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無限に張り続ける前提でやっている - カンムナイト「大きな産業のトレンドから作るB2Cプロダクト」の書き起こし1万字レポート

先日バンドルカードを提供している株式会社カンム主催のカンムナイトに行ってきたので、そのレポートです。

イベントの主題としては「大きな産業のトレンドから作るB2Cプロダクト」ということで、それぞれ金融と小売という大きな産業でB2Cプロダクトを提供しているカンム代表の八巻さん(@8maki)と、10X代表の矢本さん(@yamotty3)の2時間に渡る密度の濃いトークセッションでした。  

つい記事が長くなってしまったので初めにも両社の採用ページを。飛んでみてください!

市場の話

まず話はこのイベントのきっかけになったお二人が書いたブログの話からスタートしました。

書いたブログについての調査方法と反響

カンム八巻さん(以下、八巻):最近リテールに関するブログを書かれていますが、なぜそういうアプローチをしているのですか?どういう意図か教えてほしいです。

10X矢本さん(以下、矢本):意図は2つあって、1つは自分の考えを整理するときに言葉にしないと忘れてしまうというのがあって、習慣になっています。

例えば、いまの会社10人ほどしかいないですが、昨日数えたらドキュメントで3,000枚もページがあって、そのうち2,000枚は自分が書いたものでした。
なので、元々書くのが記憶の定着であったり何かの学びに必要な行為なのでしているというのが、そもそもの大前提としてあります。

もう1つの意図は、この記事に関していうと言いたいことが明確にあったんです。ただ言いたいことって、初めはすごいヒューリスティックなものから生まれるじゃないですか。自分のいくつかの経験からパチんとハマって「これ、こうじゃないの?」ってヒューリスティックに生まれるんですが、それをそのままTwitterに書いても散文的で、「それリアルなの?」という疑問を自分で晴らせないんですね。

なのでその疑問を晴らすために、ちゃんとファクトで補強して言いたいことを主張するために書いています。もちろん言いたいことは自分の事業や採用を前に進めるための打算的なものです。

スタートアップが大きな産業へ入り込むには

八巻:大きな産業に入っていく時ってベンチャーって相手にされないじゃないですか。その場合有効なのが、圧倒的に自分が業界に詳しいという状態を作ることだと思っています。

元々カンムは、カード会社向けにデータ解析をしてクーポンを出す事業をしていました。当時社員が自分1人しかいない中で、大手を落とさないと事業が進まないという状況で、普通にドアノックしても相手にされないので、ひたすらブログを書くということをしました。

一週間に一回ちゃんと調べまくって、アメリカのCLOの事例だったり、向こうの2ちゃんねるみたいなサイトで書かれてる「バンク・オブ・アメリカのあれどうよ?」みたいなスレッドをまとめてブログに上げたり、カード会社に提案する、というのを続けていました。

それが1年くらい経つとカード会社の2, 3割くらいの人が自分のブログを認知するようになって、そこから人の紹介で業界の人と会うようになると「あのブログ書いた人ですよね」となって商談がすごくスムーズになったという経験があります。

なのでアライアンスしたいという場合は、その狭い領域で圧倒的にコイツが詳しいという状況を築けると一気に世界が広がると思います。

あとはポジショントークするのが大事だと思っています。こういうファクトが集まってますだけじゃなく、「私はこれが来ると思います」と書くと反論も来るしそれでフィードバックを得て次のステージにいけるので、特に小さい会社では大事だなと思います。

書くときに意識したことありますか?

矢本:ファクトとこう思うを分けるというのは意識しました。スライドの部分は事実だけを書いて、文章は自分の思ったことを書く構成にするという技法は使っていたりします。

八巻:書いた後の反響ってありましたか?

矢本:タベリーをやっている会社の人と認識されているので、ギャップがあると思うんですね。リテールに詳しい人と見られてないと思うので、そこのポジションを固めてきているなと思います。

今トレンドの手前にあると思うものは?

八巻:今は純なB2Cではなく、産業を塗り替えるデジタルトランスフォーメーションをテーマにした会社が多くなっている中、現在トレンドの手前にあるというものは何だと思いますか?

