卒業アルバム
尾鷲が好き、学校写真が好き、を掛け合わせると、答えは尾鷲で学校写真(卒業アルバム制作)がしたい!になります。
三重県南部、尾鷲市の五つの小学校では、およそ150年間、卒業アルバムが存在していない。
現在の校長会の長、M小の校長先生にお話を伺いに行くと、そんなことを教えて頂きました。
驚いたのが、文集が充実していて、巻頭には卒アル並みに写真のカラーページがある。これでじゅうぶんだ、と完敗を味わいました。卒アルがなくて当たり前の地域に、高いお金を払って卒アルを作る意味が、今の自分には見出せない。
校長先生から願い下げを受けたわけではなく、とてもやさしくご対応頂いた上で、自ら、今そこへの挑戦はちょっと違う、と判断したのでした。
ここで卒アルの文化を作るには、長い年月が必要だ、まずは自分がこの地域に浸透しないといけない。
その足で仲間のいる役場へ駆け込み、知らぬ間に作戦会議をひらいてくれる手筈をしてくれていました。校長先生とつないでくれたり、地域の情報をくれるのも全部彼ら。本当に頼もしくありがたい存在。
いろいろと話していく中で、
「決まりきった卒アルなんていらんで」
「先生の写真とか、生徒の個人写真とかいらんやろ」
「なんなら行事の写真もいらん」
「やまぴーならもっとおもろいもの作るんちがうの」
学校で写真を撮るなら卒業アルバムしかない、という僕の固定概念を、仲間たちが崩していってくれる。
確かに。
僕は卒業アルバムが作りたいのではなくて、この尾鷲で確固たる関係性を作りたい、6年生の子たちと一年間撮影を通して知り合ったり分かり合ったりする喜び、そして彼らが大人になって奇跡的に再会できたときのあの喜び、それが感じられるなら、卒アルじゃなくたってもちろんいい。
「人数が少ないということを逆手に、保護者に直接持ちかけるのはどうか」
調べると、K小学校が、6年生児童7人。
「そこなら、〇〇さん(地元で有名な魚屋さん)とこの子が5年生におる、その人に6年生の保護者に話をしてもらおう」
皆さまのご協力のおかげでその日のうちにLINEグループが結成され、およそ2週間後の昨日、撮影が決行されました。
天気も最高、子どもたちも最高に素直で純粋。
校庭での撮影を校長先生から許可をもらっていて、いい経験をありがとう、と言ってもらい。
役場の仲間、商工観光課のお二人が全面協力でずっと居てくれて、保護者さんとのコミュニケーションを担ってくれたり。
保護者の皆さまも大変喜んでくれて、普段スクールバスで通う子たちのために、この日はバスをキャンセルして都合のつく方がバス役をしてくださったり。
卒業アルバムの撮影では、ここまで自由に撮影できなかった。こんな撮影を待っていた。
シーズン春を撮り終え、残り3回、シーズンごとに撮影する。撮れ高的に、できることなら300ページくらいの写真集が作りたい。
今までになかった卒業アルバム。
絶対いいものになる。
お読みいただきありがとうございました。
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