをブラッシュアップしているうちに強いデッキができ、それが準優勝に繋がった。
今回の相談もやはりアゾリウスコントロールだった。
相談してきたのは土曜日の深夜で、その時は発見が勝つ前だったため、俺の返事は曖昧だった。しかし、発見が爆発的に増えそうだと感じ始めた月曜日、本腰を入れてアゾリウスコントロールを調整することにした。
まずは発見コンボを止めるにはどうすれば良いか考えた。2種の発見のどちらにも打ち消し呪文は有効。だが打ち消しだけを入れまくるわけにはいかない。他のデッキと当たることも想定し、除去も必要だ。
そしてこの除去枠は一瞬で《失せろ》に決まった。相手に地図トークンを渡してしまうこの除去だが、デッキにクリーチャーの少ない発見に対してはほぼデメリットのない除去として機能した。
そもそも、アゾリウスコントロールの《失せろ》は非常に強い。探検によってクリーチャーが強化されてしまうと、クリーチャーデッキでは対処に困るが、コントロールデッキならばどれだけ強化されても痛手にならない。リソースを与えてしまうものの、些細な問題だ。血と《鏡割りの寓話》で探検で得た土地を捨ててくるラクドスだけは問題だったが。
また、《不穏な投錨地》も強いと確信していた。クリーチャー化のマナが軽く、地図トークンはこのデッキにとって必要な土地を供給してくれる。《ドミナリアの英雄、テフェリー》がいる時に《不穏な投錨地》で攻撃して探検→《ドミナリアの英雄、テフェリー》でドローという動きが強い。
ここまですべて脳内の話。今回は直前まで体調不良だったこともあり、アゾリウスコントロールについては1マッチも回さずに微調整を行っていた。今までの経験が活きた。
デッキ提出1時間前に黒田さんがMOで原根くんとマッチングし、土地を100枚引いて負けて怒っていたため、《多元宇宙の警告》を入れることに。結果的にこれのおかげで発見に対してより安定して勝てるようになった。ありがとう、原根くん。
ちなみに、アゾリウスロータスも候補に挙がったが、発見との戦いを想像してすぐに諦めた。
アゾリウスロータスは相手への干渉手段が通常のコントロールに比べて少ない。そのスロットを《睡蓮の原野》パッケージにしているためだ。
更に《睡蓮の原野》を置くターンに隙ができ、それが発見相手に致命的となる。
戦場に2マナ、《失せろ》が手札にあり、ここで《睡蓮の原野》しか土地がない場合。これを置けるだろうか?返しで発見で負けてしまう可能性があるのに。
この再現性の高そうな状況に耐えられなかった。
また、サイド後に《思考のひずみ》などの打ち消されない呪文に《不連続性》で対抗できるというのも、個人的にはピンとこなかった。マナ加速から《思考のひずみ》を打ってくる相手に対してこちらが同じマナコストの《不連続性》を打つなら、どこかで《睡蓮の原野》を置いていなければならないし、その時にはタップアウトしてるはずだ。つまり、サイド後もギャンブルに勝つ必要がある。
というわけで今回はアゾリウスコントロールを使用することになった。
チームメンバーのデッキ選択はというと、りゅうじは魂のデッキ、イゼットフェニックス。練習していた野稲くんも同デッキを選択。
ふっじーはラクドスミッドレンジ。ちなみに当日朝まで何を使うか俺は知らなかった。
黒田さんは俺と75枚同じアゾリウスコントロールを使用。
■デッキリスト解説
3《ドミナリアの英雄、テフェリー》
常に4枚入れていた最強のプレインズウォーカーだったが、今回は3枚にとどめた。発見相手に出すターンがなかなかないためだ。
一見、打ち消しが0枚の発見相手には5ターン目に出せると思うだろう。だが実際は《覆滅+複製》で妨害されるし、《豪奢+誤認》で土地を壊されて除去や打ち消しのマナを構えられなくなったりする。
元々、4枚目の《ドミナリアの英雄、テフェリー》はラクドスに対して必要なカードだった。発見によってラクドスは数を減らすと予想していたため、すぐに削ることに決めた。
また、「発見が増える=発見に強い青いカウンターデッキが増える」という読みもあり、この点も《ドミナリアの英雄、テフェリー》を減らす理由になった。
4《至高の評決》
アグロデッキへの耐性の低さ、発見メタとしてスピリット・イゼットフェニックスの台頭、ラクドスミッドレンジへの回答として最もベターなため、4枚採用に。
《一時的封鎖》はボロス召集・ラクドスサクリファイスには強いものの、スピリット・イゼットフェニックス・ラクドスミッドレンジに対して弱く、1枚も採用したくなかった。
実際、《至高の評決》は非常に強力なカードだった。発見もコンボを決めてこずにある程度並べてターンを返してくるため、《至高の評決》はしっかり刺さる。
4《失せろ》
《魂の仕切り》はなんだったのか?そう問いたくなるほど強い除去。パイオニアで使える白い除去の中で最も強い。というかモダンでも強いのではないだろうか?