矢本:あと5年後くらいに爆発しているものですよね。リテール領域だと2つあって、1つはもう既に差し掛かっていますが「ニッチコマース」かなと。メディアがパーソナライズされていることで、バイパスが沢山出来ていてニッチ商品にたどり着くことができるようになって、ニッチな人を熱量高く集めるられるので成立するようになって明確に来ているなと思います。BASEやStores.jp、D2Cはニッチコマース銘柄だと思います。

もう1つは「ネームドリテール」と呼んでいるんですが、名前のあるオフラインでロードサイドを制したキャッシュがあって体力のある会社が、今からようやくデジタルでモノを売るというのが次の10年かなと思います。

例えば「ニトリ」はこの30年間伸び続けていますが、まさにロードサイドから始まって、ロードサイドでトラフィックを集めてデカイ倉庫兼店舗でキャッシュを溜めてきた会社です。

10年前くらいからECを始めて倉庫も作っていますが、現時点でEC売上は全体売上の数%しかなく、市場のポテンシャルからすれば30%くらいEC化されてもいい家具のマーケットなのに、一番デカイニトリが数%しかなくてニトリはまだEC本気じゃないと思っています。

本気じゃない理由は、ECは専用の倉庫が必要であったりとフィジカルな面が大変で供給路がボトルネックとなっていますが、その辺りの投資を仕込んでいるのでこれから30%まで10年かけて伸びると思います。

ユニクロも有明に本社兼倉庫を立てましたが、あれがフル稼働するのはまだまだ先で、去年のEC化率9.5%くらいでフル稼働すればこれから2倍くらいは普通にいくと思います。

ニトリやユニクロといった創業社長の早く動ける企業ですら一桁%台なので、世の中のそれ以外の会社はこれから投資が始まってEC化率が上がっていくというのが次の10年なのかなと。

八巻:僕は法人の与信まわりがこれから来ると思っています。銀行融資などのダイレクトな法人融資とは別で、法人与信で困っている会社ってめちゃくちゃ多いと思うんですね。

例えば、我々の広告宣伝費を広告代理店にお願いしてやっていますが、初期与信が月200万円みたいな世界だったりします。普通アプリの会社が広告代理店使って広告出すとなると数千万円単位になるのに、はじめは200万円しかない。そこの与信の解決方法が今ないよねと。

現状だと、その会社の人が頑張って広告代理店の人に良い印象を与えるくらいしかメソッドがなくて、負が生まれていますよね。法人に対する与信のコストがかなり高い割にそこへのアプローチ方法がない状況です。

そういった商流の中で困っている法人与信を解決するっていう方向性はあるなと思っていたりします。

未来を予測するのは簡単だがタイミングは読めない

八巻:2人の話に共通することとして、未来を予測するのはふっき氏(LayerX代表 福島氏)もブログ(https://note.com/fukkyy/n/n2f8ae3da0e08)で書いてたとおり結構簡単だと思っていて、5Gだったりドローン、自動運転が10年, 20年で実現するというのは予測できると思うんですが、それって法律だったり属人的なところで止まっている。例えば仮想通貨も金融庁の担当者が変わるだけで、締め付けが強くなって勃興が遅れるといったことがあって、こういうことは全領域であると思います。

これは法律だけでなく、色々な既得権益が「ダメだ」と言うだけで停滞するので、どのタイミングでトレンドになるかは予測できないと個人的には思っています。

その中でもある程度解像度高く話せるのは、自分の領域の2, 3年後くらいで、結局こういうトレンドが来るというのは自分が掘っている領域じゃないといつ来るかが読めないのかなと。

矢本:なので八巻さんのブログは参考になりますね。もはや情報が濃すぎて取りにいけないです。基本的に人の事業に口出せないなと思ってやっています。

八巻:ただトレンドを追うのは難しいとはいえ、それがオントレンドなのかプレトレンドなのか、もうトレンドが終わっているのか、そもそもトレンドが来ないのかというのは起業家にとって大事だと思っていて、それが10年かかるのか2, 3年なのかの見極めは必要じゃないですか。

その見極めって何を指標にすると良いと思いますか?何を持ってピボットするべきなのか、トレンドが来るまで待つべきものなのか。

矢本:「トレンド」というキーワードが出てきましたけど、自分はトレンドを意識したことがなくて、トレンドに乗るのが下手な方なんですね。どちらかというと「未来こうあるべき」みたいなのは見定められるのですが、そこに向かう波がどうあるのかはよく分からないタイプです。

なので実際やってみるんですね。プロダクト出してみるとか。そういった手の速さみたいなのは一定あると思っているので、プロダクト出す等うまくパスを作ってエンタープライズの一番上までたどり着いて、そこで事業作る。
そうやって実際にやってみて、それがキャッシュを生むかどうかで続けるべきか撤退するかをジャッジしています。

