集合写真、スナップ版
前々回に書きました、型物集合に続いて、今度はスナップ集合。
我々の間では「スナップ内集合」と呼ばれます。スナップ写真の流れの中で撮るから、型物みたいに準備はしない、だから追加料金もかからない。
ここ5年くらいか、ますますスナップ内集合を希望する方も増えたし、それしか撮らない式場さんも多くなりました。
ホテルでの集合写真といったらほぼ型物で、挙式後に「写真室」や「写場(しゃじょう)」と呼ばれる部屋へぞろぞろ移動し、照明バッチリ雛段バッチリの部屋で撮るのが当然でした。今でも、大きな神社さんではそうされています。
が、そこを使うとお金がかかってしまうので、境内で、社殿の階段を使ったりして、カメラマンは脚立に乗って、簡易的に集合写真を済ませてしまう、ということが、普通になってきました。たぶん、10年くらい前は珍しかったと思う。
それだけ写真がラフになっていいなとも思えるけど、おじいちゃんおばあちゃんから見たとき、「なんじゃこのカメラマンは〜!」と思われてしまわないかな、と心配になります。
ちなみに「スナップ内」なので、型物と違って、後ろの人の顔が隠れていてはいけない、目つぶりがあってはいけない、というルールも除外されています。型物では、目だけ合成して全員が目を開けている写真を完成させる、ということも当然のごとくやります。
新郎新婦のお二人が予算の都合やあんまりキチッとした集合写真に魅力を感じず、スナップ内集合を選ばれたとして、「スナップ内だから」と簡易的に撮らざるを得ないとき、
この階段ではどうしても後ろの人の顔が隠れる、
この場所ではこの並び方しかできず、バランスが悪い、、
絵的に全然よくない、、
雨が降ってるから撮れない、
などなど、現場での問題が発生しがちで、みんなは簡単に言うけど、こわいんだよお〜っていつも思います。プロデュース会社さんが間に居てくれれば脚立の準備、並べるサポートをしてくれるけど、個人で受けると脚立を隠しておく場所も考えないとだし、挙式が終わってダッシュして、準備して、ご案内して、と相当バタバタします。
式場さんだとガーデンやホールを見下ろせる高い場所を設計段階で作っておいて、晴れならここ、雨ならここ、という場所が決められていて、これはまあ安心なのですけど、
イコール、カメラマンはスナップの中で集合を撮れ、と言われているようなもので、「ウチは集合写真に命かけてまして、お金いただきたいんです、」なんてことは通用しません。
できるとしたら、撮影費は発生させず、台紙作りませんか〜と案内をすること。
ただしこのご時世、任意のアイテムはわざわざ選んで頂けることは少ないです。
安く設定したら作業工賃が確保できず、正当な金額にするとマージンで結局高くなってしまい、即敬遠されるものになります。
さらに、そのスナップ内集合はデータとして納品されるわけで、データがもらえるのにわざわざ高いお金を払って、という心理は当然働きます。
だから、そこに関しては考えず、精一杯の良い写真を撮る、ということだけに注力。余計なことは考えてはいけません。たぶん。
僕がずっと前から言ってるのが、例えば80人、90人規模の集合写真をうまく撮るって、まあまあスキルが必要だと思っていて、
全員の目線を集め、臆することなく笑いを取ろうとし、テンポよく撮っていく、これがスナップの一貫だからはいどうぞ、と考えられるのはちょっとカメラマンたちがかわいそう、もっと評価されるべきでは、と思うのです。
これからそれを味わうウェディングフォトグラファーは大変だ。でも、これからの人はそれを大変とも思わないのかもしれない。
業界がいい意味で変わっていけばと思う。
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