地図トークンがデメリットになりにくいのが良い。ただ、相手の土地が止まらないので《かき消し》が後半腐りやすくなるデメリットがある。
4《記憶の氾濫》
今回の構築で最も重要だった箇所。
発見相手は構え合いになること、既に述べたように青いデッキが増えることが予想できたため、《記憶の氾濫》を4枚目にした。これは大正解だった。
3《吸収》
後手で弱い3マナカウンターは最近のアゾリウスコントロールに採用されないのが一般的だが、必要だと感じた。発見は《マグマ・オパス》と《奔流の機械巨人》で攻めてくる。《ドビンの拒否権》《方程式の改変》《かき消し》のラインナップだと《奔流の機械巨人》が通ってしまうため、確定カウンターは必要。
《マグマ・オパス》などが通ることも考えるとライフを回復できるのも重要で、《吸収》はぴったりだった。
3《ドビンの拒否権》
地質鑑定士・象のどちらにも当たる打ち消し。《鏡割りの寓話》も厳しいし、クリーチャーは《失せろ》で対処できるため、3枚は必須と感じた。
2《方程式の改変》/2《かき消し》
《方程式の改変》は発見コンボすべてを完璧にカウンターできる素晴らしい打ち消し。だが、《奔流の機械巨人》に対して何もしないため、3枚以上は入れられなかった。
そこで《かき消し》と分けることにした。実際どちらも思うように機能してくれた。
1《多元宇宙の警告》
デッキリストを登録した後、締切の数分前に入れた1枚。
MOで黒田さんがアゾリウスコントロールを使っていてとにかく《記憶の氾濫》を引かずにマナフラッドし続けていて、挙句には原根くんとマッチングした際にメイン《思考のひずみ》で負けたと聞き、《多元宇宙の警告》を提案。
直前で入れた1枚だったが活躍してくれた。
が、リスト公開制であることを加味して予顕カードをもう1枚入れるべきで、《吸収》は2枚に減らして《襲来の予測》にすれば良かった。これはリスト登録の翌日に気が付いた。
4《ポータブル・ホール》
アグロデッキ相手に入れる定番の除去。今回はラクドスミッドレンジを完全に切っているため、これをサイドインするしかなかったのだが、意外と大活躍だった。
ラクドス側が《勢団の銀行破り》を4枚にしているため、何枚あっても困らなかった。そもそも《勢団の銀行破り》4枚が終わっているのだが。
《一時的封鎖》と迷ったが、白単人間に対して《一時的封鎖》はあまりにも弱く、《ポータブル・ホール》の方が良いと判断。発見に強いスピリットが増えることも予想し、それに対しても《ポータブル・ホール》の方が強い。
3《クチルの側衛》
主に入れるデッキは墓地活用デッキ。イゼットフェニックスとアブザンパルヘリオン。《安らかなる眠り》は自分の《記憶の氾濫》が追放されるため、こちらの方が好み。
ミラーマッチでサイドインできるのも強み。インスタントで出てくるパワーの高いクリーチャーはミラーで強い。《アーデンベイル城》さえ引かれなければ結構殴りきってしまう。占術で土地を引き込みにいけるのもグッド。
墓地対策でミラーにも入れられるカードは珍しい。器用なカード。
発見を意識して投入。
《思考のひずみ》4枚が日曜日時点でデフォルトになっていたため、それに対抗して《ナーセットの逆転》を青系デッキは採用するのは目に見えており、発見側がこれに気付かないはずがない。そこで《ナーセットの逆転》に強い《龍王ドロモカ》などの打ち消されないクリーチャーが使われると予想し、《即時却下》を投入することにした。
《ナーセットの逆転》自体は発見コンボにほぼ無力(《異界の進化》を邪魔できる)なため、単純な打ち消しとしても使える《即時却下》をたくさん入れてみた。
これが見事にハマってくれた。
2《領事の権限》
発見対策兼ボロス召集対策。