いつ来るか分からないということは、無限に張り続ける必要があるという前提でやっていて、「僕30年やります」ってずっと言ってるんですけど、「君お金なくて出来ないでしょ」となるんですが、当たり前にそういった論点をどう潰せるかっていうのを常日頃考えているという感じですね。

30年何も波が来なかったときに、どうやってキャッシュをもたせるのかということを逆算して答えを出しておく。結果的に今のスモールチームだったり、めちゃくちゃフィットする人しか採用しなかったりと組織にフィードバックがかかるのかなと。

八巻:大きくし過ぎるより、とにかく30年耐え続ける体制を作ると。

矢本:要はバンドルカードみたいに張ったら流通額伸びると分かっているものが生まれたら、不確実性に対してベットできるキャパシティが増えますが、そうじゃないフェーズの方が長かったり先が見えないはずなんですよ。

そういうフェーズに拡大するなんてあり得ないなと。長くベットできるような資本や人の関係といった体力を作って、その中で積み上がるものに集中するみたいな。当たり前のこと言ってますね。

八巻:そのキャッシュの持たせ方が結構人によってカラーが出ると思っていて、いっそのこと受託やろうみたいなパターンやとにかく人数少なく費用を抑えてキャッシュがマイナスにならないようにしようというパターンなど色々あると思いますが、こだわりあったりしますか?

矢本:両方ですかね。やっぱちゃんと営業キャッシュフロー作るってのは事業やる上で重要で、今この瞬間で成立する事業をちゃんと作る。だけど、どっかのスタートアップのアプリの開発の受託を受けるのではなくて、その事業をやったら次にやりたい未来に対するステップの一個のマスが埋まって、かつキャッシュが生めるものをちゃんとやる。さらにそれをベースにファイナンスをするという2つしかないのかなと思います。

条件が組み合わさるので物凄く細い穴だと思うんですが、それをちゃんと通すのが起業家の役割な気がします。

プロダクトが最高の名刺だった

八巻:ここもっと掘りたくて、いま目の前で成り立つビジネスモデルをちゃんと自分の方向性に合ってはめるというのは結構難易度が高いと思っていて、その中でB2Bから始まるというイメージが強いんですが、どういう戦略でキャッシュを作るというのを意識していますか?

矢本:動きやすい財布しか動かないですよね。例えば、R&Dのバジェットって比較的質量が低くて動きやすく、スタートアップからしたら狙いやすい。

うちもたまたまですが、見晴らしのいいポジションで割とキャッシュが生めそうな契約が巻けていて、それはなぜ出来たかというとタベリーというプロダクトがあったんですね。プロダクトが最高の名刺だったんです。

要はタベリーって、何を作るか意思決定して買うものも決まって、ボタン一個押したら食材が届くという未来を示したものだったんですね。こういうアイディアって過去に1億人くらい考えてきたと思うんですが、誰も出来てなかったことをポンと作ってちゃんとプレスしたんです。

そしたら流通各社がものすごい盛り上がって「私たちが欲しかったのはこれだ。でも〇〇な理由があってできなかったからこれが欲しい」って言われたんですね。

ユーザーにPMFするのもそうなんですが、エンタープライズにPMFしちゃって、それからキャッシュが生める案件が見晴らしのいい場所から選べるようになりました。

八巻:それはすごい美しいですね。

矢本:良いプロダクト出したら狙ったところと違うところにPMFしました。

八巻:結果的にいま作れるキャッシュの源泉になっているし、生き残る戦略上重要なファクターになっていると。

矢本:そうですね、しかもそれによって流通の超大手との対話が始まって、リアルな課題が見えてきました。こういう課題解かないと本当により良い体験作れないと思って、うちの重心って今まで通りC向けのプロダクトに傾けるべきか、エンタープライズに傾けるべきなのかの天秤ができました。

それを作りたい「小売の10X」みたいなものさしの中で、じゃあ今どの順番で解くかといった選べるカードが増えて経営しやすくなるといった良い流れになりました。

八巻:露出が多いとコンサルで繋ぐというのもできるのかなと思っていて、バンドルカードが出来る前ってカード会社のOKが出ないとリリースできない。法務を通すのに半年かかったので、その間従業員の給料は出ていって、その間どうするって中で、今までやってきた関係値のある人・会社とのコンサルで繋ぐというのをやっていました。そういうポジションを社長が築いておくのは大事なのかなと思います。

