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#17 山古志DAOに学ぶ、NFTによる地域復興の可能性

自身が主催しているTwitter音声配信、”NFTカケ込み寺スペース”で、山古志DAO NishikigoiNFTのCo-Founder 林 篤志氏と対談させていただきました。
その際のお話にとても感銘を受けたため、お話させていただきます。

山古志村×NFTの概要について詳しい概要はこちらの記事をどうぞ。

中越震災と人口減少

「錦鯉」発祥の地でもある新潟県 山古志村。
18年に起きた中越震災により、全村避難しなくてはいけない状況だった。
壊滅的な被害を受け、もう戻ってこれないとされていた。
しかし地域や住民の力を合わせ、なんとか山古志に戻ることができたものの、当初は2200人いた村民は800人に減少し高齢化率は55%越え。
このままでは消滅してしまうと地域復興の取り組みは色々やってきたが、人口の減少は止まらなかった。

NFTを用いた関係人口の創出への挑戦

それらをふまえ、物理的に住民を増やすだけではなく、デジタル空間を使って山古志村の仲間を集めていけないかというアイデアが出た。
その後メタバース(クラスターなど)や任天堂(あつ森)に相談へ。
しかし、仮想空間上に山古志村の再現するとかなりの予算がかかることとなり、見送りへ。
その際に林氏へ相談がいき、まずはメタバースという手段にこだわらず仲間を増やすことが必要と感じ、NFTを活用することを提案。
ここで生まれたのがデジタルアート×電子住民票としてのNFT、NishikigoiNFT。
所持することによってデジタル住民票の役割をもち、山古志村デジタル村民としての仲間の証になっている。

山古志村がNFTを用いてデジタル村民を増やす取り組みに踏み切れた理由
・元々外部の文化の良い部分を取り入れることに抵抗が少ない地域だった。
・すでに村おこしとしてあらゆる手を尽くしたこと。
・長岡市との合併により村独自の予算が降りることも無くなった。
・山古志村としての文化を残し、次世代につなげたいという強い想いがあった。

これらの布石もあり地域の問題、未来についてその地域だけでどうにかすることに固執せず、視野を広げることができた。
結果として、財源の確保や今まで関わることのなかった人が関わることにより、新たな可能性を模索できるようになった。
また、山古志村の住人には無料でNishikigoiNFTを提供され、コミュニティセンターで定期的にウォレットの作り方のレクチャーなどの取り組みもしており、ご高齢の方でもメタマスクを使っている。

NFTのアートとしての力
今回のデジタル住民票の役割をもつ、NishikigoiNFTには山古志村の象徴でもある錦鯉のアートが用いられている。
実はこれがとても重要なのではないかと林氏は話す。
確かに会員証やユーティリティだけならチケットのようなデザインでことは足りる。
しかし、シンボリックな錦鯉を採用することで山古志村を連想したり、ウォレットに入っている満足感やデジタルウォッチの待ち受けにしたくなったりと愛着を感じる。
また、人がそれぞれ無意識に作っている壁を乗り越えさせてくれる力がアートにはあるとのこと。

まとめ

今回の事例を通し、NFT社会実装についての可能性や、そのNFTを持つ人だけが感じる不思議な当事者感について考えさせられました。
現に、ホルダーになった方々からは能動的に地域の復興に参加したいと声が多く上がり、聖地巡礼にと実際に山古志村を訪問する方が増えているそう。
村のスピリットはデジタル村民へと薄まり広がり続けている。
山古志村という文化や想い、概念は村のシンボル「錦鯉」モチーフのNFTを通しブロックチェーンに刻まれ、受け継がれ続けていく。

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