前述の通り、《龍王ドロモカ》が使われるであろうことが想像できたため、10マナから《龍王ドロモカ》+《地質鑑定士》で負けるのが嫌だった。そこで《領事の権限》を入れることに。
アゾリウスコントロール相手には発見はじわじわとクリーチャーを並べて攻めてくること(《奔流の機械巨人》+《マグマ・オパス》など)が多く、《至高の評決》はあるだけ便利だ。そのため、本来であれば4枚すべて残したいのだが、コンボ自体には無力なカードなのでそれは難しい。
しかし、《領事の権限》が設置してあれば確実にターンが返ってくるため、《至高の評決》は手札で腐ることがより少なくなる。このカードを入れたことで《至高の評決》を4枚残しやすくなった。
2《ナーセットの逆転》
《思考のひずみ》より多い枚数の対策が欲しかったため、合計で5枚採用。《思考のひずみ》を跳ね返した回数は0回だったが、代わりにたくさんの《マグマ・オパス》をコピーした。
《思考のひずみ》を4枚採用していた発見には2回しか当たらなかったので、読みは当たっていた。
1《サメ台風》
発見が多いことで必然的に青ミラーが増えるのは何度も説明した通り。今回は4枚目をよくサイドインした。
マナベース
《不穏な投錨地》は最強のミシュラランドなため、4枚採用する以外に選択肢がなかった。
以前はこのスロットが島・平地である《灌漑農地》だったため、《氷河の城砦》を入れていたのだが、お役御免に。代わりに《連門の小道》を4枚採用することとなった。1ターン目のアンタップイン率が増えたため、《ポータブル・ホール》が使いやすくなった。
2ターン目は絶対にアンタップインして2マナを構えたい。しかし、《不穏な投錨地》と《さびれた浜》は2ターン目は確定タップインになる。そのため、残りの19枚の土地は無条件でアンタップインさせたいと考えた。《ヴァントレス城》と《アーデンベイル城》が不採用なのはそのためである。
尤も、《不穏な投錨地》を4枚入れたおかげで、マナの注ぎ込み先に困ることはほとんどなかった。ミラーマッチでは《アーデンベイル城》は欲しいと感じたが、《廃墟の地》を3枚に増やしたことで、活躍する前に解決でき、問題には感じないレベル。
《廃墟の地》は、発見に《魂の洞窟》が入っている可能性があること、コントロールミラーで相手の方がバリューランド(《アーデンベイル城》など)を採用しているであろうことが予想できたため、3枚は必須、4枚目も検討していた。
■発見VSアゾリウスコントロール
《地質鑑定士》が出てきた場合、打ち消しと除去を両方持ってるなら、打ち消さない方が良い。相手が異界の進化をめくったらそれを打ち消し、《玻璃池のミミック》ならスタックで除去。どっちも唱えてこなかった場合もエンドに除去する。
打ち消しは《嘶くカルノサウルス》に取っておいた方が良い。なぜなら《嘶くカルノサウルス》から《地質鑑定士》とめくれた場合、除去1枚で対処不能となってしまうからだ。打ち消しは《嘶くカルノサウルス》にとっておくべき。
《奔流の機械巨人》+《マグマ・オパス》の場合は除去が意味なく、ここにもカウンターが欲しい。だから打ち消しはこのマッチで貴重。《吸収》の採用理由も頷けるだろう。
除去は《地質鑑定士》には完璧な回答となり、他のカードにはイマイチ。こう覚えておけば対処方法がわかりやすいはず。
逆にいうと、発見側はアゾリウスコントロールと戦う時は、《地質鑑定士》でめくったカードを使わずに手札に加えた方が良い。特に《異界の進化》は《地質鑑定士》を失ってしまうため、リスクが高い。場に《地質鑑定士》が残れば次のターンの《地質鑑定士》に対して除去1枚では受からなくなってしまうから、場に《地質鑑定士》を残しておくのは非常に重要。
最後の《ドゥームスカールのタイタン》をサーチする《異界の進化》まで打ち消しを温存し、返しで《至高の評決》はあまり望ましくない。なぜなら比較的ケアが容易だからだ。