オントレンドなのかプレトレンドなのかの指標

八巻:オントレンドなのかプレトレンドなのかどういう指標があるのかを考えると、SAMが最大化している状態がオントレンドなのかなと個人的には思っています。ボトムアップでユーザーを見たときに最大取りうる市場。

マーケティングが合ってないと最大ユーザー数にリーチできないので、マーケティングがSAMの最大化にマッチしている、例えば勝手にメディアが取り上げだすというのがトレンドが来ているのかなと。今だとSaaSとか、少し前だとAI系で、その領域の上場企業が出始めるとトレンドが下火になっていくと考えています。

矢本:難しいですね。ポール・グレアムが言う「デフォルトで生きている」という言葉が好きで、「デフォルトで生きている」企業の群が増えているときってトレンドなんじゃないかなって気がします。

LTVがCPAを圧倒的に上回ってますって企業が一社だけじゃなくて、同じようなことをやっている会社が5, 6社いるときってトレンドなんじゃないかなと思います。分かりやすいのはキュレーションメディアですね。

個体としての努力じゃないところで勝負が決まるような状態というのが、トレンドなのかなと思いますね。ただ、なかなか生まれにくいですよね。どんどんミクロになっていっている感覚があります。

30年戦える気概のあるものじゃないとモチベーション持たない

八巻:ここまでマーケットについての話をしてきましたが、トレンドの中心にいるようなプロダクトづくりで意識していることはありますか?

矢本:プロダクトって中間にあるものじゃないですか。プロダクトってその中で完結することってあまりなくて、何かがプロダクトを経て最終的に外で解決されているイメージで、これって結局問題を解くための一個のツールでしかなくて、プロダクトってユーザーのイシューを解けているかでしか評価しないですね。あまり深いこと考えていないです

八巻:そうですね、これって愚問なんですよ。基本プロダクト作るときにトレンドなんて追わないほうが良いってのが僕の結論なんですけど、とはいえ30年戦える気概のあるものじゃないとモチベーション持たないってのも前提にある気がしていて、やりたいものをやらないとダメだよねってのがありますよね。

矢本:たしかにそれはありますね。やりたいものって自分が好きなものを作っても持たなかったりするケースがあって、やりたいの境目って何なのかなというのがあります。やっぱり解きたい課題なのか、こういう未来なら信じられるといった未来の解像度が高いものにアプローチするものなら何でも良いのかなと思います。

八巻:2人の共通点としてすごく大きい産業で戦おうとしているじゃないですか、「小売を変える」というのはそれだけで楽しそう。「金融を変える」というのも30年スパン掛かりそうだけど、都度都度変えていけそうだなっていうのがあるので、そういうマーケットオリエンテッドなやりたいことに行き着くまでが個人的に大変だと思っていて、どうして小売になったのかって聞いてもいいですか。

矢本:いち生活者として、育休とったときに飯作るのがマジで辛いって思ったという原点があまりに強すぎるんですね。それがあり得ないほど面倒で、より人間は怠惰なほうにいくけど、その解決方法がいま世の中にないので、無いなら作ろうと思って始めました。

理想の体験は見えていてきっとそうなるはずだけど、どういうルートでなるのかは分からないし、その間にどういう課題が転がっているのかの解像度はその時点ではなくて、自分が見えているのはユーザーとしての課題だけでそれを解き始めました。それ以外の課題は全く当時見えてなくて、やりながら色々な課題が見えてきたという流れです。

その産業が変化するのを読めた瞬間にそれがやりたいことになる

八巻:色々なものが見えたというのは組み合わせなので難しいですが、例えばどういったことが見えたのですか?

矢本:それはデータとユーザーが教えてくれました。ユーザーの行動を追っていったらイシューがプロダクトの中から出てきて、これを解こうとするとソフトウェアだけじゃ分からないので、小売の業界の人と対話を始めて、その問題の後ろにある構造を解決するのが必要だなと気付きました。

八巻:個人的にはビジョンを考えるときに産業と繋がった感覚があって、ビジョンを言ったときって具体的にイメージはついてなくて語れなかったんですが、語れないといけないなと思って2年くらい前から金融とは何かを調べ始めて、金融系の本をひたすら読み漁っていました。

その結果、産業に詳しくなってそこから流れが読めるようになって、誰が何を考えていて、次誰が何をしようとしているかの力学が読めるようになったのは大きいなと思っています。

矢本:たしかに僕は元々理系の研究者ですが、論文も同じでサマリーがあってその後ろにコンテキストって項目が絶対あるんですね。背景を知るって素振りみたいな感じで、息を吸うようにしなきゃいけないものだと思います。

八巻:自分のプロダクトの属している産業について思ったよりも知らなかったのかというのがあって、本を読み出したり人に会いだして、その産業が変化するのを読めた瞬間にそれがやりたいことになるというのが個人的に思う転換としてありました。

目線が変わるのですが、プロダクト作るにあたって意識しないといけないこと、こういう戦略をやらないといけないことってあったりしますか?

矢本:ありますね。言えなくないやつ。。んーー、言い辛いです(笑)

八巻:では僕が(笑)。会社やっている以上IPOなりExitしなきゃいけないと思うんですが、IPOするときにするIRで重要なことで、ラクスルの恭攝さん(ラクスル代表 松本恭攝氏)と話したときに言ってらっしゃったことが良くて、機関投資家が見るのってその利益が継続するのか(例えばネガティブチャーン)で、それをどう見せるのかというのは大事だなと。

本当に継続していく利益なのかはプロダクト時点から仕込んでおかないと見せられないんですね。それはもっと初期からやっておかないといけなかったなと個人的に思っています。

ネガティブチャーンってSaaSや月額課金じゃないと難しいんですが、とはいえ何かが継続している指標をどうやって示すのかはプロダクト設計段階から意識していた方が良かったなと思いました。

機能を削るのではなくユーザーを捨てる

八巻:シンプルに作るってみんな意識しているものの、大きな産業ってAPIが沢山あってUI上表現しづらい、法的に書かなきゃいけない事がある等それを全部落とし込んでシンプルに保つのは大変だと思っているのですが、意識していることってありますか?

矢本:ユーザーのゴールのためのミニマムなものって沢山あるじゃないですか。こちらが情報を集める必要があったり、その情報から適切に提案したり等多くのミニマムなステップがあるんですよ。ショートカットすることもできますが、ただこれらを含んでいないものって、どれだけシンプルにしても小さい問題しか解けないと思っているので、実はあまり気にしていないです。

ユーザーが離脱しないように気持ちのいい最高のプロダクトにはするんですが、ここで離脱しちゃうから機能を削るとはならない。必要なものをちゃんと詰めてあげる、その上でどうするかという感じです。シンプルに体験が完了できるという話かなと。

八巻:個人的に意識したのは機能を削るというのはあまりないですが、ユーザーを捨てるっていうのは結構あるのかなと思っていて、「このユーザーにはもう来てもらわなくていいです」というのは完全に言語化しておいて、どのユーザーが要らないかを突き詰める方が良いのかなと。

矢本:それ超良いですよね。マーケティングのプランに落とし込みやすいというか、誰でも彼でもFacebook広告当ててユーザー獲らなくて済むので。

タベリーも実はそうで、世の中の65%の人はスーパーで献立考えているらしいんですよ。事前に決めてそれを買ったりする人って35%しかいないらしいんですけど、それでいいやと。

八巻:法律など周辺領域のインプットはどうやっていますか

矢本:やっぱクライアントから学ぶというのがあって、それを補強するためのリサーチはググり力で解決するのかなと思います。インサイダーと仲良くなって聞くことですね。

八巻:僕も昔カード業界の人と週一で絶対飲むって決めていたので、人と会うって大事なのかなと。

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と、、、この後もポジションをとることの重要性であったり、Q&Aコーナー、終了後にはピザとお酒を囲んでの懇親会で参加者同士の交流も弾みました!

まとめ

載せたい内容が多すぎて1万字近くになり、泣く泣く端折るほど濃い時間でした。

自分も少なからず起業家の方と接する中で、ピボットする会社も当然一定存在して、事業選定に悩んでいる姿を間近で見ることもあり、役立つTIPSがたくさん聞けた中でも以下の

「30年戦える気概のあるものじゃないとモチベーション持たない」
「いつ来るか分からないということは、無限に張り続ける必要があるという前提でやっている」
「(圧倒的に産業に詳しくなって)その産業が変化するのを読めた瞬間にそれがやりたいことになる」

は言うは易く行うは難しの痺れるフレーズだったなと自身の身も引き締まりました。

採用情報

10X社とカンム社の採用情報です。もし興味持ったら連絡してみてください!

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