適当に少し並べて《至高の評決》を使わないと返せない場にしつつ、手札に次の弾を用意されたら負ける(《嘶くカルノサウルス》2-3体、手札に《地質鑑定士》みたいな状況を作られたらアウト)
発見視点では、アゾリウスコントロールと戦う際は、初手が強ければどんどん最速で仕掛けていった方が良いと思われる。《記憶の氾濫》を一度打たれてしまうと妨害カードを引き込まれてしまうので、打たせる隙を与えずに連打すべし。
《奔流の機械巨人》は《記憶の氾濫》にスタックして出すのが望ましい。相手が2マナしか余らないので通りやすい。逆に《吸収》を構えながら《記憶の氾濫》を打たれたなら、素直に解決し、アゾリウスコントロール側のターン終了時に《奔流の機械巨人》を出すのがベスト。
《奔流の機械巨人》が通って《マグマ・オパス》が打ち消されるのは良い展開。戦場に《奔流の機械巨人》が残れば《玻璃池のミミック》でコピーなどもできる。《玻璃池のミミック》の使い道は多いため、《地質鑑定士》でめくれた場合は手札に加えた方が良いのだ。
■大会結果
【Day 1】
○○鑑定士コンボ
○○鑑定士コンボ
○○鑑定士コンボ
○○鑑定士コンボ
○○ボロス召集
○○アブザン探検
●●鑑定士コンボ
●●ボロス召集
怒涛の鑑定士コンボ4連打を超え、6-0まで行くも失速。
この日が初回しだったが、鑑定士コンボの相性は想定通りだった。《即時却下》を採用していないと負けていたと感じ、決してオーバーキルではないことに安心。
道中当たった井川さんチームのリストが《思考のひずみ》0枚で《龍王ドロモカ》3枚の構成で、そこで初めて《至高の評決》を4枚とも残すサイドボーディングを試してみたのだが、これが上手くハマり、発見には結局この2日で1度しか負けなかった。
6勝2敗で2日目に。
【Day 2】
●●アゾリウスロータス
○○オパス独創力
○○ラクドスミッドレンジ
○●○アゾリウスコントロール
初戦負けからなんとか3-1でトップ8滑り込み。
印象的だったのはオパス独創力戦。土地が止まって《奔流の機械巨人》から《マグマ・オパス》を決められ、その後も攻められ続けるも3枚目の《至高の評決》をトップデッキしてフィニッシャーをすべて枯らして勝利。
ここを負けていたら初日のラウンド7から含めて7連続敗北だったので、ギリギリで踏みとどまれたのが大きく、流れを掴んだ気がした。
最後はミラーマッチを勝利。《アーデンベイル城》がこちらにだけ入っていないミラーだったが、《記憶の氾濫》の枚数が勝負を分けた。
【決勝ラウンド】
○○鑑定士コンボ
○○ローナルーカ
●○●ジャンド独創力
決勝で負けるも、世界選手権の権利を獲得。
決勝ラウンドで勝てる可能性のある唯一のデッキ全部に当たれたので、かなりついていた。他のどのデッキに当たってても世界選手権の権利を得ることはできなかっただろう。
全体を通してミスなく良いプレイができたと自負している。使い慣れているアゾリウスコントロールだったというのもあるが、リスト公開制によりゲーム1でのマリガンをしっかりできたのが大きい。リスト公開が始まった当初より、明確にマリガン基準が厳しくなっているのを感じていて、ようやく適応できているのが、チャンピオンズカップファイナルでの好成績に繋がっているのかもしれない。
なお、野稲くんは今回もトップ8バブルで敗北。泣いた。
■終わりに
というわけで、2連続で3敗1分だったチャンピオンズカップファイナル、ついに今回は準優勝という形で終わることができた。
とはいっても、決勝のカバレージで書かれている通り、未だにタイトルが一つもないのは事実。
今年大きな大会は年末のThe Last Sun 2023。
タイトルを持ち帰って、ここで報告したい。